『美輪明宏の世界~愛の話とシャンソ
ンと~』初日を前に美輪明宏がコメン
ト「世界を救える言葉はルンルン♪」
新ビジュアルも公開

2019年9月7日(土)〜2019年9月23日(月・祝)、東京芸術劇場 プレイハウスにおいて『美輪明宏の世界~愛の話とシャンソンと~』が上演される。初日を目前に控え、美輪のコメントと新ビジュアルが届いた。今年チョコレートスナック菓子の《国民総選挙》と銘打ったキャンペーンのテレビCMや、SNSに党首として登場して話題となっている美輪明宏。このたび公開された本番で着用される華やかなドレスと、世界を救う言葉について語る美輪のコメントに注目したい。
美輪明宏コメント

最近、とてもつらいニュースに触れることが多いですよね。国内の事件にしても、国交問題にしても、トランプ大統領の発言にしても……。ネットでも、荒れた言葉を吐き出している人が増えているようです。現在の経済状況や社会問題のなかで生きるためには、思いの丈を話すことだって必要だと思います。なぜなら、《もの言わぬは腹ふくるるわざなり》と古くから申しますからね。心身に一番悪いのは、溜め込んでしまうこと。ですから、思っていることを喋って発散するほうがいいわけです。トランプ大統領なんて思いの丈を全部、Twitterに書いているから、あれほど大きくなったのかもしれません(笑)。
だからといって、「バカ死ねキモイ」という汚い言葉をそのまま言ったりSNSに書き込んだりすると、ますます人間関係や社会問題を深刻化させてしまうだけ。そこでわたし、一生懸命に考えてみました。現代に生きる人間たち、世界を救える言葉はないだろうかと。秘密にしておこうかと思ったのですが……今日、お伝えいたしましょう。それは《ルンルン♪》です。会話の途中でも最後にでも、とにかく《ルンルン♪》を言えばいいのです。「おかえりなさい ルンルン♪」「ごきげんよう ルンルン♪」とかね。すると思わず、疲れた心がふっと楽になって、言ったほうも、言われたほうも、気持ちが明るくなると思いませんか。
この《ルンルン♪》、昔から楽しい気分を表すのに使っていましたよね。《ルンルン気分》だったり。でも最近はあまり使われていないことに気がついたんです。それでまず子どもたちに伝えたいと思い、『にほんごであそぼ』(Eテレ)で少しだけ披露してみました。ところが最近は、四十代五十代の方々が年金問題や健康などの悩みが山積して、とても疲弊していらっしゃるご様子でしょう? それで、もっともっと広めていこうと思ったのです。日常生活はもちろん、首脳会談のような場でも使ってみたら、いろいろな問題が丸くおさまる気がするのです。輸入問題でも、「うちの産物を買ってください ルンルン♪」って。マイナスな出来事や深刻な発言につけると、言うほうも聞くほうも、ふっと気持ちが軽くなるでしょ。極端だけれど、お葬式でも「このたびはご愁傷様でした ルンルン♪」って言えばいいんです。「バカにしてるのか!」って怒られたら? 「だって、天国へいらしたんでしょう? よかったですね ルンルン♪」と前向きに返せばいいのです。おじさまたちも「そうじゃないだろ、バカ野郎! ルンルン♪」「うるせぇ、あんたに言われたくない ルンルン♪」、親子のひさしぶりのLINEでも「元気にしてるか? ルンルン♪」「余計なお世話だ、放っておいてくれ ルンルン♪」ってね。本心をぶつけ合っても、ソフトな印象を受けるから、気分が上がると思いませんか? 愛情だって湧いてくるような気がするでしょう?
あ、コンサートのお話でしたね。失礼しました ルンルン♪ 2年前、シャンソンばかりのコンサートをお贈りしましたら、とても評判がよくて、若い人たちから「初めてシャンソンを聴いて、感激しました」というお手紙をたくさん頂戴したんです。それで、今年もシャンソンの名曲の数々を歌うことにいたしました。
シャンソンは、一曲に一人の人間の愛のドラマが描かれていることが多いのですが、その人には相手がいるわけだから、二人分の芝居を一曲に込めなくてはいけないんです。その人の精神状態から、相手はどういうタイプなのか、何時ごろ別れて、そのときの街の灯りはどうだったか。その季節ならどれくらいの温度で、風はどう吹いていたのか……そういう情景まですべて自分のなかでつくり上げて歌わなければといけない。わたしのコンサートにいらした方はよく、「映画を何本も観たような感覚です」と仰るけれども、とんでもない。こちらはお芝居を何本も立て続けに上演しているほど、気力も体力も必要になります。だから、一曲一曲が真剣勝負。幕が下りたときの達成感たるや、ようやく責務を果たせたと倒れ込むように楽屋へ戻ります。
ただね、不思議なことに長年、音域も声量も変わらないのです。そのためにわたしの身体のなかは戦闘状態。お客様には分からないように、なんてことない顔をして歌っているけれど、登場人物たちの精神状態から複雑な事情から情景まで、何から何までを自分の身体に流し込んで、肉体と心に指令を送って、力をキープしながら一曲を歌い上げるわけですから。私、もう84歳ですからね。足腰も弱ってきているし、……今までもったのが不思議なくらい。ひょっとしたら、今年のコンサートが最後になるかもしれない……。あ、こういうときにこそ、使わなくちゃね、ルンルン♪

撮影:御堂義乘

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