L→R 星野沙織(Vin)、ISAO(Gu)

L→R 星野沙織(Vin)、ISAO(Gu)

【soLi インタビュー】
ギターとバイオリンによる劇的交響曲

バイオリンとギター、
ゲーム音楽の世界観を前面に出す

1stアルバム『soLi』の制作に当たっては、どのようなコンセプトがあったんですか?

ISAO
さっきも言ったような、自分の中のバイオリンとギター、そしてゲーム音楽の世界観を前面に出すようなアルバムですよね。だから、僕が作曲したものに関しては、実はとある自分が大好きだったゲームのシリーズがイメージとしてあるんですよ。ゲームミュージックというものの世界観をギターとバイオリンで作品として残したいという話を最初にしたら、沙織ちゃんもゲームをやるタイプの人間なので、すごく共感してくれてて。
星野
私もアニメとかゲームとかの“こういうシーンに流れる曲”というようなつもりで作曲させてもらいました。私の場合は映像とかをイメージして作曲することが多いので、全体的に物語が何となくあるんです。

具体的にはどのようなものでしょう?

星野
例えば最後の「the Tower」だと、4人ぐらいのパーティが進んで行って、石橋を渡り、暗雲立ち込める中、最後に大ボスのいるタワーにみんなで登るです。でも、ダンジョンをクリアーしながら頂上まで行ったらボスがいないと。だいたいそうなると、隠し要素とかがあるはずだと思うじゃないですか。だから、来た道を戻って、石橋の半分まで行くとムービーが始まり、後ろのタワーがゴゴゴゴゴっと手が生えてボスになり、雨も降ってきて、そこからみんなで戦い始めるという(笑)。途中でパーティが死に絶え掛けるんですけど、ギターが回復呪文を唱え始めると生き返るっていう。

かなりのゲーマーであることが分かりますが(笑)、そこまで細かい場面設定がなされているとなると、いろいろと想像しながら聴くと面白さが増しますね。「Der Baum」にしてもドイツ語のタイトルから惹かれますし。

星野
これはだいぶ前にひな形みたいなものができていて、その時はアンビエントミュージックにはまっていたので、年輪が小さいところから広がっていくような…深い森の中の魔女みたいな光景が漠然とあって、森の青とか緑とか黒とかの色合いや波紋がイメージとして入ってるんです。これに関してはクラシックの方向の中にギターをどうやって引き込んだら違和感なく溶け込むのかを考えながら、メロディーラインを書きました。
ISAO
これはすごかったなぁ〜。メタルとかロックとかポップスとか、そういう音楽をやっている人には絶対に理解できない旋律がいっぱい出てくるんですよ。でも、それが理論的にも音楽的にもぴったりはまってるんです。もちろん、「the Tower」もそうなんですけど、この「Der Baum」はすっごい勉強になりましたね。

分かる気がします。実際に聴いてみたら、この音楽をどう説明していいのか、適切な言葉が浮かばないんですよ。

ISAO
カテゴライズはしづらいかもしれないですね。

ええ。いろんな要素があり、どんどん謎掛けをしてくるような。とはいえ、難解ではなく、BGMとしても機能するような響きなんですよね。うるさくないんです。

ISAO
嬉しいですね。“うるさくない”というのを、僕は結構意識したんですよ。

ギターはヘヴィな音を弾いているはずなのに、良い意味でそう聴こえてこない。だから、先ほどISAOさんが話していた、ギターとバイオリンの同調の仕方のような話にもすごく納得させられるんですよ。

ISAO
バイオリンのインストゥルメンタルも世の中にたくさんありますけど、どうしても歌モノのラインをバイオリンでなぞっているパターンが多くて。それはそれでひとつの完成形なんですけど、やっぱりギターとバイオリンのソリストがふたり集まった時にできることって、多分そういうものではないだろうなと。だから、いわゆるインストゥルメンタルな作り方を今回は意識してましたね。もちろん、同業者が驚くようなテクニカルなフレーズも、このアルバムの中には散りばめられてるんですよ。でも、わざと強調せずに楽曲の一部として流れの中に組んでいるんです。

今までに聴いたことがない、それでいて心地良い音楽を求めている人には、ちょっと手を伸ばしてみてほしいですね。きっと先入観が覆されると思うんですよ。

星野
1番低い弦を半音下げたダウンチューニングで弾いてる曲とかも実はあったりして、自分にとっても弾いてて刺激になったことは多いんですね。今も練習してますけど、すごく勉強になる…成長するための素材もたくさん入っているアルバムなんです。

続編も聴きたくなりますし、できることならこれをライヴという実際の演奏で…

ISAO
それは無理じゃないですかね(笑)。
星野
何でですか! やろうよー。
ISAO
まぁ(笑)…もちろん計画してますよ。春以降になりますけど、東京だけとかではなく、それなりの規模でツアー的なこともしたいなと思ってはいます。

取材:土屋京輔

アルバム『soLi』2020年1月22日発売 Walküre Records
    • WLKR-0043
    • ¥3,000(税抜)

★アルバム発売記念イベント

2/23(日) 東京・dues新宿 
※ミニライヴ&私物サイン会

soLi プロフィール

ソリ:浜田麻里、Fuki Commune、某サポートでは海外の巨大フェスなどに参加など、その圧倒的なテクニックとセンスで多方面で活躍する多弦ギタリストのISAO と、矢沢永吉、KinKi Kids、LIV MOON などのライヴにストリングスメンバーとして参加してきた女性バイオリニストの星野沙織によるインストゥルメンタルユニット。2020年1月に待望の 1st アルバム『soLi』をリリース。soLi オフィシャルHP

アルバム『soLi』トレーラー

「Opening Gambit 」
Official Music Video

OKMusic編集部

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