【shallm ライヴレポート】
『shallm 1st Live - liliana -』
2023年12月11日 at 代官山UNiT

　shallm初のワンマンライヴ『shallm 1st Live - liliana -』が12月11日、東京・代官山UNITで開催された。ギター、ベース、キーボード、ドラムの生バンドを従えて、本人もギターを演奏。これまでに配信リリースした楽曲だけでなく、ライヴのみで演奏してきた楽曲、さらに“歌ってみた”動画でお馴染みのボカロ曲カバー、そして1月から放送されるアニメ『姫様“拷問”の時間です』のオープニングテーマ「まっさかさマジック！」を初披露。実に多彩な全18曲を圧巻のハイトーンヴォーカルで歌い上げ、集まったファンを魅了した。

　白を基調にした衣装の可愛らしい出で立ちで登場したヴォーカルのlia。この衣装はliaが大好きだというイラストレーターの色田がデザインを担当し、スタイリストの佐野夏水が仕立てたという。そして、肩から提げた白いストラトキャスター。完全武装でマイク前に立ち、1曲目に披露したのは彼女初のオリジナル曲「夢幻ホログラム」。疾走感のあるバンドサウンド、きらびやかなギター。雨上がりに掛かった虹が、明るい未来へと彼女を導いているようなイメージが目の前に広がった。

　“shallmです。最後までよろしくお願いします。ワンマンなので、曲たくさんやりますね”とlia。続いて、12月6日に配信リリースしたばかりの「白魔」を繰り出す。冬というモチーフを、彼女らしい斜め上の目線から書き上げた同曲。グルービーなサウンドに乗せて、身振り手振りを交えながら迫力あるヴォーカルを聴かせる。そして、しっとりとしたピアノを中心にしたサウンドのミディアムナンバー「短夜の星」では、切ないウィスパーから心の叫び声のようなハイトーンまで、巧みなヴォーカルで孤独な夜を表現した。

　この日は未リリースのオリジナル曲だけでなく、公式YouTubeチャンネルでもお馴染みのカバーも多く歌ってファンを楽しませた。未リリースのオリジナル曲はネガティブな感情を疾走感あふれるサウンドとともにぶつけて、何もかも忘れたいといった雰囲気の「if 1/2」。早口でハイトーンのメロディーを畳みかける、ネット発の音楽のような今っぽさを持った「ハイドレンジアブルー」。トリッキーなギターも印象的な「stardust」では、そのノリの良さに会場にはクラップが湧き起こった。

　また、カバーはバルーンの「シャルル」、米津玄師×菅田将暉の「灰色と青」、じんの「サマータイムレコード」アニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』の挿入歌「God knows…」など、ボカロ曲からJ-POP、アニソンと実にさまざまだが、どれもロックサウンドであり、どこか切なさをはらんだ青い空を想像させるといった共通項が感じられた。

　ライヴ終盤はLast Note.の「セツナトリップ」、GOUACHEの「RED」、そしてオリジナル曲「脳内ディストーション」といったアッパーのロックチューンを投下。轟音のバンドサウンドの上を天井を突き破りそうなハイトーンが乗り、観客も手を挙げて体を揺らしてshallmの音の海に体を委ねる。

“これからどんな景色を見せていくか、楽しみにしていてください。来年もみなさんがハッピーでラッキーな日々を送れるように、この曲を贈ります”

　そんな言葉から本編ラストナンバー、ドラマ『女子高生、僧になる。』のオープニング主題歌に起用されたメジャーデビュー曲「センチメンタル☆ラッキーガール」へ。トリッキーなギターや早口のメロディーも印象的なポップチューンに客席は盛り上がり、liaは激しくギターをかき鳴らしながら《負けないように》と集まった観客にエールを送った。

　アンコールではliaがアコースティックギターの弾き語りでn-bunaの「夜明けと蛍」を歌い上げると、再びバンド形態に戻って新曲「まっさかさマジック！」を初披露。そして、はるふりの「右に曲ガール」、オーラスはメジャー2ndシングルの「境界戦」！　まるで乱気流に飲み込まれたように乱高下するメロディーは、怖いのにまた乗りたくなるジェットコースターのように癖になる。爽快さのあるビートだが、その世界観は実にダーク。同曲はとあるアニメをモチーフに作ったそうだが、人間の醜さと美しさが垣間見れる。そんな異なる両面を同居させたこの曲に、shallmというバンドの持つ魅力が詰め込まれていた。

　「まっさかさマジック！」は1月から放送されるアニメ『姫様“拷問”の時間です』のオープニングテーマに決定しているほか、この日、2024年に3月10日に恵比寿リキッドルームで『shallm 2nd Live – アイオライト -』を開催すると発表。メジャーデビューしてまだ1年にも満たないshallmだが、快進撃はすでに始まっている！