May'n

May'n

【May'n インタビュー】
今までのMay'nらしさと新しさ、
どっちも味わえるアツい曲になった

“私たちにハマっちゃったら、
あなたたち悪夢の始まりよ”

一方、カップリングの「Get into the Abyssmare」はご自身が音楽プロデューサー兼メインヴォーカルを務めるリズムゲーム『D4DJ Groovy Mix』内の新ユニット・Abyssmareのデビュー曲のソロバージョンで、かなりミステリアスな空気が漂う曲になっています。そもそも“Abyss=深淵”と“Nightmare=悪夢”をかけ合わせたユニット名からして、かなりヤバい匂いがするのですが。

オファーをいただいた時、新ユニットはD4DJに急に乗り込んできた外国人洋楽アーティストで、黒船的でヴィランのようなユニットにしたいと言われたんです。なので、まず強い感じを出したかったのがひとつ。あとは、「Get into the Abyssmare」の曲中でも《ナイトメアにようこそ》と歌っているのですが、ある意味で“ハマる”って悪夢だと思うんですよ。

分かります! いわゆる“沼にハマる”という表現も同じニュアンスですよね。

そうなんです。時間もお金もなくなりますから。でも、幸せじゃないですか。ただ、その幸せを知ってしまったがために他のものでは満足できないとか、ハマッたがゆえの苦しみも確かにあると思っていて。いわば、幸せと悪夢の共存だと私は考えているので、“私たちにハマっちゃったら、あなたたち悪夢の始まりよ”っていう歌にしたいし、ユニットにしたいというところから、“ナイトメア”をキーワードにしました。

なるほど。では、Abyssmareでは4人で歌っているこの曲を、なぜひとりで歌ってシングルに収録しようと思ったのしょう?

Abyssmareは新しい活動ではありますけど、May'nの活動と同じように力を入れて楽曲制作させていただいているので、部員(ファンの呼称)のみなさんやMay'nのことを好きでいてくださる方をはじめ、たくさんの方に知ってもらいたいと思いました。そもそもAbyssmareは全楽曲でレコーディング資料の仮歌を私が歌っていて、言ってみれば一度ソロバージョンを作った上でメンバーに割り振っていくので、改めてひとりで歌う難しさを感じることはなかったです。ただ、コーラスワークは4人だからこその響きがあるから、ソロバージョンでは一部変えました。

個人的にはコーラスワークが変わったことで、よりエキゾチックなムードが高まったように感じました。どこか神秘的な色合いが増したというか。

やっぱり違う人間の声を重ねたほうが厚みが出やすいので、ひとりでやるとなるとコーラスのラインを変えないとうまくいかないんですよね。そこは意識してコーラスワークを変えたので、そう言っていただけるのはすごく嬉しいです。6月にジャカルタでライヴをした時に、いち早く披露させてもらったんですけど、東南アジアでのD4DJやAbyssmareの認知度って、すごく高いんですよね。“最近、新しい挑戦をしているんだよね”ってMCで言っただけで客席がザワついて、Abyssmareの名前を出したらウオーッって歓声があがって! なので、このシングルのリリースとともに、さらにAbyssmareに注目してもらえたら嬉しいです。

May'nとしての活動はもちろん今までどおりやっていくけれど、Abyssmareとしても違う一面を見せていきたいということですね。

はい。4人のキャラクターも声優のみなさんもとても個性があるので、“この子にこれを歌ってもらいたい”とか“この子にこういう歌詞合うだろうな”とかって思いながら歌詞を書くのがとても楽しいです。おかげでクリエイティブの面でも刺激をいただけていますし、それを経て自分の曲でも歌詞を書くスピードがかなり速くなったので、本当に嬉しい出会いでした。

歌詞と言えば、3曲目の「GLORY」では非常に満足のいく歌詞が書けて、自分でもずっと聴いているとおっしゃっていましたが、その理由って何だったんでしょう?

ずっと書いてみたいテーマだったんです。もちろんアニメーション映画『マスターオブスキル For The GLORY』の日本語吹き替え版主題歌のお話をいただいてから制作したんですけど、趣味から始めたeスポーツでプロとして頑張っていこうと決めた主人公たちの想いを映画で観て共感したんです。私も“歌うことが好き!”というところから始まり、3歳頃からステージに立って歌手になろうと決めたのも、大好きな歌を一生歌っていきたかったからなんですね。でも、いざプロとして仕事になったら、ただ楽しいとか好きだけではやっていけなくて。例えばファンのみなさんのためとか、チームと一緒にプロジェクトを考えていくとか、趣味の時にはなかったものも必要になってくる。そんな中で葛藤もありつつ、小さい頃から変わらない“好き”という気持ちに大人になって得たプロとしての自覚みたいなものを共存させながら、ずっと活動を続けさせてもらっている今の想いを歌詞にしたかったんです。

野球とかサッカーとかの厳しい練習が必須のフィジカルスポーツに比べて、eスポーツは“楽しい”の比率が高いイメージが強いぶん、プロとして仕事にした時のギャップは大きいものとして描かれているかもしれませんね。

劇中でも実際にそういう台詞があります“他のスポーツは遊んでいると思われないのに、俺らは遊んでいるように言われる。だから、プロとして何ができるだろう?”って。eスポーツもプロになったからには勝たなきゃいけないし、応援してくれている人のために頑張んなきゃいけない。そうやって、自分以外の“誰かのために”が増えていくのがプロなんじゃないかと思うんです。

サビの《そうだよ 戦える理由は/君なんだよ》なんて、本当にキラーフレーズですもんね。

どうやったら言いたいことを文字数に合わせて表現できるか、そこはすごく悩みました! また、プロとして私自身“ひとりだったら頑張れなかった”と思うので、本当にファンのみなさんの応援が自分自身のパワーになっているんだという想いを、この曲では一番の中心的なメッセージにしています。でも、そうやって誰かの想いをパワーに変えられたとしたら、それは自分が頑張っているからなんだということも伝えたかったので、2番では矢印を自分にも向けています。自分自身の“好き”という気持ちに、“ここから頑張んなきゃいけない!”っていうプロとしての自覚。さらに、応援してくださっているファンのみなさんや支えてくれる仲間への感謝。その全てを歌詞に入れられたから、今後この「GLORY」という曲に“あの時、頑張れたじゃん!”と背中を押される瞬間が、きっとたくさんあるんだろうなっていう予感がします。

曲冒頭の“5.4.3.2.1!”のカウントダウンは中国語になっていますが、これはもともと『マスターオブスキル For The GLORY』が中国の作品だから?

そうです。“中国語の歌詞を一部入れてもらえたら嬉しいです”と言われて、アニメ内に大会の始まりを告げるカウントダウンがあり、曲のスタートに入れたら合うかなと。ライヴになったら、そこに続く《yeah Let's fight!》とあわせて、みんなで歌おうっていう話を、ファンのみなさんにはしているんです。コロナ禍で制作していた時は、観客のみなさんと歌うパートというのは前向きに作れなかったけれど、ようやく歌えるタイミングが来たので、みなさんと一緒に叫べるのがすごく楽しみです。ただ、この曲も相当熱量が必要なので、ライヴで歌うと決めたら相当練習しないと(笑)。

ど直球にアツいロックチューンですもんね。

しかも、ずっとキーが高くて。実は完成版はデモより高くなっているんです。アレンジャーの加藤裕介さんと“このキーが一番楽曲が輝いてるよね?”という話になり、自分でも楽器の鳴りとかの雰囲気が一番いいと感じたので、“頑張ります!”って(笑)。おかげでレコーディングは大変でしたけど、10月17日と18日にはバースデーライヴも決まっていますし、おまけにライヴハウスでのスタンディング公演は久しぶりなんですよ。ここ数年はなかなかできなかったから、スタンディングで熱量や熱情を引き出せる曲になったと思いますし、アツいライヴにしたいですね。

取材:清水素子

シングル「LIES GOES ON」2023年8月23日発売 Digital Double
    • 【CD+Blu-ray】
    • XNDD-00014/B
    • ¥2,640(税込)
    • 【CD】
    • XNDD-00015
    • ¥1,540(税込)

ライヴ情報

『May’n Birthday Live 2023』
10/17(火) 神奈川・SUPERNOVA KAWASAKI
10/18(水) 神奈川・SUPERNOVA KAWASAKI

May'n プロフィール

メイン:ジャンルに縛られない圧倒的な歌唱力と伸びのあるハイトーンヴォイスで国内外のリスナーを魅了する実力派女性シンガー。2005年に弱冠15歳でメジャーデビューを果たし、これまで担当してきたアニメ、映画、ゲームなどの主題歌がチャート入りを果たすなど人気を不動のものにしている。ライヴも活発に行っており、日本武道館や横浜アリーナ等の国内の会場をはじめ、海外でのツアーやフェスへの出演など世界中にその歌声を届けている。さらに、近年ではミュージカルにも活躍のフィールドを広げ、21年12月には週刊少年ジャンプの伝説的コミック『北斗の拳』のミュージカル化作品『フィスト・オブ・ノーススター~北斗の拳~』でヒロイン・ユリアを演じた。May'n オフィシャルHP

「LIES GOES ON」
Official Music Video(short ver.)

OKMusic編集部

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