【Mary's Blood インタビュー】
曲のキャラクターが全部違うから、
どれも主人公になり得る
ループして聴いてほしい!
この11曲でひとつだと思ってほしい!
レコーディングはどうでした?
EYE
スムーズでしたね。久武さんも好きに歌わせてくれたし、“これはこうじゃないといけない”とか絶対に言わないんで。迷っていたら“こっちがいいんじゃない?”とアドバイスしてくれたりするんですけど、基本的に私は歌う前にイメージを固めるタイプなので、それを察してくれたっぽくて。何回も歌ってるとテンションが落ちちゃうっていうのも分かってくれていたし、サクッとできましたね。
RIO
ベースもわりかしスムーズにできたんじゃないかな? 今まではあまりヘッドアンプを鳴らすことってなかったんですけど、今回は鳴らしました。ヘッドアンプから音を作って。
空気感も録りたいとかで?
RIO
それもありますけど、単純に“持ってきたから使おう”みたいな(笑)。エンジニアさんが編集しやすいように、保険としてラインだけの生音も録りましたけど、私は生音だけで弾くとテンションが上がらないんですよ。なので、ライヴのセッティングと同じエフェクターボードとヘッドアンプっていうセットで。たぶん保険のほうはあまり使っていないんじゃないかな?
EYE
ライヴ感のある曲が多いからヘッドアンプを鳴らして正解だと思いますね。
RIO
普段はレコーディングに持っていかないですからね、ヘッドアンプ。ボードも持っていかないし。いつもは私のテンションを上げるための、本当に申し訳程度のエフェクトだけだったんですけど、今回はたまたま持っていったんですよ。それが正解だったのかもしれないですね。うまく弾いて録るっていうのは大前提にあるんですけど、それよりもベースのOKテイクに関してはノリがいいものをセレクトしてるので。他のアルバムよりもライヴ感はあるかもしれないです。
11曲の中で“まずはこれを聴いてほしい!”という曲は?
EYE
全部です! 曲のキャラクターが全部違うから、どれも主人公になり得ると思うんですよ。イントロダクション的なインストで始まって、「Starlight」で透き通ったきれいな感じで終わるじゃないですか。ループして聴いてほしいですね。この11曲でひとつだと思ってほしい。
RIO
そのアーティストを知りたいんだったらシャッフルして一曲ずつ聴くのもいいと思うけど、アルバムとして聴くんだったら曲順どおりがいいと思いますしね。
確かに。では、リスナーにはどんなことを感じてほしいですか?
EYE
歌の人からの視点ですけど、やっぱり歌詞ですね。みんなに書いてもらったっていうのも注目ポイントではあるんですけど、今回は歌詞の内容が一貫してリアリティーが強いので。「ignite」はファンタジー系ではあるけど、メッセージ的にはリアルにあり得る気持ちが入っているし。そういうところも含めて、音楽として楽しんでもらう+生き様として見てほしい。自分の人生込みで、一緒にまとめて聴いてほしいというか。歌詞も曲も含めて、聴いてくださった方が自分と重ねて、入り込んで聴いてほしい…この中に入ってほしいんですよ! 今までは“作品としてこういうものを作りました。気に入ってもらったら嬉しいな”と言っていたんですけど、“気に入ってもらえたら嬉しいな”というのって壁を感じるじゃないですか。一枚フィルターをかけたまま聴いちゃう…みたいな。こんなご時世だから気持ち的にシビアな状態が続いているじゃないですか。今作は自分と重ねて聴いて、いろいろ想像してもらいたいんです。違う国の話みたいな、そんな歌詞ばっかりじゃなくて、みんなの近しいところにきっとあるものだから。歌詞という言葉にして歌ってはいるけど、文字として読むんじゃなくて、身体に染み込ませてほしいし、歌詞についてもアルバムの曲順に見て、最後は「Starlight」で締めてもらいたい。
RIO
確かに、このアルバム一枚で“Mary's Blood組曲”みたいな感覚がありますね。あと、技術的にもメンバー全員レベルアップしていると思うので、そこも聴いてほしいポイントです。やれることもたくさん増えたし、シンプルに聴こえて実は難しいことを結構やっているので、何回も聴いてもらって…パートごとに聴いても面白いかなと。あと、“こんなご時世”って言葉を、たぶん今年だけで1000回ぐらい言ってますけど(笑)、その鬱憤というか、ネガティブな感情を一瞬でも忘れられたらいいなと思います。ネガティブなものも一周するとポジティブなものになると信じているので。なので、ライヴで演奏できるのを楽しみにしてます!
リリース後の9月と10月には鹿鳴館でのライヴが控えていますしね。
EYE
アルバムのツアーではないんですけどね。Mary's Bloodのオリジナル曲と、ゲストの方とのコラボを楽しんでほしいっていう“メタルを楽しむ会”なので(笑)。もともとはアルバムリリースに向けて助走をつける感じだったんですよ。7・8・9月とライヴをやり終わったあとに、満を持してアルバムが出ます!って予定だったんですけど、ちょっとずれ込んでしまって。でも、アルバムの発売を挟んだことで、“おっ、新曲が聴けんじゃね?”と期待してもらってていいかなって。アルバムを聴いて、“どんなテンションでライヴやるんだろう?”と想像してから来てほしいかな? このイベントはゲストに大物ミュージシャンを…それこそ9月はGalneryusの小野“SHO”正利さんをお呼びしてるので、“鋼鉄伝説”のタイトルに相応しい内容になると思います。
RIO
やっぱりメタルバンドたるもの、伝説を残さないと!
EYE
うん。“伝説”と言ったら鹿鳴館でしょ!って。
取材:舟見佳子