星野源の『Week End』は、なぜ唐突に
「電波」が出現するのか?

さらに言えば『Week End』のライブ動画を観て「身体を交わそうの歌詞で胸もむ仕草してるじゃねーか!この曲、週末にセックスしてー!って歌詞じゃねーか!ハイハイ、イケメンならエロいこと言っても許されるわけね!薄いわ!」とか思われてるかもしれない。まあ、間違っちゃいない。



けどね。もうちょい、歌詞とかも見てやって下せえよと。まず、この曲は「さよなら」と「始まる」、「夢」と「身体」みたいな対比で構成されてるわけだ。「身体を交わそう」はセックスの暗喩だっつーのは、まあその通りだろう。ポイントは後半でここが「言葉を交わそう」に歌詞が変化してるところだ。



わざわざ「身体を交わそう」から「言葉を交わそう」に変化させてる。さらにそのすぐ後で「今を踊る すべての人に捧ぐ」という壮大な宣言がくるわけだ!いきなり壮大すぎるだろ、星野源!星野源は、暗い奴もアンチも含めた「すべての」人間に向かって歌っている。しかも「君だけのダンスを 世間のフロアに出て叫べ」ときた!ここが急にメッセージっぽくなるわけだ。ここら辺はあくまでさらりと歌ってる。だが、曲の要だ。



この怒涛の終盤を見てくれよ。「君を連れて 未来を今踊る」だった箇所は「すべて連れて 未来を今変える」に変わってる!そう、この曲は「無茶な口説き方」も「俯いた貴方」も「心に空いた穴」も、ネガティブやマイナスの象徴である「夜」も「すべて連れて未来を今変える」っつー歌なんだ!

さらに、ラストは「電波を世間を未来を踊ろう」としめてる!唐突に出てくる「電波」は何だ?星野源は、突然電波発言するイカレた電波ヤローだったのか?違うな。星野源には『電波塔』という曲がある。これはラジオのことを歌った曲だ。ライムスター宇多丸がやってる『ウイークエンド・シャッフル』っつーラジオ番組に「スーパー・スケベ・タイム」の名前でジングル送って採用されたこともある。『Week End』のタイトルは、もちろんこの番組にもかかってる。それほどのラジオ好き。「電波」は「言葉」の象徴だ。

この曲は、確かに「週末にセックスがしたい」っつー分かりやすい意味がある。同時に、自分の「言葉」で、自分の「身体」で未来を変えよう、っつー意味も込められてんだ!

しかもだ。「週末」は、普通のつづりなら「weekend」。間を空けない。じゃあなんでこの曲のタイトルは『Week End』とわざわざ間を空けてるんだ?これは、弱い(Weak)心の状態を終わらせる(End)意味をかけている。だからこの曲は「さよなら」で始まり、「さよなら」で終わってる。弱い夢を終わらせて、今、現実の未来を変えるからだ!そういう曲だ!

ね。星野源はとんでもねえ野郎ですよ!スケベソングに見せかけた強烈なメッセージソングのような、そんなこと感じさせるほどのドスケベなシロモノ作ってるわけですよ!だからこそこの曲は、俯いて暗くてネガティブな人にこそ聴いてもらいてーわけです。そして、あなただけのダンスを踊ってもらいてーわけです。



TEXT:テイキけん

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