【小松未可子 インタビュー】
“私ってこういう感じだったな”と
改めて思わせてもらえた
今の自分自身を体現できたらと思って、
ただただシンプルに挑戦してみた
カップリングの「永遠と言ってみたい」のポイントは?
約2年半振りのシングルで、私自身の変化もあったので、“小松未可子の新境地って何だろう?”を出発点にQ-MHzの田代智一さんが汲み取ってくださったんだと思うのですが、“新しい小松未可子像”のイメージとして送ってくださったのが、チャカ・カーンの楽曲だったんです。聴いてみたら本当にとても渋いジャジーな楽曲で、“こういうの、歌えるかな?”という気持ちは若干ありました(笑)。ですが、今までにないタイプの楽曲だったからこそトライすることにしたんです。そこからQ-MHzのみなさん流に楽曲をアレンジしていただき、私のエッセンスも加えていただいています。今までのQ-MHzさんとの楽曲では高音を活かしたり、ポップな部分が大きかったり、ライヴでも楽しめる曲が多かったのですが、この曲は自分の中でひとつ大人になったような感覚のあるものになりました。私が思う“大人”なニュアンスがないと説得力がないかもと思い、意識しながら仕上げていきました。また、音数が多くて、畑 亜貴さんが書いてくださった歌詞も音遊びみたいで楽しかったです。でも、レコーディングでは多少苦戦しましたね(苦笑)。あと、これまでの楽曲の中でもキーが低めなんですよ。最近、自分が演じる役も低音のキャラクターが多くなってきたので、そういう自分の側面も考えて、今作るべきタイミングの楽曲なのかなという感じはあります。等身大でありつつも、ちょっと他所も行ってみたいという気持ちもどこかに持っていたので。
そして、シングルの初回生産限定盤には2018年のワンマンツアーのライヴ映像が収録されます。ボリューミーでファンの方には嬉しい一枚ですよね。
改めて映像を観ると懐かしすぎて、“私、こんな感じだったっけ!?”という想いにもなりました(笑)。また、ライヴってこんなに素晴らしいものだったんだと体感したりもしましたね。その反面、3年前の自分の映像を観て、今もこのテンションでライヴができるのか不安になったりもして(笑)。あと、映像を観たことで、改めてこの一年は自分もそうですけど、世間がライヴを求めていると感じました。私自身も他の方のライヴに行った時にお客さんの反応を観て、“そうだよね。この場所に来て分かち合って、一体となって初めてライヴになるよね”としみじみと感じましたね。
改めてご覧になって思い出したツアーのエピソードはありますか?
確か、この時すごく体調が悪かったんです(笑)。だから、記憶がない部分もあって。後日、その時は体調が悪かったというお話もさせていただいたんですけれど、人間ってアドレナリンが出てたら何とかなるんだと思うぐらい、“このライヴを絶対にやる!”という謎の自分のエネルギーを感じました(笑)。
夕景のような雰囲気のジャケットも印象的ですね。
今の自分自身を体現できたらと思って、ただただシンプルに挑戦してみたかたちなんです。
そのジャケットが象徴するように、今回は自分の原点を感じられる表題曲、新境地に挑戦したカップリング、そしてこれまでの軌跡も分かる映像も盛り込まれて、まさに小松さんの“現在地”を示すシングルになりましたね。
今作がリリースされてどうなるのかなという未知数な部分はありますが、楽しみでもあります。
そんな小松さんが音楽活動でずっと変わらずに大切にされていることは?
今の自分を投影することだと思います。本当に少しずつなんですけれど、環境が変わったり、自分が務めるキャラクターが変化していったり、声優業も音楽業もさせていただいているので、いい意味で相互で行き来できていたらいいなと。そういう環境の変化も音楽にフィットできていたら面白いなと思います。この一年はみなさんとしても大きな変化のあった日々が続いていて、ちょっとずつ新たな日常を作っていく作業だったと思うんですよ。その中で私たちも新しくどうしていこうか、どうやって楽しいものを作っていこうかと切磋琢磨しながら考えていて。そのひとつの始まりとしての楽曲を、ぜひみなさんに聴いていただけたら嬉しいです。そこから、より音楽を共有できるやり方を模索しながら、またみなさんに会える日に向けて頑張るので、楽しみにしていていただけたらいいなと思います。
取材:齊藤 恵