L→R 小林 勝(Ba)、甲本ヒロト(Vo)、真島昌利(Gu)、桐田勝治(Dr)

L→R 小林 勝(Ba)、甲本ヒロト(Vo)、真島昌利(Gu)、桐田勝治(Dr)

【ザ・クロマニヨンズ リコメンド】
ストレートと変化球のバランスで
魅了する最新アルバムが到着!

うまくいかないことも
あればいいこともある

 アナログ盤で言えば、ここからB面1曲目ということになる7曲目「メロディー」。力強いサウンドと王道のコード進行で、キャッチーなメロディーが高らかに歌われる。ひたむきさと情熱を込めた歌詞が無条件に“青さ”を肯定していて、清々しい。そして、「あいのロックンロール」よりも徹底してタイトルを繰り返す「くだらねえ」。淡々としたリズムからソリッドな演奏に移り変わっても、本当に最後までこのタイトルを連呼するだけの構成がすごい。そのぶん、演奏の起伏や歌のニュアンスの変化がはっきり分かるという仕掛けになっている。

 続く「ダーウィン(恋こそがすべて)」はポップなコーラスが終始、聴き手を緩い気持ちにさせてくれる。ゆったりと開放感のあるサウンドに、進化論をヒントにした疑問を投げかける歌詞も、やはり深くて鋭い。そこからガラッと曲調が変わり、10曲目「SEX AND VIOLENCE」では鋭い演奏とコーラスが、スピード感のあるサウンドを構築する。“日曜日”や“夏休み”というワードが現れるにもかかわらず、どこか切迫した空気や焦燥感が立ち込める。後半のハープソロもカッコ良い。そのハープが一転、のどかなイントロを奏でて始まる11曲目「不器用」。うまくいかないこともあればいいこともあるという、あまりに普遍的な言葉を使って語ることで、安堵感を与えてくれる曲だ。あえてひねることをやめ、真正面から歌う心地良さがここにある。

 ラストは「男の愛は火薬だぜ ~『東京火薬野郎』主題歌~」。60年代の日活アクション映画にありそうなタイトルで、サブタイトルまで足すことでリアルさが増している。日活アクション映画と言えば、無国籍な設定や荒唐無稽なストーリーなど、スタイリッシュな作風が特徴。ここでは架空の映画の主題歌として、エンドロールにぴったりな収まり方をしている。どっしりと重いサウンドに、昭和のスクリーンが似合う歌詞。哀愁がありながらも乾いた言葉がアルバムを締め括る。

 今回はタイトルの面白さが目立つ楽曲が多いが、その言葉に誰もが持つイメージに忠実な曲もあれば、いい意味で裏切る曲もあったりと、聴き手にさまざまな楽しみを与えてくれる。同時に、ザ・クロマニヨンズのメンバーたち自身も楽しんで作っているのが伝わってくるアルバムだ。これまでも数多くの楽曲やアルバムを制作してきたが、尽きることのないアイディアと独自のセンスで意欲作を作り続ける彼らの最新の世界が味わえる。

OKMusic編集部

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