THE ORAL CIGARETTES 『唇対バンTO
UR』MUCC、ビレッジマンズストアとの
3マン公式レポート



ビレッジマンズストア  撮影=Viola Kam (V'z Twinkle Photography)

「全バンドのなかで圧倒的な知名度の低さ!まじめな話ちょっと怖かったの。でも、ライブってええな」と、水野ギイ(Vo)が滾る想いをぶちまけたトップバッターは5人組ロックンロールバンド、ビレッジマンズストアだった。ザ・ナックの「マイ・シャローナ」をSEに登場したメンバーは全員が赤いスーツ姿。ライブは「夢の中ではない」からスタートすると、軽快なビート、躍動感溢れるベースラインを駆使しながら、ツインギターを擁した泥臭いガレージロックでフロアを踊らせていく。

ビレッジマンズストア  撮影=Viola Kam (V'z Twinkle Photography)

「大好きなオーラルシガレッツの唇対バンツアー、俺たちが愛情を込めて、丁寧に丁寧に……このツアーを台無しにします!」(水野)。対バンに誘ってくれたオーラルへの最大限のリスペクトを込めた不敵な宣言に大歓声が起きると、感動を呼んだのは、毎日を闘い続ける全ての人を奮い立たせる陽性のロックンロール「地獄のメロディ」。閉ざされた心を無理やりこじ開けるようなビレッジマンズストアの体当たりのステージは“知名度”などいかに無意味かを証明する快演だった。

MUCC  撮影=Viola Kam (V'z Twinkle Photography)

この日は今回の対バンツアーのなかでは最も意表を突く組み合わせとして驚かせていたが、2組目に登場したMUCCが見せたカリスマ的なステージは、そんな周囲のざわつきを一蹴するのに十分だった。いきなり「ENDER ENDER」から会場をダークなムードへと染めた4人。YUKKEとSATOちによる重厚なグルーヴとミヤのクリアなギターリフ、裸足のまま縦横無尽に暴れまわる逹瑯(Vo)の鬼気迫るボーカルによってフロアは完全にMUCCの支配下になっていく。終盤のへヴィチューン「蘭鋳」ではオーディエンスをいったんフロアに座らせると、「ふだんヴィジュアル系をバカにしてるでしょ? 従っていいの?」と、オーラルのファンが大半を占める会場を挑発するように言った逹瑯。「(山中)拓也は独占欲が強いから、他のオトコにいいようにされてるのを見て、めちゃくちゃ良いライブをすると思う」と煽るとお客さんを一斉に大ジャンプさせた。ラストは「TONIGHT」でドマチックな演奏で締め括ったMUCC。新たな出会いの場としての対バンの意味を言葉ではなく演奏で示すステージだった。

THE ORAL CIGARETTES  撮影=Viola Kam (V'z Twinkle Photography)

「MUCCもビレッジマンズストアもかっこよかったけど、主役はオーラルです!」。山中拓也(Vo)が力強く言い放ったTHE ORAL CIGARETTESは開始早々からテンションが高かった。中西雅哉(Dr)が叩き出す引き締まったビート、あきらかにあきら(B)のファンキーなベースライン、山中の怪しげな歌声と身振りを大きく使ったボーカルスタイル。鈴木重伸(G)が繰り出す異国情緒漂うギターリフから突入した「CATCH ME」では、オーディエンスの絶妙の合いの手でフロアはあっという間にひとつになっていく。

THE ORAL CIGARETTES  撮影=Viola Kam (V'z Twinkle Photography)

THE ORAL CIGARETTES  撮影=Viola Kam (V'z Twinkle Photography)

ツアータイトルが「キラーチューン祭り巡業行脚の巻」ということで、まさに披露される曲は無敵のラインナップ。「狂っちゃいなよ!」と山中が煽った初期曲「Mr.ファントム」から、最近のライブでは欠かせない「気づけよBaby」へと、激しさと妖艶さとを行き来しながら、絶対的にキャッチーなオーラル流のキラーチューンが次々に畳みかけられていった。かつて“キラーチューン祭り”と言えば、彼らのセットリストの一部だったが、結成6年にしてそれだけで1時間のライブができるようになった。今回のツアーの背景にはそういう意味もある。

THE ORAL CIGARETTES  撮影=Viola Kam (V'z Twinkle Photography)

THE ORAL CIGARETTES  撮影=Viola Kam (V'z Twinkle Photography)

MCでは、「対バンってええなあ。ふつうに感動してしまいました……」と感極まったような口調で語った山中。「逹瑯さんがオーラルのファンは良い人だって褒めてくれた。尊敬してるバンドにそんなこと言われて、ほんまにうれしい!」と会心の笑顔を見せると、後半にかけてもキラーチューン祭りはさらに加速していった。途中で「休みほしい?」と問いかける瞬間もあったが、休ませる気など微塵もない。最後までバンドとオーディエンスとが全力でぶつかり合い、汗と熱気が充満するなかライブはフィナーレを迎えた。

THE ORAL CIGARETTES  撮影=Viola Kam (V'z Twinkle Photography)

アンコールでは「俺、今日やっちまったことがあって……」と切り出した山中。実はこの日のMUCCのセットリストには、オーラルに「嫌い」という曲があることを意識して、当初「大嫌い」が含まれていたのだという。だが、オーラルが「嫌い」を入れていなかったため、実現しなかったのだ。そんな、ちょっと惜しいエピソードを明かして、急遽披露された「嫌い」に続けて、熱狂のライブを締め括ったのは11月16日にリリースする新曲「5150」だった。まだリリース前にも関わらず、特大のシンガロングを巻き起こす直球のロックナンバーは、またさらにオーラルを強くする最新のキラーチューンだった。

『唇対バンTOUR 2016 ~キラーチューン祭り巡業行脚の巻~』  撮影=Viola Kam (V'z Twinkle Photography)

この先、唇対バンツアーはROTTENGRAFFTY、BIGMAMA、キュウソネコカミ、赤い公園らを迎えて、11月の東名阪ワンマンツアーへと突入する。「いまは焦ることなくバネを縮めています。来年を飛躍の年にするために!」と、山中は言っていた。1本1本、意味のあるライブを乗り越えて、THE ORAL CIGARETTESはますます進化していく。

撮影=Viola Kam (V'z Twinkle Photography)

『唇対バンTOUR 2016 ~キラーチューン祭り巡業行脚の巻~』  撮影=Viola Kam (V'z Twinkle Photography)

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