デビュー35周年で豪華共演 ヒットメ
ーカー竹内まりやの「才能の源泉」を
探る

(参考:山下達郎、ユーミン、aikoの曲でも…都会的かつ切ない“オトナのコード”とは?)

 デビュー時期が近く、公私ともに親交が深い竹内、桑田、原の3人。今回のコラボレーションは竹内の発案で実現に至ったもので、4人が楽曲のレコーディングで揃うのは、1988年10月にリリースされた山下のアルバム『僕の中の少年』に収録されている「蒼氓」以来となる。

 この26年振りの共演に話題が集まっているが、山下と竹内の音楽的な関係性に対し、当時の状況を知る音楽評論家の宗像明将氏は以下のように語った。.

「今回の『静かな伝説(レジェンド)』は35周年のアニバーサリーイヤーを飾る書き下ろし曲としてリリースされる予定なんですが、彼女は昨年の12月にやはりデビュー35周年企画として『Mariya's Songbook』という、彼女が他のアーティストに提供していた曲を集めたアルバムをリリースしています。広末涼子の『MajiでKoiする5秒前』を竹内本人が歌ったデモ音源が16 年の時を経て公開されたことも話題になりましたが、この提供曲を聴くことで、改めて彼女のソングライターとしての高い自己プロデュース能力を伺うことができました。”山下達郎があっての竹内まりや”という構図では必ずしもない、安定したヒットメーカーとしての彼女の実力は素晴らしいものだと思います」

 また、この関係性を、今回共演する桑田と原の2人と比べた場合、立場は違うが共通した部分が見受けられると、宗像氏は続ける。
 
「桑田と原は同じバンドのメンバーとして活動していますが、山下と竹内の2人は、プロデューサーとアーティストという関係性なので、立場的には違うものであるといえます。しかし、山下と竹内も夫婦で”家内制手工業”的な制作をしていると考えれば、本質的にはバンドと同じようなものだと言えるのではないでしょうか。そして、今回の4人は、一般的なイメージとして”テレビから流れる良質な音楽を作る、安心・安定したアーティスト”だというイメージが強いと思います。ただ、山下はフリッパーズ・ギターが活躍していた1990年代初頭に、萩原健太さんの『ポップス・イン・ジャパン』という書籍で『ソフトサウンディングミュージックというのは日本のロックの中では異端で、過激なパッションを持っていなければ遂行できない』とフリッパーズ・ギターを批判するなど、エッジィな部分を持って現在のような音楽を作り続けているんです。そこは山下のみならず、竹内も含め、実は夫婦に共通した感覚なのだと思います」

 最後に宗像氏は、今回の「静かな伝説(レジェンド)」における聴きどころとして、4人の個性的な声に注目して欲しいと続けた。

「前回の『蒼氓』では、4人の個性的な声がハッキリと入っており、互いにぶつかり合いながらも1曲の非常に美しいバラードとして成立していました。その部分が『静かな伝説(レジェンド)』で再現されるだろうとすごく楽しみにしています。山下は『ON THE STREET CORNER』という一人多重録音のアカペラの一人多重録音のアカペラを出したりするほど、コーラスを研究していたりしますし。桑田と原も、声の個性がそれぞれ強いですからね」

 4人の強い個性が凝縮された作品になるであろう『静かな伝説(レジェンド)』。引き続き今作の情報を期待して待ちたい。(リアルサウンド編集部)

リアルサウンド

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