L→R atsuko(Vo)、KATSU(Key&Gu)

L→R atsuko(Vo)、KATSU(Key&Gu)

【angela インタビュー】
原作を読んで、とにかくシンプルで
カッコ良い曲しかないと

音楽とは違うangelaを
トークで表現できた

これから何かが始まるという予感と、躊躇いながらもトライしていきたいという主人公の気持ちがよく伝わってきます。サウンド面ではどんなこだわりがありますか?

KATSU
あまり主張しすぎるのも違うのかなと。勢いは絶対に必要だけれど、例えば派手なかけ合いだとかをやってしまうと、また『K』の曲に寄ってしまう気がしたので、そういったさじ加減は結構バランスを見つつ。でも、それなりに時間はかかったよね?
atsuko
そうね。歌い方に関しても、例えば《無我夢中で》の終わりは単に伸ばすのではなくフォールする…水が高いところから低いところへ流れるようにしたりとか。サビ最後の《衝動》もそうですね。ただ《無我夢中で》のあとは、すぐに次の歌詞に入るので、そのフォールできる幅が少ししかないんですよ。でも、できるだけ大きくフォールさせたかったから、どのくらいのテンポがちょうど良いのかを考えたり、KATSUさんから“少ない幅でも大きくフォールして歌って”というディレクションを受けたりしました。
KATSU
《無我夢中で》を別録りにして被せてみたり、いろいろ実験もしたんですよ。でも、それはそれで勢いがなくなっちゃう。
atsuko
別物になっちゃうんだよね。そういった言わなきゃ分からないような小さなこだわりで頑張った部分があります。

水と言えば、MVも水辺での撮影でしたね。

atsuko
横浜の埠頭ですね。もともとは私たちふたりで撮影する予定だったんですけど、結構だだっ広いところだからふたりだと寂しいということで、外ロケでは10年振りくらいにバンドメンバーに入ってもらったんです。で、最初は夜ロケの予定だったのが、雨の予報だったから朝にして、夜は都内のビルに移動したら雨が降り出して! たぶん晴れていたらガラス張りの壁の向こうに東京タワーとかがきれいに見えるはずだったんですけど、雨のおかげでガラスがフワッといい感じに曇って、夜景に光を散りばめたみたいになったので結果良かったです(笑)。
KATSU
晴れわたると、また世界観が違ったかもしれない。光が全部雲に反射してすごい光景が撮れたので、この曲は天を味方につけたんだと思います。

ちなみにMVの題字はKATSUさん自ら書かれたものだとか。

KATSU
もともとはブロック体で表記されていて、それがどうしても違和感があったんです。編集も終わっていたのに“俺が書く!”とお願いして。習字とかの経験はまったくないけど、絵は描くから、まぁ、できるんじゃないかと。
atsuko
MVって完成が早いから、ジャケットのロゴを使えなかったりするのが意外な盲点なんですよ。普通のフォントで“AYAKASHI”だとつまんないという話になり、“じゃあ、アニメのロゴにあわせて筆みたいな書体で俺が書く!”と、KATSUさんが頑張って書きました(笑)。

おかげでいい感じの趣きが生まれましたよね。そして、期間限定盤は普通なら2曲目にカップリング曲が入るところ、今回はレギュラーラジオ『angelaのsparking! talking! show!』に幸人役の上村祐翔さんを迎えた『あやかい出張版』が収録されているという。

atsuko
だって、キングレコードさんが“トークがいい”って言うから(笑)。
KATSU:音楽を作り続けて、もうすぐ百年の歴史に到達するレコード会社からの、まさかの依頼がトークでした…。
atsuko
前作の「RECONNECTION」(2023年1月発表のシングル)の時も、実は同じ形態だったんですよね。その時はゲストなしで私たちだけだったのが、今回は上村さんをブッキングしてくださるということだったので、せっかくだからここでしか聞けない面白いものをみなさんにお届けしたいなと。それで『AYAKA -あやか-』についての上村さんとのトークに、「AYAKASHI」のバージョン違いを2パターン作って、番組のコーナーとして入れ込むという構成にしたんですね。私も弾き語りを披露できましたし、今回は上村さんが入ってくださったことで、それが作品に合うのかを客観的にジャッジしていただけたのが良かったです。

atsukoさんの弾き語りとジャズバージョンと、どちらも普通にカップリングに入れられるクオリティーでしたよ。ファンにはお馴染みの後輩も登場してましたし、むしろ贅沢なカップリングだと思いました。

KATSU
表題曲とまったくテーマの違うカップリング曲を作るほうが、正直言って大変だったりもするんです。ライヴでやるのも意外と難しかったりするし。
atsuko
ちょっと不遇だよね。リリースイベント以外ではセットリストに入りづらくなってしまう。なので、新しいカップリングのかたちを提示してもらえたのは逆にありがたい。
KATSU
今回は音楽とは違うangelaをトークで表現できたし、キャストの上村さんに来ていただけたことで、より作品に近づけた感じがするんです。だから、今後も続けてもらえると…ちょっと嬉しいですね(笑)。

カップリングが必要なのもCD盤だからこそですが、この配信全盛時代にCDというかたちで出し続けられているのも、逆にすごいことじゃありません?

atsuko
すごいですよね。33枚目ですよ! サブスクとかの配信とCD、どちらがいいかは人それぞれのニーズによるでしょうけど、angelaのCDを手元に置いておきたいと思ってくださる方がいるというのは純粋に嬉しいです。
KATSU
配信と言えば、今回Apple Music限定でドルビーアトモス版の配信も決まっているんですよ。

ドルビーアトモスとは?

KATSU
サラウンドよりも臨場感のある再生システムで、通常のステレオが2チャンネルなのに対して12チャンネルもあるんです。アメリカとかだと当たり前に配信されているんですけど、日本ではまだ始まったばかりで、キングレコードでもシングル盤では初の試みらしいですね。
atsuko
それ専用のヘッドホンとかが必要なの?
KATSU
ヘッドホンだと擬似的にしか聴けない。ちゃんとしたシステムだとスピーカーが12個あって、いろんな方向から音が飛んでくるから落ち着かない(笑)。だから、これがスタンダードになるのかと言われると微妙なんですけどね。
atsuko
まぁ、そういうのやってみたかったんですよ。
KATSU
そう! “初めて”っていうのをやりたい!

なるほど(笑)。ちなみに現在、秋に発売されるオリジナルアルバムの制作中ということですが、現状の進行状況はどんな感じなんでしょう?

KATSU
あと1曲かな?
atsuko
デジタルシングルも含め、すでに出している曲が結構あるから、新しく作るのはあと1曲ですね。

既発曲だけ見ても切ないバラードの「Alone」から音楽で世界旅行する「アロハTraveling」と振り幅がすごすぎて、どんなアルバムになるのか想像もつかないです。

atsuko
ハッピーだと思いますよ。わりと楽しい寄りの曲が多いんじゃないかな?
KATSU
今作っている新曲も面白いほうのangelaに全振りしているし。デビューから20年ともなると、新しくファンにもなりづらいと思うので、“誰でも入ってきていいんだよ”という空気感は出したいんです。特にangelaは『蒼穹のファフナー』とかのシリアスなイメージが根強いだろうから、それだけじゃないってことを20周年以降は伝えていきたくて、その入口になるアルバムにしたいんですよね。

ちょうど『蒼穹のファフナー』関連歌曲で“Most songs sung by the same artist for an animation franchise / 同じアーティストにより歌われたアニメーションフランチャイズの歌曲の最多数”というギネス世界記録™に公式認定されたばかりですから、余計にシリアスなイメージはあるかもしれませんね。

KATSU
そうなんです。確かに“『ファフナー』のangela”というのは間違っていないし、誇りにも思ってますけど、ちょうど7月から『蒼穹のファフナー THE BEYOND』のテレビ放送も始まるんですよ。『AYAKA -あやか-』とあわせて同時期に放送される作品が両方ともシリアスというか、真面目な作風だから、どんどんangelaのイメージがそっちに固まっていきそう(笑)。
atsuko
でも、『アホガール』とか『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』とかの曲もやっているし、前よりはイメージの幅が広がっている気もする。

何よりangelaの場合、シリアスな曲もライヴになるとハッピーになりますからね。それこそ代表曲の「Shangri-La」とか、初めて観た時はびっくりしました。

atsuko
“なんでタオル回してるの!?”って、言われますからね(笑)。だから、いろんなフェスとかに出ることで、angelaのライヴに行ったことのない人が“あっ、意外と親しみやすいんだな”とワンマンライブに足を運んでくださることもあるんですよ。あと、今は過去のアニメ作品でも動画配信サービスで観ることができるので、後追いで入ってこられる環境が整っているのは、すごくありがたいですね。
KATSU
いずれにせよ、アニソン屋でいたいというのは変わらないので。
atsuko
そう! 楽しいですから、アニソンを作るのは。

取材:清水素子

シングル「AYAKASHI」2023年7月5日発売 KING RECORDS
    • 【期間限定盤】(CD)
    • KICM-92129
    • ¥1,650(税込)
    • ※初回製造分のみスペシャルケース仕様
    • 【アニメ盤】(CD)
    • KICM-2130
    • ¥1,430(税込)
    • ※描き下ろしアニメイラストジャケット仕様
    • ※初回製造分のみキャラクターカード封入(全5種/ランダム1枚)

ライヴ情報

『angela Live Tour 2023』
10/28(土) 福岡・DRUM LOGOS
10/29(日) 岡山・岡山市立市民文化ホール
11/04(土) 大阪・GORILLA HALL OSAKA
11/18(土) 宮城・仙台PIT
12/08(金) 愛知・ダイアモンドホール
12/10(日) 東京・豊洲PIT

angela プロフィール

アンジェラ:低音から高音に伸びる独特のヴォーカルセンスを持つatsukoと、ギターやアレンジなどでその世界観を生み出すKATSUによるユニット。2003年にTVアニメ『宇宙のステルヴィア』の主題歌「明日へのbrilliant road」でメジャーデビュー。以降、『蒼穹のファフナー』など数々のアニメ作品の主題歌を担当。また、海外イベントへも多数出演しており、世界中のアニソンファンの支持を得ている。17年には初の日本武道館単独公演を成功させ、18年にはデビュー15周年を記念したベストアルバム2枚を同時発売、19年3月下旬よりアジアツアーを、21年12月には17年にもわたってシリーズ全ての主題歌・挿入歌・イメージソングを担当したアニメ作品『蒼穹のファフナー』が完結を迎えることを記念した『蒼穹のファフナー FINAL Fes in パシフィコ横浜』のDay 2にて、“angela LIVE -蒼穹作戦-”と題した豪華ライヴを開催した。angela オフィシャルHP

「AYAKASHI」Music Clip

OKMusic編集部

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