モンハンがPS4史上最も売れたタイト
ルとなった理由

シリーズ発売から15年。さらに勢いを増
すモンハン旋風。

PS4で最も売れたソフトが何かをご存知だろうか。

ドラクエ、ファイナルファンタジー、キングダムハーツ。多くの有名タイトルがPS4で発売されたが、これらのタイトルはどれも売上本数1位のタイトルではない。

今回のゲームコラムでは、それらを抑えて1位にランクしているタイトルを掘り下げる。あなたはモンスターハンターシリーズをプレイしたことがあるだろうか?

モンスターハンターとは?

「モンスターハンター」は、2004年にカプコンから発売されたアクションシリーズ。プレイヤーはハンターとなり、モンスターの狩猟へと出かける。ステージには、ターゲットとなるボスのほか、大小さまざまなモンスターが配置されており、討伐後、牙などの素材を剥ぎ取ることもできる。植物や鉱石などの素材と合わせて装備を強化し、より強いモンスターへ挑んでいくゲーム性が受け、一躍人気タイトルとなった。

2018年1月には、シリーズ最新作となる「モンスターハンター:ワールド」もリリースされ、1,240万本の売上本数を記録している。(2019年3月31日時点)これは、シリーズ内でも最高の数字で、文字通り21世紀を代表するモンスターシリーズへと成長した。

間もなくリリースを控える拡張コンテン
ツ『モンスターハンターワールド:アイ
スボーン』

さらに2019年9月6日には、同作の拡張コンテンツ「モンスターハンターワールド:アイスボーン」のリリースも予定している。発売から1年半が経ってもなお高い人気を誇るタイトルだけに、この拡張コンテンツにも大きな期待が寄せられている。

モンハンが生み出してきたカルチャー

オンラインプレイに特化したシリーズタイトル「モンスターハンターフロンティア」

シリーズ15年の歴史のなかで、モンハンはさまざまなカルチャーを生み出してきた。

マルチプレイがまだ浸透していなかった時代に、オンラインによるマルチプレイを前提にリリースされ、その作品が商業的にも大きな成功を収めたことで、“これからはマルチプレイの時代が来る”ということを証明してみせた。シリーズ第2作を携帯機へと移植した「モンスターハンターポータブル 2nd」が子どもたちの間で流行ると、某有名ハンバーガーチェーンの店内テーブルはまるで遊技台のようになり、店側から「店内ゲーム禁止」のお達しが出たこともある。今振り返ると、あれは一種のカルチャームーヴメントだった。
シリーズを不動の地位まで押し上げた「モンスターハンターポータブル 2nd」

また、界隈の共通言語として使われるようなスラングも、モンハンからは多く生まれている。「上手に焼けましたー!」や「モンハン持ち」という言葉を聞いたことがあるだろうか。
モンハンには継続的なアクションの限界値を決めた「スタミナ」という数値がある。キャラクターがなにかアクションを起こすたびに減少し、0になると息切れによってスキだらけになるというものだ。最悪の事態を防ぐためには、この数値を上手に管理するほか、あらかじめ上限をあげる方法もある。スタミナ上限アップには、お肉に分類されるアイテムが必要になる。

モンハンシリーズにおいては、モンスターからの剥ぎ取りなどで「生肉」を入手できる。この生肉を焼いて得られる「こんがり肉」を食べると、より効率的にスタミナ上限をアップできるのだ。そのため、肉を焼くシステムは、初代から続くモンハンのキーシステムとなっている。「上手に焼けました―!」は、そのシステムの中で使われるモンハン伝統のSEだ。

このSEは、モンハンというタイトルの枠を超え、スラングのように使われている。そのルーツがモンハンであることを知らない人もいるのではないだろうか。それと同時に、焼肉やBBQのシーンで「上手に焼けました―!」と叫んだ経験があるシリーズファンも少なくないはずだ。ドラクエシリーズにおけるルーラのような、シリーズ未プレイの人にも知られる言葉となっている。
モンハンシリーズは、「モンハン持ち」と呼ばれるコントローラーの持ち方も生み出した。操作が忙しいアクションゲームにおいて、より安定的かつ効率的な操作を可能にするためのオリジナルの持ち方だ。

アクションゲームが全盛の今、この「モンハン持ち」は、さまざまなゲームの操作に流用されている。YouTubeに投稿された攻略動画の中で、当たり前のように「モンハン持ち」と紹介され、ネット検索すれば、その画像がいくらでもヒットする。万が一、モンハンシリーズが今後開発されなくなったとしても、この操作方法はずっと残っていくのかもしれない。これをカルチャーと呼ばずしてなんと呼ぶのか。モンハンシリーズがゲーム業界に刻んだ爪痕は、あまりにも大きい。

女性プレイヤーがトレンドタイトルのカ
ギを握る時代

モンスターハンター:ワールドの流行からは、現代のトレンドタイトルに共通する要素も見える。それは、ファンに女性プレイヤーを抱えているかどうか、という点だ。

創成期には男性プレイヤーに支えられてきた印象のあるモンハンシリーズだが、最近になって女性プレイヤーの増加が目立ってきている。ライブ配信を探せば一定確率で女性の配信があり、そこでは多くの場合、女性が男性に混じってプレイしている。

もともとゲームというジャンルは、男性がプレイヤーの過半数を担ってきたカルチャーだと、ぼくは考えている。性的少数者のことを加味しても、女性とのプレイを楽しくおもう男性はきっと多いだろう。男女が入り混じって遊ぶ機会が増えることで活性化する面が、少なからずあるのではないか。
近年、支持を集めるタイトルにもその傾向を見て取れる。

以前、このコラムで扱ったDead by Daylightも、女性プレイヤーの多いゲームタイトルだ。この作品もまた、女性プレイヤーと男性プレイヤーが入り混じって遊ぶシチュエーションをよく見る。なぜ女性プレイヤーに支持されているのか、その理由は定かではないが、同タイトルも女性プレイヤーの多さという特徴を持つトレンドタイトルであることは間違いない。
また、シューティング系バトルロイヤルゲームのなかで特筆して女性プレイヤーの多いこのタイトルも挙げておきたい。
Fortniteの場合は、同ジャンルのタイトルでは珍しい、アメコミ風のポップなキャラクターデザインを採用している点が、女性支持の要因にあるだろう。建築で敵との間に遮蔽物を作りながら戦うシステムは、ゲーム慣れしているプレイヤーでもハードルが低くない。しかし、おぼつかないプレイながらタイトルを満喫している女性プレイヤーは多くいる。
国産のタイトルからは、この作品が例に挙がる。
FINAL FANTASY XIVは、日本で最も有名と言っても過言ではないシリーズが放つMMORPG(サーバー上に用意された世界を、参加するすべてのプレイヤーで共有しながら遊ぶロールプレイングゲーム)タイトルで、全世界に1,600万人のユーザーがいる。コアゲーマーが喜ぶRPG的なバトル要素だけでなく、ものづくりや着せ替えといったシミュレーション的な要素もあり、プレイヤーそれぞれが自由にその世界を楽しめる点が、女性プレイヤーを離さない理由だろう。リリース当初は酷評されたタイトルだったが、MMORPGのジャンルでは最も成功したタイトルとなりつつある。
このように直近のトレンドタイトルは、女性プレイヤーの多さに特徴を持つ作品があまりにも多い。今後支持を集めるであろうタイトルを考えるとき、この点が外せない指標となっていくのではないだろうか。

新コンテンツリリースはまもなく。モン
ハンフィーバーはまだまだ続く。

2019年9月の拡張コンテンツリリースを前に、モンハン界隈はさらに盛り上がりを見せる。それはまさに前夜祭の様相だ。現時点でのプレイヤー人口を考えても、モンスターハンターワールド:アイスボーンは、2019年屈指のタイトルとなっていくだろう。少し視点をずらしてみることで、また新しいモンハンの魅力に気づけるかもしれない。

モンハンがPS4史上最も売れたタイトルとなった理由はミーティア(MEETIA)で公開された投稿です。

ミーティア

「Music meets City Culture.」を合言葉に、街(シティ)で起こるあんなことやこんなことを切り取るWEBマガジン。シティカルチャーの住人であるミーティア編集部が「そこに音楽があるならば」な目線でオリジナル記事を毎日発信中。さらに「音楽」をテーマに個性豊かな漫画家による作品も連載中。

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