L→R ゆーまお(Dr)、シノダ(Vo&Gu)、イガラシ(Ba)

L→R ゆーまお(Dr)、シノダ(Vo&Gu)、イガラシ(Ba)

【ヒトリエ インタビュー】
ヒトリエは絶対にもっと
いろいろな音楽が作れるはず

“この俺を正常に戻した音楽だぞ!”
という気持ちが強い

「ゲノゲノゲ」は曲の中盤、ちょっとレゲエっぽくなるじゃないですか。そこにイガラシさんのスラップべースが入ってきて、ゆーまおさんのフィルが入って、さらにシノダさんのギターが入る。それぞれにやっていることに対して、“やらせねえよ!”というくらいの勢いでそれぞれの楽器が入ってくる感じがすごくカッコ良くて。

シノダ
そういうことはあまりやったことなかったですね。僕の中ではサンプリングした素材を貼り付けているぐらいの感覚というか、テクノみたいな作り方なんですよ。

あぁ、なるほど。

シノダ
テクノを作ろうとして作りましたからね。でも、全然違うものになりましたけど。あと、もうひとつ「ゲノゲノゲ」ではギターを聴かせたい気持ちもありました。ここ数年、エレキギター不要論みたいな言説がインターネット上で散見されると思っていて。

ギターソロは飛ばすみたいな。

シノダ
それに関しては飛ばされるギターソロが悪い(笑)。僕はもっと嫌な音を出せますから。それも含めて“エレキギターはヤバいぞ”と提示したい気持ちもありました。そこの攻めきれなさが「curved edge」や「3分29秒」にはあって。たぶん、音がまだ甘かったんですよね。

その一方では、音を歪ませたリフに頼らず、メインのフレーズをシンセで鳴らす曲もあって。ギターのメリハリも『REAMP』の時より際立ってきているし、そういうところも新しい音像につながっているかもしれないと思いました。

シノダ
ギターはかなり鳴りを潜めていますね。でも、それは曲順で言うと「Flight Simulator」以降、ギターチューンがガンガンやってくるからなんですよ。だから、それ以外はソフトシンセなんですけど、お勉強のようなつもりでシンセサイザーを使って頑張ってみようと思いました。

シンセと言えば、さっき話題に出た「電影回帰」はフワッとしたシンセの音色が前面に来ているのですが、その後ろではドラムとベースがバトルと言ってもいいくらいに激しい演奏を繰り広げています。

イガラシ
ドラム、すごかったよね。

ベースもすごいと思いますけど(笑)。

イガラシ
楽しく弾かせてもらいました(笑)。
ゆーまお
さっきも言ったように、そんな曲にするつもりじゃなかったんですけど、そこは割りきってやろうと思いました。なんか恥ずかしいんですよね。僕の曲なのに僕がめちゃめちゃドラムを叩いているって(笑)。“自分の曲だからやってんじゃねえの?”って思われそうじゃないですか。
シノダ
それを気にしていたよね。俺さ、「ステレオジュブナイル」でもドラムソロを入れたじゃん?
ゆーまお
入れた、入れた。俺の曲だからって入れてくれたよね。
シノダ
そうそう(笑)。これからも、そういう感じにしていってやろうかな?
ゆーまお
マジで勘弁してほしい。いや、いいんだけどさ(笑)。

聴いた人はたぶん、自分の曲だから目立っているんだって思いますよね?(笑)

シノダ
そうなったら誤解だよね(笑)。
ゆーまお
自分に与えられた役割をまっとうしているだけなのに(笑)。でも、「電影回帰」はベースもすごく弾いているから、あれくらいドラムを叩いていてもいいんじゃないかな?(笑)
シノダ
しかも、フレットレスベースだし。
イガラシ
弾いてくれって言われたから弾いただけなんですけどね。
シノダ
でも、イガラシがこれだけ弾かないと曲として着地しなかった。
ゆーまお
そうそう。一瞬、弾かせすぎなんじゃないかと思ったけど、弾いてもらって良かったよ。
イガラシ
本当はもっとシンプルなラインを弾くつもりだったから、レコーディング当日はシンセのリズムにしっかりと合わせたフレーズを練習してからスタジオに行ったんですけど、“もっとメロディーをいっぱい弾いてくれ”と言われたので…結果的にこうなりました。

5月31日に行なわれた『HITORI-ESCAPE TOUR 2022』恵比寿LIQUIDROOM公演のMCで、“今回のアルバムのレコーディングでは常識外れのことをいっぱいやった”とおっしゃっていましたが。

ゆーまお
「Flashback, Francesca」ですね。ハイハットの音がハイハットじゃないんですよ。本来はドラムのハイハットに使うべきじゃないスプラッシュシンバル(6~12インチの小型シンバル)を2枚重ねて、ハイハット代わりに叩いたんです。
シノダ
結果としては、音像が全然変わったんですよね。
ゆーまお
パッと聴きは普通のドラムに聴こえるから、劇的な効果を感じることはないんですけど、言われてから聴いたら“確かになっている!”と思いますよ。他の曲に比べると、ハイハットが下の音域で鳴っているんです。
シノダ
だから、ドラムのトータルとしての音域は下がっていて、そこをシェイカーで埋めて、煌びやかさを出しています。
ゆーまお
音の質感が明らかに違うんですよね。今回はそういうことを試してみました。逆に「Flight Simulator」は超どストレート。「Quit.」はコンセプチュアルなことを考えて、ドラムを録ることになりまして。
シノダ
追悼テイラー・ホーキンス(Foo Fightersのドラマー)だもんね。
ゆーまお;テイラー・ホーキンスが亡くなった頃に録ったから、彼のプレイを意識して録ってみようということになったんです。そしたらドラムテックさんもすごく乗ってくれて、“テイラー、こういうのを使っていたよね”って。いつもだと、タムは多くてふたつ、あとフロアタムなんですけど、「Quit.」の時はフロアタム以外に3つもタムがありましたね(笑)。
シノダ
テイラーオタク同士が盛り上がっちゃったんだよね。
ゆーまお
そうそう。それで思いっきり叩くという(笑)。
シノダ
良く録れてるよ。
ゆーまお
本当にいい音で録れているんです。しかも、思いっきり叩いても、思いっきり叩いた音にならないという発見もありました。

そんなふうに一曲ごとに相応しい音作りを突き詰めていったわけですね。

シノダ
それは毎回やっていることですけど、今回は特に離れ業みたいなことをして。
ゆーまお
その2曲でやりました。基本的にはみんなが受け入れてくれる音を作るようにしています。そんなに想像を超えるようなことはしないんですけど、これはやっても大丈夫かもと思える曲が10曲に1曲ぐらいあって、そういう時はニコニコしながらやりますね。

OKMusic編集部

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