REPORT | Mega Shinnosuke 『ロック
はか゛わ゛い゛い゛』「一生続いてい
くようなロックンロールを」──アル
バム2作を発表した2023年の総決算的
ライブ 「一生続いていくようなロッ
クンロールを」──アルバム2作を発
表した2023年の総決算的ライブ

Text by Ryutaro Kuroda(https://twitter.com/KURODARyutaro)
Photo by momosuga


12月5日(火)、この日はチバユウスケの訃報から始まった。悲しいというよりも信じられない、という気持ちの方が強く、自分でも驚くほど狼狽ていた。現実がぼやけていく感覚、SNSを見ても日本中が悲嘆に暮れていたように思う。頭がぼんやりとしたまま夕方になり、重い足取りで時間ギリギリに渋谷Spotify O-EASTに着くとすぐにライブが始まった。どんよりとした空気を吹き飛ばすように、Mega Shinnosukeは終始ぶっちぎっていた。

BGMはGreen Dayの「American Idiot」。この日も歌われた「aishiteru_no_mention」のリファレンスである。これが『ロックはか゛わ゛い゛い゛』のモードなのだろう。ギターが2人とベースがひとり、ドラム、DJがステージに上がり、拍手と共にMega Shinnosukeが現れる。《ロックはか゛わ゛い゛い゛》というアルバムの1トラック目のボイスが流れた後、彼がサッカーボールを蹴り入れる。キックオフということだろうか? 気持ちを逸(はや)らせるような「Sports」のビートが痛快で、ノイジーなギターが脳天を揺さぶる「Thinking Boyz!!!」へと繋がっていく。
とにもかくにも凄まじい音圧。豪快なバンド・サウンドに血が沸騰し、まだ2曲目だというのに会場のボルテージはぐんと高まっていく。「次の曲にいく前にひとつだけ言っておきたいんだけど、嫌いってのは、めっちゃ好きってことやねん」。そんな愛憎相半ばする「東京キライ☆」は、Mega Shinnosukeの衝動が溢れるロック・チューンであり、同時にラブソングなのだろう。チャーミングなパーカッションが印象的な「aishiteru_no_mention」を挟んで、「憂鬱なラブソング」をプレイ。ここまでの5曲はひたすら加速していくイメージ。ブレーキが壊れているとわかっていながらアクセルを踏むような、そんな向こう見ずなテンションを感じるライブである。

上記のラブリーな3曲を終えるとMC。お客さんと積極的にコミュニケートする姿も印象的である。ほろ酔いで気持ちよくなるようなリズムの「酒を飲んでも神には成れない」、爽やかな風を感じる「迷子なblue」でリラックスしたムードを感じていると、メロウな音色の「兄弟」へと移っていく。最初のハイライトはここだろう。グルーヴィなベースに連れられて、どっぷりとした深みを感じる演奏を披露する。そして即興で刻まれるリリック──《死んだロックスター ユウスケチバ だけどオレは生きてる今 ここがバースデイ》。この日、Mega Shinnosukeは何度も「ロックスター」という言葉を口にし、「俺は生きている」、「ロックは継承されていくもの」と謳っていた。
「肩の力を抜いていこうよ。ここは教室でも会社でもないから」、と言って演奏するのは「TOKYO VIDEO」。アコギのイントロ、路地裏を歩く猫のような寂しそうなギター、そしてふわふわと漂うような歌声……アルバムではこのチルいムードのまま「lofi beach with ü」にいくわけだが、このライブにおいては台風の前の静けさである。この後歌った「桃源郷とタクシー」(間奏のギター・ソロがカッコいい!)からは、カラフルで狂騒的な時間へと進んでいった。

小気味良いカッティングと、どことなく物憂げに感じるエレクトロ・サウンドが交わる「10000回のL.O.V.E.<3」は、ライヴで聴くと一層心地いい。洒脱なフレーズを聴かせる「Sweet Dream feat. Jinmenusagi」も、音源で聴くよりもずっとボトムが強調されており、力強くフロアを揺らしていく。ここら辺からMega Shinnosukeのタガも外れており、キュートでダンサブルな「アイシテル人生 feat. 初音ミク」、ファンキーな「O.W.A」が腰を刺激する頃には、「レッツゴー!」と叫びながら何度も何度も「調子はどう? 調子はどう!」と繰り返してオーディエンスを焚き付けていく。
……なんというか、衝動が溢れ出し、それがそのまま歌になって吐き出されるようなステージである。ところどころ声にならなくなってしまうのも、気持ちの速度に言葉が追いついていないからだろう。「こういう楽しい日があると、生きてるって気がするでしょ。ロック・スターが亡くなっても、またロック・スターが生まれるんじゃないかな。一生続いていくようなロックンロールをやりたい」と言って歌った「一生このまま」。しかし、一生続くものなんかないとわかっているから、彼は歌っているのではないか。たとえば「東京キライ☆」に、《愛のためと踊ってよ/だってさ、どう足掻いても/僕等はいつか死ぬんだぜ》というリリックがあるように、一瞬で終わっていく人生と、一生残っていく(かもしれない)音楽への憧憬が、彼の音楽をスパークさせているように思うのだ。
青いライトの下で「甲州街道をとばして -alternative ver.-」を歌って本編終了。Mega Shinnosukeのディスコグラフィの中でも、一際ロマンチックな曲である。アンコールに応えた彼は、「何かを好きで生きてるって気持ち、ずっと大切にしてほしい。俺はそんな気持ちを込めて曲を作っている」と語り、「永遠の少年」、「明日もこの世は回るから」を歌ってステージを後にする。『2100年』、『ロックはか゛わ゛い゛い゛』という、ロック・サウンドにフォーカスしたアルバムを2作発表した年のツアー・ファイナルに相応しい、2023年の総決算のようなライブである。

Mega Shinnosukeはこの東京公演をもってワンマン・ツアーを完走したばかりだが、早くも年明けより初の弾き語りツアー、そして春には同じくこちらも初の試みとなるツーマン・ツアーを開催する。行動派・Mega Shinnosukeはどうやら来年も忙しく動くようだ。
Setlist
M1. Sports
M2. Thinking Boyz!!
M3. 東京キライ☆
M4. aishiteru_no_mention
M5. 憂鬱なラブソング
M6. 酒を飲んでも神には成れない
M7. 迷子なblue
M8. 兄弟
M9. TOKYO VIDEO
M10. 桃源郷とタクシー
M11. 10000回のL.O.V.E.<3
M12. Sweet Dream feat. Jinmenusagi
M13. アイシテル人生 feat. 初音ミク
M14. O.W.A
M15. 一生このまま
M16. 甲州街道をとばして alternative ver.
En. 永遠の少年
En2. 明日もこの世は回るから
【イベント情報】

『MEGA 弾き語り旅』

2024年1月8日(月・祝) at 福岡 ROOMS
2024年1月12日(金) at 大阪・京橋 BERONICA
2024年1月20日(土) at 北海道・札幌 brew it
2024年1月24日(水) at 愛知・名古屋 TOKUZO
2024年1月27日(土) at 東京・下北沢 440

料金:ADV. ¥3,000 (1D代別途)

・チケット
一般発売:12月3日(日)10:00〜 e+(https://eplus.jp/megashinnosuke/) / ローソン(https://l-tike.com/megashinnosuke2401) / ぴあ(https://w.pia.jp/t/megashinnosuke-2024/)

TOTAL INFO:ライブマスターズ(03-6379-4744)

==

『Mega Shinnosuke 2MAN TOUR』

日時:2024年3月29日(金) OPEN 18:00 / START 19:00
会場:愛知・名古屋 CLUB QUATTRO
料金:ADV. ¥4,500 (1D代別途)

日時:2024年3月30日(土) OPEN 17:00 / START 18:00
会場:大阪・梅田 CLUB QUATTRO
料金:ADV. ¥4,500 (1D代別途)

日時:2024年4月6日(土) OPEN 16:00 / START 17:00
会場:東京・渋谷 WWW X
料金:ADV. ¥4,500 (1D代別途)

・チケット
オフィシャル先行(e+)(https://eplus.jp/megashinnosuke/) :12月18日(月)〜12月24日(日)23:59まで

※18歳以下は当日チケット代¥1,000キャッシュバック

TOTAL INFO:ライブマスターズ(03-6379-4744)

■ Mega Shinnosuke オフィシャル・サイト(https://megashinnosuke.com/)
Text by Ryutaro Kuroda(https://twitter.com/KURODARyutaro)
Photo by momosuga


12月5日(火)、この日はチバユウスケの訃報から始まった。悲しいというよりも信じられない、という気持ちの方が強く、自分でも驚くほど狼狽ていた。現実がぼやけていく感覚、SNSを見ても日本中が悲嘆に暮れていたように思う。頭がぼんやりとしたまま夕方になり、重い足取りで時間ギリギリに渋谷Spotify O-EASTに着くとすぐにライブが始まった。どんよりとした空気を吹き飛ばすように、Mega Shinnosukeは終始ぶっちぎっていた。

BGMはGreen Dayの「American Idiot」。この日も歌われた「aishiteru_no_mention」のリファレンスである。これが『ロックはか゛わ゛い゛い゛』のモードなのだろう。ギターが2人とベースがひとり、ドラム、DJがステージに上がり、拍手と共にMega Shinnosukeが現れる。《ロックはか゛わ゛い゛い゛》というアルバムの1トラック目のボイスが流れた後、彼がサッカーボールを蹴り入れる。キックオフということだろうか? 気持ちを逸(はや)らせるような「Sports」のビートが痛快で、ノイジーなギターが脳天を揺さぶる「Thinking Boyz!!!」へと繋がっていく。
とにもかくにも凄まじい音圧。豪快なバンド・サウンドに血が沸騰し、まだ2曲目だというのに会場のボルテージはぐんと高まっていく。「次の曲にいく前にひとつだけ言っておきたいんだけど、嫌いってのは、めっちゃ好きってことやねん」。そんな愛憎相半ばする「東京キライ☆」は、Mega Shinnosukeの衝動が溢れるロック・チューンであり、同時にラブソングなのだろう。チャーミングなパーカッションが印象的な「aishiteru_no_mention」を挟んで、「憂鬱なラブソング」をプレイ。ここまでの5曲はひたすら加速していくイメージ。ブレーキが壊れているとわかっていながらアクセルを踏むような、そんな向こう見ずなテンションを感じるライブである。

上記のラブリーな3曲を終えるとMC。お客さんと積極的にコミュニケートする姿も印象的である。ほろ酔いで気持ちよくなるようなリズムの「酒を飲んでも神には成れない」、爽やかな風を感じる「迷子なblue」でリラックスしたムードを感じていると、メロウな音色の「兄弟」へと移っていく。最初のハイライトはここだろう。グルーヴィなベースに連れられて、どっぷりとした深みを感じる演奏を披露する。そして即興で刻まれるリリック──《死んだロックスター ユウスケチバ だけどオレは生きてる今 ここがバースデイ》。この日、Mega Shinnosukeは何度も「ロックスター」という言葉を口にし、「俺は生きている」、「ロックは継承されていくもの」と謳っていた。
「肩の力を抜いていこうよ。ここは教室でも会社でもないから」、と言って演奏するのは「TOKYO VIDEO」。アコギのイントロ、路地裏を歩く猫のような寂しそうなギター、そしてふわふわと漂うような歌声……アルバムではこのチルいムードのまま「lofi beach with ü」にいくわけだが、このライブにおいては台風の前の静けさである。この後歌った「桃源郷とタクシー」(間奏のギター・ソロがカッコいい!)からは、カラフルで狂騒的な時間へと進んでいった。

小気味良いカッティングと、どことなく物憂げに感じるエレクトロ・サウンドが交わる「10000回のL.O.V.E.<3」は、ライヴで聴くと一層心地いい。洒脱なフレーズを聴かせる「Sweet Dream feat. Jinmenusagi」も、音源で聴くよりもずっとボトムが強調されており、力強くフロアを揺らしていく。ここら辺からMega Shinnosukeのタガも外れており、キュートでダンサブルな「アイシテル人生 feat. 初音ミク」、ファンキーな「O.W.A」が腰を刺激する頃には、「レッツゴー!」と叫びながら何度も何度も「調子はどう? 調子はどう!」と繰り返してオーディエンスを焚き付けていく。
……なんというか、衝動が溢れ出し、それがそのまま歌になって吐き出されるようなステージである。ところどころ声にならなくなってしまうのも、気持ちの速度に言葉が追いついていないからだろう。「こういう楽しい日があると、生きてるって気がするでしょ。ロック・スターが亡くなっても、またロック・スターが生まれるんじゃないかな。一生続いていくようなロックンロールをやりたい」と言って歌った「一生このまま」。しかし、一生続くものなんかないとわかっているから、彼は歌っているのではないか。たとえば「東京キライ☆」に、《愛のためと踊ってよ/だってさ、どう足掻いても/僕等はいつか死ぬんだぜ》というリリックがあるように、一瞬で終わっていく人生と、一生残っていく(かもしれない)音楽への憧憬が、彼の音楽をスパークさせているように思うのだ。
青いライトの下で「甲州街道をとばして -alternative ver.-」を歌って本編終了。Mega Shinnosukeのディスコグラフィの中でも、一際ロマンチックな曲である。アンコールに応えた彼は、「何かを好きで生きてるって気持ち、ずっと大切にしてほしい。俺はそんな気持ちを込めて曲を作っている」と語り、「永遠の少年」、「明日もこの世は回るから」を歌ってステージを後にする。『2100年』、『ロックはか゛わ゛い゛い゛』という、ロック・サウンドにフォーカスしたアルバムを2作発表した年のツアー・ファイナルに相応しい、2023年の総決算のようなライブである。

Mega Shinnosukeはこの東京公演をもってワンマン・ツアーを完走したばかりだが、早くも年明けより初の弾き語りツアー、そして春には同じくこちらも初の試みとなるツーマン・ツアーを開催する。行動派・Mega Shinnosukeはどうやら来年も忙しく動くようだ。
Setlist
M1. Sports
M2. Thinking Boyz!!
M3. 東京キライ☆
M4. aishiteru_no_mention
M5. 憂鬱なラブソング
M6. 酒を飲んでも神には成れない
M7. 迷子なblue
M8. 兄弟
M9. TOKYO VIDEO
M10. 桃源郷とタクシー
M11. 10000回のL.O.V.E.<3
M12. Sweet Dream feat. Jinmenusagi
M13. アイシテル人生 feat. 初音ミク
M14. O.W.A
M15. 一生このまま
M16. 甲州街道をとばして alternative ver.
En. 永遠の少年
En2. 明日もこの世は回るから
【イベント情報】

『MEGA 弾き語り旅』

2024年1月8日(月・祝) at 福岡 ROOMS
2024年1月12日(金) at 大阪・京橋 BERONICA
2024年1月20日(土) at 北海道・札幌 brew it
2024年1月24日(水) at 愛知・名古屋 TOKUZO
2024年1月27日(土) at 東京・下北沢 440

料金:ADV. ¥3,000 (1D代別途)

・チケット
一般発売:12月3日(日)10:00〜 e+(https://eplus.jp/megashinnosuke/) / ローソン(https://l-tike.com/megashinnosuke2401) / ぴあ(https://w.pia.jp/t/megashinnosuke-2024/)

TOTAL INFO:ライブマスターズ(03-6379-4744)

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『Mega Shinnosuke 2MAN TOUR』

日時:2024年3月29日(金) OPEN 18:00 / START 19:00
会場:愛知・名古屋 CLUB QUATTRO
料金:ADV. ¥4,500 (1D代別途)

日時:2024年3月30日(土) OPEN 17:00 / START 18:00
会場:大阪・梅田 CLUB QUATTRO
料金:ADV. ¥4,500 (1D代別途)

日時:2024年4月6日(土) OPEN 16:00 / START 17:00
会場:東京・渋谷 WWW X
料金:ADV. ¥4,500 (1D代別途)

・チケット
オフィシャル先行(e+)(https://eplus.jp/megashinnosuke/) :12月18日(月)〜12月24日(日)23:59まで

※18歳以下は当日チケット代¥1,000キャッシュバック

TOTAL INFO:ライブマスターズ(03-6379-4744)

■ Mega Shinnosuke オフィシャル・サイト(https://megashinnosuke.com/)

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『心が震える音楽との出逢いを』独自に厳選した国内外の新鋭MUSICを紹介。音楽ニュース、ここでしか読めないミュージシャンの音楽的ルーツやインタビュー、イベントのレポートも掲載。

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