INTERVIEW | OZworld, JP THE WAVY
, 唾奇, ELIONE, GAJUNiL気鋭ラッパ
ー参加のゲーミングパーティを通して
考える、ゲームと音楽の新たな関係性
気鋭ラッパー参加のゲーミングパー
ティを通して考える、ゲームと音楽の
新たな関係性

ヒップホップアーティストであり、プロeスポーツチーム 〈FENNEL〉(https://fennel-esports.com/) にも所属するOZworldが参画、発足した仮想空間上のプロジェクト 『NiLLAND』(https://nilland-official.com/) によるゲーミングパーティが1月7日(日)に初開催された。
同じく仮想空間上で展開されるエンターテインメントプロジェクト 『ReVer3:x』(https://revers3x.net/) (読み:リバースクロス)がサポートする本企画は、人気ゲーム『FORTNITE(フォートナイト)』内に『NiLLAND』オリジナルワールドがローンチしたことを記念したもの。独自の世界観で構築されたフィールドを舞台に、OZworldを筆頭とした豪華アーティスト陣と抽選に当たった一般ユーザー30名が共にゲームをプレイ。当日は事前にアナウンスされていたJP THE WAVYに加え、シークレットゲストとして唾奇、ELIONEも参加し、1部では『NiLLAND』ワールドを散策、2部では個人で撃破数を競い合うバトルが行われた。
白熱のバトルの結果、凄腕のユーザーが見事1位に輝き賞品を獲得。また、戦闘後はフィールドのアイコン的建造物となっている巨大なOZworld像へ全員で集結し、自然発生的にエモートで踊るなど、ゲーム内ならではの一体感に包まれた。
Spincoasterではゲーミングパーティ後に4人+ワールド作成者のGAJUNiLにインタビューを実施。シーンの第一線で活躍する音楽アーティストであり、同時にゲーム好きとしても知られる彼らとの対話を通して、ゲームと音楽の新たな関係、可能性が見えてきた。
Interview & Text by Takazumi Hosaka
Photo by 十河しば
「めちゃくちゃ相性がいい」──初開催のゲーミングパーティで感じたこと
――今回、UEFN(Unreal Editor for Fortnite)を用いてゲーム内に『NiLLAND』を構築して、実際にファンの方と遊んでみていかがでしたか? 感想などを教えてください。
OZworld:めちゃくちゃ相性がいいなって思いました。今回みんなが気軽に参加してくれたのも『FORTNITE』だからっていうのも大きいと思っていて。これが別のゲームやプラットフォームだったとしたらまた全然違った感じになっただろうなって。『ドラゴンボール』や『NARUTO』、『リック・アンド・モーティ』ともコラボしていて、EminemTravis(Scott)も登場する……そんなゲーム、『FORTNITE』しかないですよね。ある意味でメタバースが浸透する前からメタバース的なことをやっていたと思うし。今後スキンや乗り物などをもっと自由にデザインできるようになったら、より自分の世界観を作り込むことができるんじゃないかなって感じますね。
――WAVYさん、唾奇さん、ELIONEさんはいかがですか? 今回OZworldさんがやったように、自身のワールドを作成してみたいと思いますか?
JP THE WAVY:そうですね……オズ(OZworld)にすごいワールドを作ってもらって、自分はそこに遊びに行くのがいいっすね(笑)。
ELIONE:確かに。そこはオズが得意としている部分だから、お任せして。俺らはそこで遊ばせてもらう。
JP THE WAVY:俺らはエンジョイ勢なんで。
唾奇:オズがやるまでこんなこと思いつきもしなかったし、オズがやったからこそ、みんな集まったと思うんですよね。だから「次はもっとこうした方がいいんじゃない?」って言うのが俺たちの役割なのかなって。
OZworld:この距離感のみんなからフィードバックをもらえるのが嬉しいんですよね。価値観の近い人たちがおもしろいって思ってくれるものを作っていきたいです。そこにプラスアルファで、コミュニティの形成とか、自分たちの活動のプラスになるようなところに繋がっていけばいいなって思います。
ELIONE:今回オズがやったことってめちゃめちゃ新しい取り組みだし、ラッパーがこういうプロジェクトをやるっていうことがすごいですよね。ただ、そうやって前例のないことをやると野次を飛ばしてくるやつもいると思うんです。なので、メディアのみなさんはもっと取り上げるべきだし、シンプルにもっと応援してあげてください。
OZworld:ありがとうございます(笑)。
――実際に今回のワールド作成を担当したGAJUNiLさんにも感想をお聞きしたいです。
GAJUNiL:『NiLLAND』は「ソフビを作りたい」、「そのためのキャラクターを作成しよう」っていうところからスタートしてるんですけど、そこから2年くらいで色々と展開していって、関わってくれる人も増えた。今回はこんな豪華なアーティストのみなさんにも参加してもらえて、シンプルにめちゃくちゃ嬉しいですね。
OZworld:実際にソフビを作ることもできたし、構想していたことを一つひとつクリアしていってますよね。ここ(OZworld、GAJUNiL)の関係性でいうと、最初は意識的に自分が前に出ていたんですけど、実際に色々と作ったり動いたりする比重はHisajimaさん(GAJUNiL)の方が大きくて。わかりやすい例でいうと、『NiLLAND』の母親と父親みたいな感じなんです。母親(GAJUNiL)がお腹を痛めて生み出して、父親(OZworld)がすくすくと育ててくれる。ガジュマルの木から名前を取ったのも、そういった意味が込められています。
Hisajimaさんのおかげで、(音楽作品の)アートワーク用に作ったアイテムなんかも『NiLLAND』内で再登場させることができるし、なんならそれが歩いたりもする(笑)。
GAJUNiL:それこそ今回のワールドに登場させた「OZworld像」は実際に本人を360度撮影したデータを元に作成しているので、そのリアルな造形にも注目してもらいたいですね。
――『GAMING PARTY 2』をやるとしたら、どんなことに挑戦してみたいですか?
GAJUNiL:できたらレーシングフィールドを作りたいですね。
OZworld:WAVYさんが日本語主題歌を担当していた『ワイルド・スピード』にもちなんで。
JP THE WAVY:それだったら撃てなくても問題ないしね(笑)。
ELIONE:今度はアクセル踏めなくなるかもしれないけど(笑)。
※この日、JP THE WAVYは射撃ボタンが機能しないというトラブルが起きた
OZworld:メタバース内だったら色々な空間を作って、それぞれ繋げることもできるので、WAVYワールド、唾奇ワールド、ワンさん(ELIONE)ワールドを作って、それぞれの世界観を構築してみるのもおもしろいですよね。というか、今後はそういうプロジェクトがどんどん増えていくんじゃないかなって思います。それこそ今回使用したバトルフィールドは唾奇さんの発言から生まれたんです。
唾奇:「戦わないとおもしろくないんじゃない?」って言ったよね。
GAJUNiL:それで数日前に急遽作ることにしました(笑)。
OZworld:そうやって柔軟に対応できるのも、こういうメタバースのよさだと思いますね。
4人のゲームとの付き合い方
――みなさんは普段、どのようなタイミングでゲームをプレイすることが多いですか?
OZworld:最近ちょっと忙しくて、しばらくできてなかったんですけど、〈FENNEL〉主宰の大会(『FENNEL CUP vol.3』)に出て以降、少しづつ復活してきました。基本的には暇なとき、時間が空いたときにプレイするっていう感じなんですけど、たまにドハマりして1日中やっちゃうときもあります。
JP THE WAVY:俺は仕事終わって、家に帰ってからゆっくりしてるときに遊ぶことが多いですね。ワンくんが「『FORTNITE』やろう」って誘ってくれて、唾奇くんがめっちゃ上手いっていうことで「こういうコントローラー買った方がいいよ」とか、色々教えてもらいました。それで「いざやるぞ」ってなったら、唾奇くんは『Apex』(Apex Legends)にハマってて、結局一緒に『FORTNITE』やったのは今日が初めてでしたね。
OZworld:俺も唾奇くんと同じくらいのタイミングで『Apex』にハマってましたね。WAVYくんも誘ったんですけど、WAVYくんはずっと『FORTNITE』派で(笑)。
唾奇:そういうところにも一途な性格が出てますね。
ELIONE:やっぱりコロナ禍が大きかったよね。必然的に家にいる時間が増えたから、仕事の合間にゲームをやるようになって。WAVYと同じで俺も夜にやることが多いですね。グループラインに連絡して友だちと一緒にやったり。
――唾奇さんはいかがですか?
唾奇:一時期は寝ているとき以外はずっとゲームをやってるような生活になっていました。でも、ゲームよりも人生の方が大事じゃないですか。ゲームの中に人生があるんじゃなくて、人生の中にゲームがある……あれ、どういう質問でしたっけ?(笑)
――(笑)。過去のOZworldさんのインタビューでは、ゲームをつけると常に唾奇さんがオンライン状態になっているという話もありました。
唾奇:やっぱり『FORTNITE』とか『Apex』って人と競うから、終わりがないんですよね。上には上がいるし。そうやってゲームをやり続けた結果、1秒たりとも画面から目を離さないようにジュースも正面からじゃなくて横から飲むようになりました。キスも横からできます(笑)。
ELIONE:今の発言は全部使ってください(笑)。
――熱中するとどこまでもやってしまいますよね。区切りをつけるために意識していることはありますか?
ELIONE:俺らは結構みんなでやるんで、誰かが止めてくれるんですよね。俺も負けると熱くなって何回もやりたくなるんですけど、たいていWAVYが「いや、もうここら辺でやめときましょう」って止めてくれますね。
JP THE WAVY:遅くても夜中3時くらいにはやめとくかってなりますね。ただ、コロナ禍のときはヤバかったです。それこそ一日中やってるときもあった。今は目から涙が出てきたら終わりにします。
OZworld:自分もコロナ禍とのきは廃人レベルでしたね。『DayZ』っていう死にゲー(難易度が高く、何度もゲームオーバーになるゲーム)をやってたんですけど、リアルよりゲーム内での食べ物のことを考えることの方が多かったくらい。
――今回の『GAMING PARTY』を通して、音楽カルチャーとゲームカルチャーの融合という観点から何か新しいヴィジョンや可能性は見えましたか?
OZworld:元々はオンチェーン上に『NiLLAND』を作ろうっていう話を進めていたんですけど、そうこうしているうちにUEFMで無料でメタバースと近いことができるようになって、一回実験的に今回の企画を立ち上げたっていう経緯があるんです。オフラインでアーティストとファンがコミュニケーションを取るのって、色々な面でハードルが高いと思うんですけど、今回のようにゲームを介してなら、お互い気軽に、フランクに絡むことができる。今の段階ではやれることもそこまで多くはないかもしれないけど、今後はどんどん進化発展していくと思うし、いずれくるであろう未来のために今は実験している感じですね。現状では実装されていない機能などについても想像を働かせつつ。
――アーティストとファン、双方向からコミュニケーションを取れるという点では、Instagram Liveなどとは異なる可能性を感じました。
OZworld:たしかに。そういった相互性って、Web3の特性ともリンクする部分があると思うんです。メタップス創設者の佐藤航陽さんはメタバースやWeb3を「神の民主化」と喩えていて、それぞれが自分の世界を作ることができるようになるし、そこで自分が好きなように物理法則や独自のルールを設定できる。当たり前に空を飛ぶ世界を作ったり、現実の渋谷の街並みをそのままメタバースに落とし込むこともできる。スマートグラスやヘッドセットなどのデバイスがもっと進化したら、想像もできなかったことが実現していきそうですよね。
とはいえ、音楽とコラボレーションする上ではやっぱり著作権をクリアにすることが大事なので、そこは上手く交通整理する必要があるのかなと思います。
――ただゲーム内で音楽がかかるだけではない、もっと有機的なコラボレーションの形も期待できそうです。
OZworld:TikTokとかもそうだと思うんですけど、今の時代って音楽は“聴く”だけなじゃくて“使う”ものになってきてる気がしていて。ゲームと音楽が組み合わさることで、それぞれを新しいカタチで楽しめるようになるんじゃないかなって思いますね。
――ある意味、コミュニケーションツールのようにもなっていますよね。
OZworld:ゲームも同じだと思うんです。もちろんひとりでプレイして楽しむのもいいんですけど、今ってゲームは多くの人たちとの共通言語になってますよね。職業や年齢、生い立ちなどが違ってもゲームを通して仲良くなれる。実際にアーティスト仲間の中にも、ゲームを通して深い関係を築けた人も多くて。
「みんなで敵を倒そう」とか、「1位を目指そう」とか目的がある分、リアルよりも濃いコミュニケーションを取れることもあって。沖縄でひとりでゲームしてたときも、北海道にいる人とずっとプレイしていて。その人と初めてリアルで会ったときは昔からの親友みたいな感覚になりましたね。
「みんなの共通項」になることを目指して
――音楽カルチャーとゲームカルチャーの融合、もしくは新しい関わり方について、JP THE WAVYさん、ELIONEさん、唾奇さんは何か見えてきましたか?
唾奇:『ゼルダ』とか『マリオ』とかやってた小さい頃から考えたら、自分の歌声がゲーム内で使われているっていうのが信じられなくて(※)。今後はもっと当たり前に僕らの曲が流れるようになったら嬉しいですよね。僕ら、音楽と同じくらいゲームも愛しているので。
※2023年発売のサッカーゲーム『EA SPORTS FC:tm: 24』のサウンドトラックにAwich、唾奇、OZworld、CHICO CARLITOによるマイクリレー曲“RASEN in OKINAWA”が収録
OZworld:間違いない。唾奇さんは“RASEN in OKINAWA”で『Apex』のキャラクターのセリフをサンプリングしてるくらいなんで。
唾奇:今アルバムを作ってるんですけど、その中には『Apex』やり過ぎでこのままヤバいぞ……っていう曲も入る予定です(笑)。
――ヤバいですね(笑)。ELIONEさんはいかがですか?
ELIONE:俺らよりもゲームが好きな、いわゆるゲーマーと言われるような人たちって、何かひとつのことに夢中になっているという点で俺たちとも通ずる部分があるんですよね。さっきオズも言ってたけど、音楽とか興味ない人でも、ゲームという共通の話題を介して仲良くなれることも多くて。今日もオズに誘ってもらって、ゲームの中でみんなと一緒になれた。ゲームに対してはすごい感謝の気持ちがあるんですよね。だから、今度は俺らの音楽もゲームみたいにみんなの共通項になれるように、一生懸命頑張って作っていきます。
JP THE WAVY:ワンくんがめっちゃ綺麗にまとめるから何も言うことなくなっちゃった(笑)。
ELIONE:WAVYの気持ちも俺が代弁したんで(笑)。
OZworld:WAVYくんの曲はめっちゃゲームで使われてますよね。
ELIONE:そういえば、NBAのゲームやってたらWAVYの曲流れてきたな。
JP THE WAVY:『NBA 2K23』と『NBA 2K24』で1曲ずつ使ってもらってます。あとはレースゲームの『Need for Speed Unbound』にも入ってますね。次は『太鼓の達人』で使われたいです。
ELIONE:それはヤバい(笑)。俺の曲も『星のカービィ』で使ってほしいな。
――そこまでいったら文句なしに「みんなのもの」と言えそうですね。最後に、せっかくなのでみなさんの今年の抱負を教えてもらえますか?
OZworld:年末に忘年会と銘打って、今自分が抱えているプロジェクトに関わってくれている人たちを一気に繋げたんです。なので、今年はそれぞれのプロジェクトがひとつのビジョンに向かって進んでいくっていうことを意識しています。周りの人もどんどん巻き込みながら、辰年なのでドラゴンのように螺旋上昇していきたいですね。
JP THE WAVY:抱負……難しいですね。毎年やることは一緒だけど、規模を拡大させていきたいです。今年は全部かっさらえるように頑張ります。
ELIONE:俺も同じで、いつも通りですね。それこそ年末に『As Usual』(意味:いつも通り)っていうEPを出したんですけど、今年はアルバムも出すしワンマンもやります。みんなにも協力してもらうんで、よろしくお願いします。
――唾奇さんはどうですか?
唾奇:コロナ禍で怠惰な生活になって、それがしばらく抜けずにいたんですけど、最近は原点回帰というか音楽をやり始めた頃の気持ちを思い出したんです。昔はこれで飯が食えるとか考えもせずに、ただ好きだから音楽を作ってた。その当時のヴァイブスで今年はもっと音楽を作って、ファンやリスナーにも会える機会を増やしていきたい。ゲームはほどほどにして(笑)。
【イベント情報】

ホスト:

OZworld
GAJUNiL

ゲスト:

JP THE WAVY
唾奇
ELIONE
■JP THE WAVY: X(Twitter)(https://twitter.com/Sorry_Wavy) / Instagram(https://www.instagram.com/sorry_wavy/)
■唾奇: X(Twitter)(https://twitter.com/tubaki_0804) / Instagram(https://instagram.com/tubaki_hito)
■ NiLLAND オフィシャルサイト(https://nilland-official.com/)
ヒップホップアーティストであり、プロeスポーツチーム 〈FENNEL〉(https://fennel-esports.com/) にも所属するOZworldが参画、発足した仮想空間上のプロジェクト 『NiLLAND』(https://nilland-official.com/) によるゲーミングパーティが1月7日(日)に初開催された。
同じく仮想空間上で展開されるエンターテインメントプロジェクト 『ReVer3:x』(https://revers3x.net/) (読み:リバースクロス)がサポートする本企画は、人気ゲーム『FORTNITE(フォートナイト)』内に『NiLLAND』オリジナルワールドがローンチしたことを記念したもの。独自の世界観で構築されたフィールドを舞台に、OZworldを筆頭とした豪華アーティスト陣と抽選に当たった一般ユーザー30名が共にゲームをプレイ。当日は事前にアナウンスされていたJP THE WAVYに加え、シークレットゲストとして唾奇、ELIONEも参加し、1部では『NiLLAND』ワールドを散策、2部では個人で撃破数を競い合うバトルが行われた。
白熱のバトルの結果、凄腕のユーザーが見事1位に輝き賞品を獲得。また、戦闘後はフィールドのアイコン的建造物となっている巨大なOZworld像へ全員で集結し、自然発生的にエモートで踊るなど、ゲーム内ならではの一体感に包まれた。
Spincoasterではゲーミングパーティ後に4人+ワールド作成者のGAJUNiLにインタビューを実施。シーンの第一線で活躍する音楽アーティストであり、同時にゲーム好きとしても知られる彼らとの対話を通して、ゲームと音楽の新たな関係、可能性が見えてきた。
Interview & Text by Takazumi Hosaka
Photo by 十河しば
「めちゃくちゃ相性がいい」──初開催のゲーミングパーティで感じたこと
――今回、UEFN(Unreal Editor for Fortnite)を用いてゲーム内に『NiLLAND』を構築して、実際にファンの方と遊んでみていかがでしたか? 感想などを教えてください。
OZworld:めちゃくちゃ相性がいいなって思いました。今回みんなが気軽に参加してくれたのも『FORTNITE』だからっていうのも大きいと思っていて。これが別のゲームやプラットフォームだったとしたらまた全然違った感じになっただろうなって。『ドラゴンボール』や『NARUTO』、『リック・アンド・モーティ』ともコラボしていて、EminemやTravis(Scott)も登場する……そんなゲーム、『FORTNITE』しかないですよね。ある意味でメタバースが浸透する前からメタバース的なことをやっていたと思うし。今後スキンや乗り物などをもっと自由にデザインできるようになったら、より自分の世界観を作り込むことができるんじゃないかなって感じますね。
――WAVYさん、唾奇さん、ELIONEさんはいかがですか? 今回OZworldさんがやったように、自身のワールドを作成してみたいと思いますか?
JP THE WAVY:そうですね……オズ(OZworld)にすごいワールドを作ってもらって、自分はそこに遊びに行くのがいいっすね(笑)。
ELIONE:確かに。そこはオズが得意としている部分だから、お任せして。俺らはそこで遊ばせてもらう。
JP THE WAVY:俺らはエンジョイ勢なんで。
唾奇:オズがやるまでこんなこと思いつきもしなかったし、オズがやったからこそ、みんな集まったと思うんですよね。だから「次はもっとこうした方がいいんじゃない?」って言うのが俺たちの役割なのかなって。
OZworld:この距離感のみんなからフィードバックをもらえるのが嬉しいんですよね。価値観の近い人たちがおもしろいって思ってくれるものを作っていきたいです。そこにプラスアルファで、コミュニティの形成とか、自分たちの活動のプラスになるようなところに繋がっていけばいいなって思います。
ELIONE:今回オズがやったことってめちゃめちゃ新しい取り組みだし、ラッパーがこういうプロジェクトをやるっていうことがすごいですよね。ただ、そうやって前例のないことをやると野次を飛ばしてくるやつもいると思うんです。なので、メディアのみなさんはもっと取り上げるべきだし、シンプルにもっと応援してあげてください。
OZworld:ありがとうございます(笑)。
――実際に今回のワールド作成を担当したGAJUNiLさんにも感想をお聞きしたいです。
GAJUNiL:『NiLLAND』は「ソフビを作りたい」、「そのためのキャラクターを作成しよう」っていうところからスタートしてるんですけど、そこから2年くらいで色々と展開していって、関わってくれる人も増えた。今回はこんな豪華なアーティストのみなさんにも参加してもらえて、シンプルにめちゃくちゃ嬉しいですね。
OZworld:実際にソフビを作ることもできたし、構想していたことを一つひとつクリアしていってますよね。ここ(OZworld、GAJUNiL)の関係性でいうと、最初は意識的に自分が前に出ていたんですけど、実際に色々と作ったり動いたりする比重はHisajimaさん(GAJUNiL)の方が大きくて。わかりやすい例でいうと、『NiLLAND』の母親と父親みたいな感じなんです。母親(GAJUNiL)がお腹を痛めて生み出して、父親(OZworld)がすくすくと育ててくれる。ガジュマルの木から名前を取ったのも、そういった意味が込められています。
Hisajimaさんのおかげで、(音楽作品の)アートワーク用に作ったアイテムなんかも『NiLLAND』内で再登場させることができるし、なんならそれが歩いたりもする(笑)。
GAJUNiL:それこそ今回のワールドに登場させた「OZworld像」は実際に本人を360度撮影したデータを元に作成しているので、そのリアルな造形にも注目してもらいたいですね。
――『GAMING PARTY 2』をやるとしたら、どんなことに挑戦してみたいですか?
GAJUNiL:できたらレーシングフィールドを作りたいですね。
OZworld:WAVYさんが日本語主題歌を担当していた『ワイルド・スピード』にもちなんで。
JP THE WAVY:それだったら撃てなくても問題ないしね(笑)。
ELIONE:今度はアクセル踏めなくなるかもしれないけど(笑)。
※この日、JP THE WAVYは射撃ボタンが機能しないというトラブルが起きた
OZworld:メタバース内だったら色々な空間を作って、それぞれ繋げることもできるので、WAVYワールド、唾奇ワールド、ワンさん(ELIONE)ワールドを作って、それぞれの世界観を構築してみるのもおもしろいですよね。というか、今後はそういうプロジェクトがどんどん増えていくんじゃないかなって思います。それこそ今回使用したバトルフィールドは唾奇さんの発言から生まれたんです。
唾奇:「戦わないとおもしろくないんじゃない?」って言ったよね。
GAJUNiL:それで数日前に急遽作ることにしました(笑)。
OZworld:そうやって柔軟に対応できるのも、こういうメタバースのよさだと思いますね。
4人のゲームとの付き合い方
――みなさんは普段、どのようなタイミングでゲームをプレイすることが多いですか?
OZworld:最近ちょっと忙しくて、しばらくできてなかったんですけど、〈FENNEL〉主宰の大会(『FENNEL CUP vol.3』)に出て以降、少しづつ復活してきました。基本的には暇なとき、時間が空いたときにプレイするっていう感じなんですけど、たまにドハマりして1日中やっちゃうときもあります。
JP THE WAVY:俺は仕事終わって、家に帰ってからゆっくりしてるときに遊ぶことが多いですね。ワンくんが「『FORTNITE』やろう」って誘ってくれて、唾奇くんがめっちゃ上手いっていうことで「こういうコントローラー買った方がいいよ」とか、色々教えてもらいました。それで「いざやるぞ」ってなったら、唾奇くんは『Apex』(Apex Legends)にハマってて、結局一緒に『FORTNITE』やったのは今日が初めてでしたね。
OZworld:俺も唾奇くんと同じくらいのタイミングで『Apex』にハマってましたね。WAVYくんも誘ったんですけど、WAVYくんはずっと『FORTNITE』派で(笑)。
唾奇:そういうところにも一途な性格が出てますね。
ELIONE:やっぱりコロナ禍が大きかったよね。必然的に家にいる時間が増えたから、仕事の合間にゲームをやるようになって。WAVYと同じで俺も夜にやることが多いですね。グループラインに連絡して友だちと一緒にやったり。
――唾奇さんはいかがですか?
唾奇:一時期は寝ているとき以外はずっとゲームをやってるような生活になっていました。でも、ゲームよりも人生の方が大事じゃないですか。ゲームの中に人生があるんじゃなくて、人生の中にゲームがある……あれ、どういう質問でしたっけ?(笑)
――(笑)。過去のOZworldさんのインタビューでは、ゲームをつけると常に唾奇さんがオンライン状態になっているという話もありました。
唾奇:やっぱり『FORTNITE』とか『Apex』って人と競うから、終わりがないんですよね。上には上がいるし。そうやってゲームをやり続けた結果、1秒たりとも画面から目を離さないようにジュースも正面からじゃなくて横から飲むようになりました。キスも横からできます(笑)。
ELIONE:今の発言は全部使ってください(笑)。
――熱中するとどこまでもやってしまいますよね。区切りをつけるために意識していることはありますか?
ELIONE:俺らは結構みんなでやるんで、誰かが止めてくれるんですよね。俺も負けると熱くなって何回もやりたくなるんですけど、たいていWAVYが「いや、もうここら辺でやめときましょう」って止めてくれますね。
JP THE WAVY:遅くても夜中3時くらいにはやめとくかってなりますね。ただ、コロナ禍のときはヤバかったです。それこそ一日中やってるときもあった。今は目から涙が出てきたら終わりにします。
OZworld:自分もコロナ禍とのきは廃人レベルでしたね。『DayZ』っていう死にゲー(難易度が高く、何度もゲームオーバーになるゲーム)をやってたんですけど、リアルよりゲーム内での食べ物のことを考えることの方が多かったくらい。
――今回の『GAMING PARTY』を通して、音楽カルチャーとゲームカルチャーの融合という観点から何か新しいヴィジョンや可能性は見えましたか?
OZworld:元々はオンチェーン上に『NiLLAND』を作ろうっていう話を進めていたんですけど、そうこうしているうちにUEFMで無料でメタバースと近いことができるようになって、一回実験的に今回の企画を立ち上げたっていう経緯があるんです。オフラインでアーティストとファンがコミュニケーションを取るのって、色々な面でハードルが高いと思うんですけど、今回のようにゲームを介してなら、お互い気軽に、フランクに絡むことができる。今の段階ではやれることもそこまで多くはないかもしれないけど、今後はどんどん進化発展していくと思うし、いずれくるであろう未来のために今は実験している感じですね。現状では実装されていない機能などについても想像を働かせつつ。
――アーティストとファン、双方向からコミュニケーションを取れるという点では、Instagram Liveなどとは異なる可能性を感じました。
OZworld:たしかに。そういった相互性って、Web3の特性ともリンクする部分があると思うんです。メタップス創設者の佐藤航陽さんはメタバースやWeb3を「神の民主化」と喩えていて、それぞれが自分の世界を作ることができるようになるし、そこで自分が好きなように物理法則や独自のルールを設定できる。当たり前に空を飛ぶ世界を作ったり、現実の渋谷の街並みをそのままメタバースに落とし込むこともできる。スマートグラスやヘッドセットなどのデバイスがもっと進化したら、想像もできなかったことが実現していきそうですよね。
とはいえ、音楽とコラボレーションする上ではやっぱり著作権をクリアにすることが大事なので、そこは上手く交通整理する必要があるのかなと思います。
――ただゲーム内で音楽がかかるだけではない、もっと有機的なコラボレーションの形も期待できそうです。
OZworld:TikTokとかもそうだと思うんですけど、今の時代って音楽は“聴く”だけなじゃくて“使う”ものになってきてる気がしていて。ゲームと音楽が組み合わさることで、それぞれを新しいカタチで楽しめるようになるんじゃないかなって思いますね。
――ある意味、コミュニケーションツールのようにもなっていますよね。
OZworld:ゲームも同じだと思うんです。もちろんひとりでプレイして楽しむのもいいんですけど、今ってゲームは多くの人たちとの共通言語になってますよね。職業や年齢、生い立ちなどが違ってもゲームを通して仲良くなれる。実際にアーティスト仲間の中にも、ゲームを通して深い関係を築けた人も多くて。
「みんなで敵を倒そう」とか、「1位を目指そう」とか目的がある分、リアルよりも濃いコミュニケーションを取れることもあって。沖縄でひとりでゲームしてたときも、北海道にいる人とずっとプレイしていて。その人と初めてリアルで会ったときは昔からの親友みたいな感覚になりましたね。
「みんなの共通項」になることを目指して
――音楽カルチャーとゲームカルチャーの融合、もしくは新しい関わり方について、JP THE WAVYさん、ELIONEさん、唾奇さんは何か見えてきましたか?
唾奇:『ゼルダ』とか『マリオ』とかやってた小さい頃から考えたら、自分の歌声がゲーム内で使われているっていうのが信じられなくて(※)。今後はもっと当たり前に僕らの曲が流れるようになったら嬉しいですよね。僕ら、音楽と同じくらいゲームも愛しているので。
※2023年発売のサッカーゲーム『EA SPORTS FC:tm: 24』のサウンドトラックにAwich、唾奇、OZworld、CHICO CARLITOによるマイクリレー曲“RASEN in OKINAWA”が収録
OZworld:間違いない。唾奇さんは“RASEN in OKINAWA”で『Apex』のキャラクターのセリフをサンプリングしてるくらいなんで。
唾奇:今アルバムを作ってるんですけど、その中には『Apex』やり過ぎでこのままヤバいぞ……っていう曲も入る予定です(笑)。
――ヤバいですね(笑)。ELIONEさんはいかがですか?
ELIONE:俺らよりもゲームが好きな、いわゆるゲーマーと言われるような人たちって、何かひとつのことに夢中になっているという点で俺たちとも通ずる部分があるんですよね。さっきオズも言ってたけど、音楽とか興味ない人でも、ゲームという共通の話題を介して仲良くなれることも多くて。今日もオズに誘ってもらって、ゲームの中でみんなと一緒になれた。ゲームに対してはすごい感謝の気持ちがあるんですよね。だから、今度は俺らの音楽もゲームみたいにみんなの共通項になれるように、一生懸命頑張って作っていきます。
JP THE WAVY:ワンくんがめっちゃ綺麗にまとめるから何も言うことなくなっちゃった(笑)。
ELIONE:WAVYの気持ちも俺が代弁したんで(笑)。
OZworld:WAVYくんの曲はめっちゃゲームで使われてますよね。
ELIONE:そういえば、NBAのゲームやってたらWAVYの曲流れてきたな。
JP THE WAVY:『NBA 2K23』と『NBA 2K24』で1曲ずつ使ってもらってます。あとはレースゲームの『Need for Speed Unbound』にも入ってますね。次は『太鼓の達人』で使われたいです。
ELIONE:それはヤバい(笑)。俺の曲も『星のカービィ』で使ってほしいな。
――そこまでいったら文句なしに「みんなのもの」と言えそうですね。最後に、せっかくなのでみなさんの今年の抱負を教えてもらえますか?
OZworld:年末に忘年会と銘打って、今自分が抱えているプロジェクトに関わってくれている人たちを一気に繋げたんです。なので、今年はそれぞれのプロジェクトがひとつのビジョンに向かって進んでいくっていうことを意識しています。周りの人もどんどん巻き込みながら、辰年なのでドラゴンのように螺旋上昇していきたいですね。
JP THE WAVY:抱負……難しいですね。毎年やることは一緒だけど、規模を拡大させていきたいです。今年は全部かっさらえるように頑張ります。
ELIONE:俺も同じで、いつも通りですね。それこそ年末に『As Usual』(意味:いつも通り)っていうEPを出したんですけど、今年はアルバムも出すしワンマンもやります。みんなにも協力してもらうんで、よろしくお願いします。
――唾奇さんはどうですか?
唾奇:コロナ禍で怠惰な生活になって、それがしばらく抜けずにいたんですけど、最近は原点回帰というか音楽をやり始めた頃の気持ちを思い出したんです。昔はこれで飯が食えるとか考えもせずに、ただ好きだから音楽を作ってた。その当時のヴァイブスで今年はもっと音楽を作って、ファンやリスナーにも会える機会を増やしていきたい。ゲームはほどほどにして(笑)。
【イベント情報】

ホスト:

OZworld
GAJUNiL

ゲスト:

JP THE WAVY
唾奇
ELIONE
■JP THE WAVY: X(Twitter)(https://twitter.com/Sorry_Wavy) / Instagram(https://www.instagram.com/sorry_wavy/)
■唾奇: X(Twitter)(https://twitter.com/tubaki_0804) / Instagram(https://instagram.com/tubaki_hito)
■ NiLLAND オフィシャルサイト(https://nilland-official.com/)

Spincoaster

『心が震える音楽との出逢いを』独自に厳選した国内外の新鋭MUSICを紹介。音楽ニュース、ここでしか読めないミュージシャンの音楽的ルーツやインタビュー、イベントのレポートも掲載。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着