引退を考えていた女優・水崎綾女、照
屋年之(ゴリ)監督『洗骨』とのめぐ
り合いに「第二章の始まり、スタート
のような気がしています」

2月10日(日)シネマート新宿にて、映画『洗骨』の舞台あいさつが行われ、照屋年之監督のほか、主演の奥田瑛二、筒井道隆、水崎綾女、大島蓉子、坂本あきら、鈴木Q太郎、筒井真理子らキャストが登壇した。
『洗骨』は、沖縄の離島などごく一部に残るという、死者を風葬にし、数年後に骨を洗うという風習をテーマにした映画。ガレッジセールのゴリが、照屋年之としてメガホンをとった長編作品だ。
写真左より、鈴木Q太郎、筒井真理子、水崎綾女、奥田瑛二、照屋年之監督、筒井道隆、大島蓉子、坂本あきら
舞台あいさつに登場した照屋監督は、「短編映画を粟国島で撮ることになり、ロケハンのときに偶然洗骨の話を聞いたのが初めてでした。沖縄出身の僕も知らなかった。命を繋いでくれたご先祖にいまの自分があるのを感謝する行為、これは映画になると急遽、台本を変えて短編を作りました。その作品が賞を頂き、いざ長編にしようとするときに母が亡くなりました。2日間の通夜で母と添い寝したんです。ここの人のおかげで俺が生まれたんだよな、その母はばあちゃんのおかげで……と遡ると、祖先が生きることをあきらめないで命を繋いでくれたから自分がいると思えたんです。だから母が書かせてくれたシナリオです」と語った。
奥田瑛二
公開まで精力的に宣伝活動を行った主演の奥田は、監督から沖縄での大ヒット報告を聞き、「3週沖縄で1位ということは……僕が木村君やクィーンに勝ったってこと?」とニヤリ。場内からも大きな笑いと拍手が飛んだ。そして、「この年齢になって、よくぞこんな映画に巡り合えたと思います。昔巨匠と仕事をしたとき、脚本を読んだ瞬間に『監督に会いたい~!!』と叫んだ。そして今回も『監督に会いたい~!!』と叫んだんです。思えば 20数年、一生懸命仕事をしてきたけれどそんなことはなかった気がします。だから気合が入りすぎて、役作りをどうしていたのか、どんなことを思いながら沖縄にいたのか記憶がない。それくらい強い想いと自信をもって、お届けできていると思います」と語った。
筒井道隆
筒井は、沖縄での撮影を振り返り、「もともとが沖縄が好きで。撮影では約1ヶ月滞在しました。沖縄の歴史なども知らなかったから調べたりして。今も、もっと勉強しようと思いますね」と笑みを浮かべていた。
水崎綾女
水崎は、この作品と巡り合う前に引退も考えていたことを明かし、「(女優人生の)第二章の始まり、スタートのような気がしています」と語った。信綱の長女で妊婦の優子を演じた水崎。お腹のシリコンを巻いたまま、撮影が休みの時も生活を続けていたそうで、「『命を繋ぐ』がテーマで、わたしの妊娠姿がとても大事だったので。そうして生活していると、町に出ても妊婦さんが自然と目に入ってくるんです。旦那さんと寄り添って幸せそうなのに、自分は一人で寂しくなった。そういう気持ちが優子が感じている気持ちなのかなと。それから食堂のおばちゃんがわたしのお腹を見て「もうすぐ生まれるね」「この張り方は男の子ね」と応援してくれてちょっと心苦しかった(笑)。映画が公開されたことで、役作りのために頑張っていたことをわかってもらえるかなと思います」と明かしている。また、撮影期間中、リアルすぎる妊婦姿が誤解を生むことが合ったようで、水崎は「周りのお客さんが食堂のすみでご飯を食べている奥田さんと水崎さんをチラチラ見てるんです。でも話しかけない。“奥田瑛二が若い女優をはらませて、落ち着くまで沖縄潜伏してるんじゃないか”と勘違いしていて(笑)」と思わぬ騒動を暴露し、会場は爆笑に包まれた。
妻亡き後に生きる気力を失くした信綱に寄り添う姉・信子を演じた大島は、満員の客席を前に「初めての舞台挨拶なので緊張していますが2度3度と足を運んでいただいて、この映画を知らない方にも教えてあげてください」と、堂々の挨拶。「わからないことがあると、監督がやって見せてくれるんです。それが上手すぎて!」と、現場について語る。すると照屋監督は、「大島パニックと呼んでたんですが、現場では『急に言われてもできない!準備していたことしかできないよ!!』と慌てるのに、本番の声がかかると堂々の演技。この人、本当に本番に強いんです」と明かした。
大島蓉子

坂本あきら
坂本は独特のテンポで「今日大雪にならなくてよかったです。それもこれも皆さまのおかげです」とあいさつ。また、水崎演じる優子の恋人役・鈴木は、挨拶のあと「10 年前に流行ったギャグをやらせていただきます!」と万感の思いを込め、「卑弥呼様~!!」を全力披露していた。

鈴木Q太郎
信綱の妻役で数シーンの出演ながら、キーマンとなる恵美子を演じた筒井は、「遺影にはこだわりましたね。台本を読んだときに、なんて幸せな役なんだろうと思ったんです。でも失敗すると映画が成立しなくなる役。死に顔と遺影にはこわらせていただきました」と語る。照屋監督も筒井のこだわりには舌を巻いたそうで、「(死体役で)桶に入っても、何度も目を開けて『監督、頬がこけるメイクをもうちょっといいですか?メイクさーん!』というやり取りを繰り返し、『早く死ねよ!』と思った(笑)タイトルが『黄泉がえり』になっちゃう(笑)」と話し、場内を大きな笑いで包んでいた。
筒井真理子

照屋監督は、本作について「大勢の人の血と汗が混じって作り上げたと思っています。わが子のように可愛い作品です。見せたくて仕方がない、年賀状に赤ちゃんの写真を載せる人の気持ちがわかりました!」と語り、劇場公開の喜びを語っている。
『洗骨』は全国公開中。

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