近石 涼

近石 涼

【近石 涼 インタビュー】
“これが近石 涼です!”という
名刺代わりになる作品

類い希な歌声と確かな歌唱力、作詞作曲家としての卓越した感性を武器に、ギター1本のパッションに満ちた弾き語りからスタイリッシュなポップスまで、変幻自在な音楽世界を提示する実力派シンガーソングライターの近石 涼。インディーズデビューアルバム『Chameleon』はタイトルはそのままに、そんな彼の音楽性が垣間見える。

昔の曲も今の僕の歌として
新しく届けたい

配信シングルの連続リリースについて取材をした前回、“自分が変化していくことこそがありのままのアーティスト・近石 涼の姿だ”とおっしゃっていました。今回リリースされる『Chameleon』というアルバムはタイトル、そして収録楽曲のジャンル、テイストの幅の広さと、まさにそこを体現していますよね。

そうですね。年内にアルバムを出したいというのは、今年の半ばくらいからぼんやり思っていたんですけど、いざ曲が揃っていく中で、弾き語りもあれば、今までやってこなかったポップでお洒落な「兄弟 II」みたいな曲もあり、特にセルフアレンジではなくアレンジャーさんと一緒に制作してきたこともあって、圧倒的に新しい楽曲に幅がありすぎると思ったんです(笑)。だったら、アルバム自体に“変幻自在”みたいな意味を持たせたいと。そこで思い浮かんだのがカメレオンでした。

その時々の感情や周囲の様子に応じて、自在に身体の色が変化する生き物ですね。

はい。しかも調べてみたら、カメレオンって思ったより繊細な生き物で。あと、the pillowsさんに「ストレンジカメレオン」という周囲と馴染めない自分を“できそこないのカメレオン”に例えた曲があって。僕、大学時代にやりたいことがありすぎてサークルを7つ掛け持ちしたことがあったんですけど、その場その場で評価って変わるんです。自分の価値というのは、結局は周りが決める…だから、自分もストレンジカメレオンだというのが身に染みて。だけど、そんな自分を肯定したかったんです。繊細で周りと馴染めないカメレオンを、僕は肯定したかった。なので、“これが近石 涼です!”という名刺代わりになるこのアルバムを“Chameleon”というタイトルにしました。

改めての決意表明ですね。ジャケットデザインも近石さんが淡い光に包まれていて顔がはっきりとは写されていない。そこがまたカメレオンっぽいなと(笑)。

そうですね。僕の色が変化する感じに対して、デザイナーさんから光で影に色をつけるアイディアをいただいたので、グラデーションで表現してもらっています。歌詞カードを開いたら僕がちゃんといるんで、顔はそこで確かめてもらえたら(笑)。

CDを買う理由がさらに増えました(笑)。カメレオンのように近石 涼のさまざまな楽曲が多彩な色として収録されている本作ですが、以前の自主制作盤の作品に入っていた曲もリアレンジして収録されていますね。

はい。今まで『歯形』(2019年7月発表)『ハオルシアの窓』(2021年6月発表)と2枚の弾き語りアルバムを出してきたんですけど、「寂しさは夜のせい」や「生まれて死ぬまでの間に」はそうですね。『Chameleon』は近石 涼のベストアルバム的なものにもしたかったので、昔の曲も今の僕の歌として新しく届けたいと思いました。

ベストアルバムとしての意味合いも意識したとなると、既存曲の選曲も大変だったでしょう?

そうなんですよね。僕もそうだし、チーム内でもめっちゃ悩んで、何回も転んだり起き上がったり試行錯誤しました。そのおかげで昔の曲もマスタリング作業の時に曲順通り聴いてみたら、また違う良さもすごく感じられて。この選曲は間違ってなかったと実感しました。

「最低条件」は先行配信リリースされていますが、この曲はアルバム制作が始まってから書き下ろされた曲ですか?

そうです。順番で言うと「最低条件」は一番最後にできた曲ですね。

ギター1本の弾き語りからスタートし、リアルな日常を歌い続けてきた近石さんの根っこの部分をサウンドからも歌詞からも感じさせる一曲だと感じました。

まさにそうしたくて作ったんです。アルバムに収録したい曲のラインナップが揃っていく中で、どの曲も僕のテリトリーの端っこにありすぎると思って。

ジャンルもサウンドも多彩すぎてね。

そうですね(苦笑)。だから、『Chameleon』というアルバムを完成させるために、ドシンとある近石 涼のど真ん中の曲が欲しいと思っていたら、一年半くらい前に録音してあったiPhoneのヴォイスメモにこの曲のサビの《君がそこにいることが僕の在る最低条件で》というメロディーとフレーズが入っているのを見つけたんです。“このフレーズしかない!”と思って、そこからどんどん膨らましていきました。

普通のアルバム制作は軸になる曲があって、周りを埋めていくものですけどね(笑)。

確かに(笑)。でも、この曲を書いたことでカメレオンのかたちが見えたんです。体の色は他の曲たちがつけてくれる。「最低条件」ができる前はいろんな色がバーッと飛び散った汚い紙だったけど、「最低条件」のかたちができたことで、ちゃんと僕のカメレオンにそれぞれの色を塗ることができるようになりました。最初に僕が作ったデモはピアノとドラムとベースだけのシンプルなピアノロック調だったんですけど、サウンドプロデュースをしてくださっている平畑徹也さんがアコースティックギターのセッションを入れてくれたり、すごく印象的なフックをたくさん入れてくれて。聴きどころも多い曲にしてくれましたね。

歌詞のテーマも近石さんらしい等身大の “君と僕”の歌になっていますね。

普遍的な僕がここにいますね。

大切な人と別れなければならなかった男女の話でもあると思いますが、“君”はいろんな存在にも当てはまりますし。

そうだと思います。《本当に運命の人ならまたいつかきっと会えるでしょ》と言ってはいるんですけど、大切な家族や大事な親友のことを思ってもらってもいい。そういう余白は残したつもりです。

冒頭には大切な人を想いながら《ねえ僕はこんな歌を書いてるよ/またいつか聴いてくれるかな》と訴えている箇所もあって。この“君”は近石さんのファンのこととしても受け止められるなと。

それは僕もライヴで歌って気づきました。そういうつもりで作ってはいなかったんですけど、《君がそこにいることが僕の在る最低条件で》と歌った時、お客さんの顔がすごくよく見えて、自分でもグッときてしまって、より熱が入ったから、霜降り明星の粗品さんばりに、ついお客さんに手を突き出していましたね(笑)。自分の歌が自分に返ってきた瞬間でした。
近石 涼
アルバム『Chameleon』

OKMusic編集部

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