朗読劇と生演奏で作品を再現、TVアニ
メ「灰と幻想のグリムガル」SPイベン
トが開催
今年1月よりTOKYO MXほかにて放送され、人気を博したTVアニメ「灰と幻想のグリムガル」より、スペシャルイベント「灰と激奏のグリムガル -Grimgar, Live and Act-」が、6月19日(日)に東京・かつしかシンフォニーヒルズで開催された。
作中のメインキャスト7人と、主題歌や挿入歌・劇中音楽などを担当するクリエイティブユニット“
(K)NoW_NAME”が登壇し、朗読劇・アニメ映像・アーティストライブが融合したスペシャルステージを繰り広げた本イベントのオフィシャルレポートが到着している。なお、この日の模様は9月28日(水)にBlu-rayとしてリリースされ、
小松未可子、
照井春佳、
安済知佳によるオーディオコメンタリーが追加特典として収録されることも決定している。
■スペシャルイベント「灰と激奏のグリ
ムガル -Grimgar, Live and Act-」オフ
ィシャルレポート
「灰と激奏のグリムガル -Grimgar, Live and Act」が、2016年6月19日(日)に東京・かつしかシンフォニーヒルズで開催された。
イベントの出演者は、ハルヒロ役の
細谷佳正、ランタ役の
吉野裕行、マナト役の
島崎信長(※)、モグゾー役の落合福嗣、ユメ役の小松未可子、シホル役の照井春佳、メリイ役の安済知佳らキャスト陣と、本作の主題歌・劇伴・挿入歌を担当したクリエイティブユニット・(K)NoW_NAME。
●朗読劇の合間に生演奏を挟む形式
TVアニメでは通常、先に制作しておいた音楽をあとから本編の映像に合わせる。しかし今作では、実際の映像やシナリオ、絵コンテを元にして、各話ごとに物語の展開に合わせて音楽を作成するという形をとっていた。
このイベントでは、そうした本作ならではの音響面での特徴を、TVシリーズの物語の流れに即した朗読劇の合間に各話で使用された音楽を生演奏で挟むという形で、最大限に表現してみせていた。
まずは、ハルヒロがマナトの遺した手帳を手に取るシーンの朗読劇から、イベントはスタート。「Knew day」「Head Wind」の演奏を挟んで、パーティ結成直後のゴブリンとの戦闘、初めてゴブリンを手に掛けた瞬間の衝撃など、数々の印象的な場面が生の演技で披露される。
●原作でもアニメでも描かれなかったマ
ナトの心情を表現
その後も朗読劇と演奏が交互に展開され、イベントは進んでいく。前半のハイライトとなったのは、アニメ本編でも印象的に描かれたマナトの死に関するエピソードだ。ここでは、これまで原作でもアニメでも描かれなかったマナトの複雑な心の動きが詳細に描かれていた。これは、原作者である十文字 青が、このイベントのシナリオをすべて手掛けたからこそ可能になった表現だろう。
その後、メリイのパーティへの加入から、マナトの死に繋がったゴブリンたちとの再戦、そしてマナトの墓前への報告……という流れで、前半戦は終了。休憩を挟んで、イベントは後半へと移る。
●名シーンが次々と再現
久々の休日を経て、そしてメリイにとってかつてのパーティでの苦い記憶の残る場所である、サイリン鉱山へとチャレンジを始めるパーティ一同。アンデッドと化したかつての仲間たちとメリイの「再会」や、強敵デッドスポットの襲撃、仲間とはぐれたランタの孤軍奮闘、そしてデッドスポットとハルヒロの一対一の対決などなど、名シーンが次々と再現され、客席のボルテージは最高潮に。
そして朗読劇は、ふたたび現在のハルヒロの目線に戻り、未来への明るい希望を語ることで締めくくられた。
●細谷「また、明日!」
そこから「Harvest」の生演奏、エンドロールを経て、舞台のカーテンコール的にキャスト陣、(K)NoW_NAMEのメンバーが壇上に勢揃い。小松の司会にうながされ、各々に観客への感謝を述べる。このコーナーでは、シリアスな内容が中心だった本編とは裏腹に、客席から大きな笑いが起こる瞬間も多く見受けられた。細谷が「会場の皆さんと一緒に作ったステージでした」とコメントの中で述べていたとおり、今作を取り巻く作り手とファンの空気の温かさが強く感じられるイベントだった。
イベントの締めの言葉は、細谷の音頭による「また、明日!」のひとことだった。その言葉どおり、パーティの、作品の今後も気になるところだ。
※島崎信長さんの「崎」は「立つ崎」
[set list]
Act. 01:「彼の手帳」/Live. 01:「Knew day」(TV size)/Live. 02:「Head Wind」/Act. 02:「命のやりとり」Live. 03:「seeds」/Act. 03:「オルタナの夕べ」/Act. 04:「マナトとハルヒロ」/Live. 04:「Stand on the Ground」/Act. 05:「ゴブリン急襲」/Act. 06:「別れ」/Live. 05:「rainy tone」/Act. 07:「失意からの確執」/Act. 08:「接近」/Live. 06:「Nutrient」/Act. 09:「円陣」/Live. 07:「Growing」/Act. 10:「墓前にて」/Act. 11:「休日の目覚め」/Live.08:「sun will rise」/Act. 12:「メリイの決心」/Act.13:「サイリン鉱山」/Act. 14:「過去との決着」/Live. 09:「Sudden Storm」/Act. 15:「孤軍奮闘」/Act. 16:「巡る戦い」/Live. 10:「Cultivate」/Act. 17:「背比べ」/Live. 11:「Knew day」/Act. 18:「次の日に」/Live. 12:「Harvest」/Curtain call
■原作者・十文字青先生コメント
こんなイベント、観るべきじゃなかった。観なければよかった。……あまりにすごすぎて。最高で。こんなイベント、きっと二度と体験できない。これが最初で最後なんて思いたくないし、信じられない。この気持ちを抱えて、これから先どうやって生きていけばいいんだろう……。
僕はイベント当日、ゲネプロと本番を連続で観させていただきました。その日は噛みしめるまでもなく余韻が続いて、本当に幸せな気分だったのですが、……翌日からしばらくの間は「激奏ロス」でだいぶ苦しみました。
それでもやっぱり、観てよかった。関わらせていただいて、よかった。ちょっと時間がなくて脚本を書けるかどうか、という局面も実はあったのですが、これは他の人に任せたくない、僕がやりたい、と思った。無理をしてでもその気持ちに従ってよかった。
スタッフ、キャスト、その他関係者、そして観客の皆さんがつくりあげた『灰と激奏のグリムガル』を、僕は決して忘れない。忘れることなんてできない。
いつか灰になるまで。
(C)2016 十文字青・オーバーラップ/灰と幻想のグリムガル製作委員会