写真左上段より時計回りに、ラミ(Per)、山浦聖司(Ba)、柴田昌輝(Dr)、大瀧真央(Syn)、熊木幸丸(Vo)、松崎浩二(Gu)

写真左上段より時計回りに、ラミ(Per)、山浦聖司(Ba)、柴田昌輝(Dr)、大瀧真央(Syn)、熊木幸丸(Vo)、松崎浩二(Gu)

【Lucky Kilimanjaro インタビュー】
バンドというもの自体を
もっと新しい方向に持っていきたい

言語化できないものを
表現しているのが音楽

“俯瞰している”ともおっしゃっていましたけど、こうしたお話を聞いていてもご自身の制作を俯瞰しているところも感じますし、そこも新しい感じがしますね。アーティストの中には肉体的にやっていらっしゃる方もいて、自身のやっていることを言語化しづらい方もいらっしゃいます。でも、熊木さんはそうではなく、ものすごくちゃんと説明されるじゃないですか。

言語化できないものを表現しているのが音楽だと思っていますし、時間軸の芸術だと思っているので、言語化できる要素はありつつ、最終的には曲を聴いて踊ることでみんなが理解できるものという、もっと肉体的な面白さは当然大事にしていて。何かそこの両面…感覚的に聴く面もそうですし、“いろいろな情報を見てみる”という面でも、どっちでも面白いように作りたい…というか、それが僕のスタイルかなと(笑)。

そこがすごいと思います。ダンスミュージックなんだけれども、単に享楽的なわけでなく、数学的というか、ちゃんと計算し尽くした上でやるというのは新世代な感じがします。

10数年前、僕が高校生や大学生の時より、洋楽という存在が遠くなった気がしていて。洋楽、特にアメリカやヨーロッパの音楽の踊れる要素、自然に身体が動く要素というものを“如何にもっと日本の人たち、日本の文化に落とし込むか?”と考えた時、やはりある程度の思考が必要だと思っています。そこはすごい考える部分だし、そこに面白さを見出しているというのが昨今の活動ですね。

“これとこれをくっつけたらどうなるか?”というところで頭を働かせているけれども、最終的には…これは今回のアルバムタイトにもつながるところですけど、聴いて気持ち良くないと意味がないと。

音楽的に面白くて純粋に聴いていて楽しいものじゃないと僕が嫌になるので(笑)、“計算して肉体的なものを出す!”みたいなところをすごい大事にしていますね。

そこでのトライアンドエラーみたいなものは半端なくないですか?

やっぱり数を打たなければ自分のトーンに合ったグルーブとサウンドの組み合わせはできないので、たくさんデモを作りますし、たくさんセッションします。でも、その中でそれを見つけた瞬間というのは本当に素晴らしい瞬間だし、そこが好きだから音楽を続けられている感じですね。

錬金術に近いですか?

ずっと闇鍋してるみたいな感じなんですよね(笑)。全部入れて“何ができたかな?”“あぁ、ダメだった”みたいなことを四六時中やって、たまに“これはハマった!”というものがこうして作品になっているというか。

でも、それで今回のアルバムでは14曲。これまで1st、2nd、3rdに加えてインディーズ作品もあるわけで、すごい才能ですよ。

ずっと作っていますからね。基本的に作ることが好きですし、音楽を作っていないとストレスになるというか、アイディアがあるのに手を動かしていない状態がむしろすごく疲れちゃうんです。だから、アイディアが出たらもう作るしかない。呪いのようにずっとやっていますね(苦笑)」

そういう意味では、今はいい時代ですよね。スマホがあればすぐに録音もできるし。

そうですね。自分のアイディアを具現化する速度というのは昔より断然上がっていると思います。それこそPCで音楽を作りやすくなったこともそうですし。

自分の思い描いたものを簡単にデスクトップでかたちにできるというのはデジタルの利点ではあるでしょうし、いろんなことが多く試せるというのところもいいですよね。

でも、その範囲から抜け出したくてバンドでライヴをしていたりもするので、バンドでのライヴの活動との両軸があるからこそ、両方楽しめて、両方進められていると思いますね。

バンドを大切にされているのは「掃除の機運」でバンドサウンドをサンプリングしていることも分かります。あと、このアルバムは最後にひとつ仕掛けがありまして、そこでも感じられたところではあります。熊木さんはみんなでやっていて楽しい瞬間がないと音楽をやっていてもつまらなく思うんだろうなと。

はい。ライヴも含めて、自分が作品を発表するのは自分の作品のすごさを出すというよりも、“これでみんなとコミュニケーションしていきましょう”という側面が強くて。それはお客さんも含めて。“僕らの曲でもっと社会で踊っていきましょう!”というところでやっていますし、そういうコミュニティを作ろうとしている感覚がずっとあります。

バンドには熊木さん以外のメンバーがいるという意味がよく分かるところではないかと思いますね。

ソロだったら僕はまた別のプロダクションをしていたと思いますね。例えばDJスタイルだったら、また違う発想で作品を作っていたかもしれないです。バンドだからこそ、このプロダクションをしている感覚、そういうバランスを取っている感覚があります。バンドでいろいろな音楽を表現できる場所としてLucky Kilimanjaroを用意していて、そこがあるからこういうスタイルが取れている。

OKMusic編集部

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