【LIP×LIP
（勇次郎・愛蔵／
CV：内山昂輝・島﨑信長）
リコメンド】
LIP×LIPからジュリエッタへ
ホワイトデーのお返しのような作品

　それそれのソロ楽曲に続く「ラストステージ」は、ゲストヴォーカル＆ボーカロイドを起用した『告白実行委員会』キャラクターソングアルバム『告白実行委員会-FLYINGSONGS-恋してる』（2022年8月発表）でFukase&flowerが歌った楽曲。本当はお互いのことを信頼しているのに喧嘩が絶えないLIP×LIPのふたりが不満をぶつけ合う。

　本作ラストに収録されているのは映画『LIP×LIP FILM×LIVE』のED主題歌「この世界の楽しみ方」。ゆったりとしたメロディーとサウンド、重厚なバックコーラス、そして前向きなメッセージが印象的だ。映画公開当時はまだコロナ禍で、世界中の人々が不安の中にいた。そんなジュリエッタたちに《でも朝日は必ず昇るよ》と前を向かせ、《素敵な事これから起こる》と希望を与えてくれた。この楽曲を聴いて背中を押された人はきっと多かったことだろう。LIP×LIPのエールは、来年も、再来年も全ての時代のジュリエッタたちの背中を押し続けてくれるはずだ。

　今作は通常盤のほかに『ULTIMATE BOX』『Type AIZO』『Type YUJIRO』の全4形態をリリース。『ULTIMATE BOX』のDISC2にはファンから募集した“ふたりに演じてほしいシチュエーション”にチャレンジした録りおろしのラジオドラマを収録。Blu-rayにはこのアルバムのために制作されたミニアニメ『はじめての二人っきり旅行』と「やっぱ最強！」「ロデオ」「チョコカノ」など人気曲12曲のMVがパッケージされている。特典はHoneyWorksらしい豪華さで、ヤマコ描きおろしのジャケット、モゲラッタ描きおろしのアクリルスタンドなどが同梱。ジャケット写真はフリルの付いた王子様調の衣装に身を包んだふたりが、花やプレゼントボックスに囲まれて顔を寄せて寝転がって、それを上から撮影した写真のイメージで、まるでアイドル雑誌の表紙のよう。『Type AIZO』『Type YUJIRO』のジャケ写は一枚の写真からそれぞれを切り取ったかたちで、よく見ると勇次郎の肩や、そこに寄りかかる愛蔵の肘が映っていて、ふたりでひとつ感がたっぷりだ。

　幾重にも張り巡らされた伏線と胸を鷲掴みにする胸キュンソング。HoneyWorksプロデュースならではの、あの手この手で楽しませてくれるLIP×LIPの最新作。一生楽しめる豪華な内容で、こんな作品を生み出してくれたことに感謝しかない。