MYTH & ROID are Tom-H@ck(Producer:写真右)、hotaru(Lyricist、Story planning)、KIHOW(Vo:写真左)

MYTH & ROID are Tom-H@ck(Producer:写真右)、hotaru(Lyricist、Story planning)、KIHOW(Vo:写真左)

【MYTH & ROID インタビュー】
1stアルバムを超える
ディープな世界観を作りたかった

ひとつの哲学を自分でも
見つけたような感覚があった

「...And REMNANT」の歌詞は物語のストーリーに沿って、島が沈んでいく様子を描きつつ哲学を歌っていますね。

hotaru
今回のアルバムの歌詞は全体的に英語が多いんですよね。タイアップ作品ではないということもあって、いつもよりも深い世界観にアプローチしたいということで「MOBIUS∞CRISIS」みたいに全部英語の歌詞もあったりします。ただ、全部の曲を英語にしようとか、そこまでマニアックでハードルの高いものにはしたくなくて。自分の中でバランスをとりながら歌詞の制作を進めていって、「...And REMNANT」が「AZUL」で制作した最後の曲でした。バランスをとりながらやってきたから、ここまでの曲は歌詞を書くのがすごく大変だったんです。時間がかかったし、英語の部分はネイティブに監修してもらうという作業をしているから、文字量が多いとそこでも時間がかかってしまう。そんなふうに歌詞を進め続けて「...And REMNANT」に至ったのですが、この曲だけは迷いなく…確か2時間くらいでフルコーラス書きました。

早いですね! この曲に至るまでの制作でたくさん刺激を受けて、内面に蓄積されたものが一気にあふれ出たんでしょうね。

hotaru
そうかもしれないです。「...And REMNANT」は物語の最後なので、いろんな感情を集約したいと思っていて。自分がいた場所への愛情だったり、裏切られた悲しみだったり、でも最終的にはそういったものを全部まとめて持っているような感情といった、いろんなことを表したかった。なので、それを歌詞に落とし込む時に“どうしようかな?”と思っていたのですが、実際に曲をもらってみたら、もう迷うことなく“こういうことだよな…”と。それはおっしゃっていただいたように、物語から自分が受けていたインスピレーションみたいなものをまとめていくと“悲しみさえも忘れたくない。全ては自分の経験なんだ”というところに行き着いたんです。そんなひとつの哲学を、自分でも見つけたような感覚がありました。

この曲の《悲しみさえ 生きていた証》という言葉が深く響きます。では、KIHOWさんの中で特に印象の強い曲は?

KIHOW
自分の中では、冒頭の朗読の次にくる「RAISON D’ETRE」が印象に残っていますね。この曲は今までのMYTH & ROIDになかった方向性の派手さといいますか、パーティー的な楽しさがある楽曲なので。アルバムを曲順で聴いた時に、深い世界観のある朗読のあとにこの曲が始まると“おっ!”と思うし、ヴォーカルの話で言うと、これも普段とは違うアプローチをしている部分があって。ファンの方が今まで聴いたことがないような歌を初めて歌っています。レコーディング中も“初めてだけど、不安がない状態”だったというか、確実に“これでいいんだ”と感じられて、すごく楽しいレコーディングでした。

「RAISON D’ETRE」はリズム感が良くないと歌えませんし、リズムを出しつつ弾力感のある声が求められますし、エモさも必要など、非常に難易度が高いと思います。それを楽しみながら歌われたんですよね?

KIHOW
はい。この曲は楽しい瞬間ばかりでした。曲自体がハッピーな雰囲気というのもあると思います。あとは、普段から英語の歌詞が多いので英語の部分はちゃんとアメリカ英語で歌おうと思っているのですが、この曲はサビのところであまり英語すぎない発音のほうがキャッチーに聴こえるんじゃないかと思う単語があって、正しい発音に寄せすぎずに歌ったりもしました。あとから聴き直した時に“やっぱりこうして良かったな”と思ったりもして、それが嬉しかったです(笑)。

この歌を歌いながら、そういう細かいところにもこだわれるというのはレベチと言いますか、なんと言いますか…

KIHOW
でも、それはいろいろな曲を聴いてヒントを得たからで。最近のJ-POPでは英語の発音の良さを持ち味にしなくても、英語が入っている歌詞を歌われている方もいっぱいいらっしゃいますし、そういう曲の英語の歌唱部分を聴いてみて、それが逆にいい音になっていると感じたことがあったんです。それを自分でも試してみて、すごく良かったと思います。
Tom-H@ck
「RAISON D’ETRE」も曲作りが難しかったです。今回は楽曲一曲一曲を作っていく最中にバランスを見て、“次の曲はこういうものがいいだろうな”というリアルタイム感を重視して作ったアルバムでもありました。そういう中で“明るい曲が一切ないよな”みたいなことを、途中から感じるようになって明るい曲を入れるならどこかなと考えた時、1曲目しかなかったんですよね。物語が陰りを帯びた感じになっているので、途中に明るい曲を入れ込むのは不可能で。なので、1曲目でやろうとなった時に、これもまたいろいろな問題が出てきて。というのは、MYTH & ROIDで明るい曲って今まであまりなかったんです。なので、それをどういうふうに表現するのかというのがまずあって、なおかつみんなが聴いた時に“新しいMYTH & ROIDもいいね”と言ってもらえるものを狙っていきました。

この曲も新たな挑戦だったんですね。

Tom-H@ck
はい。あと、思い出深いのが、これを作る前にhotaruさんと電話で30分くらい話したんです。どんな感じがいいかを話していて、振りきったほうがいいとなって。で、僕の中でこの曲は、常夏の島で火を焚いて、みんなで宴をしているイメージなんです。いにしえ感や、猥雑さみたいなものも表現できるといいなというのもありましたね。
hotaru
Tomさんも話したようにMYTH & ROIDは明るい曲が少なくて、それは僕の特性みたいなものも絶対にあるのですが、尖ったメッセージ性や攻撃的なメッセージ性のものが多かったりするんです。そういった楽曲に対する迷いみたいなものはまったくないけど、明るいものでアプローチする時は、特に“サビはどうしようかな?”みたいな迷いが生まれて。具体的に言うと、安っぽく聴こえてしまうんじゃないかと思ってしまうんですよ。ポジティブで分かりやすいメッセージとなると、どうしても聴いたことがあるようなフレーズになってしまう。そこをどう回避して、かつポジティブさを伝えるのかという難しさがあって。で、この曲は“Give Me Life”という言葉を何度も使っていますが、それは聴こえてきたのをそのまま活かしたんです。文法的に合っているのかとかは考えずに、“Give Me Life, Give Me Life”と言ったらメロディーに合うし、“命をください”ということで物語にも合うと思って。だから、逆に“Give Me Life”というフレーズから入って全体を書いていきました。この曲に関しては“Give Me Life”というフレーズが出てきたのが肝だったと思いますね。

OKMusic編集部

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