『ようこそ、障害者スポーツへ-パラリンピックを目指すアスリートたち-』(廣済堂出版)/著:伊藤数子

『ようこそ、障害者スポーツへ-パラリンピックを目指すアスリートたち-』(廣済堂出版)/著:伊藤数子

知られざるパラリンピックの問題点

 障害者スポーツの祭典「パラリンピック」。だが感動の影に隠れて様々な問題点を抱えていることをご存知だろうか?
 まず、パラリンピックを簡単に説明すると、そもそもの起源は戦争で負傷した兵士のためのリハビリにあるという。1948年にイギリスの病院で行われた、車椅子の軍人たちによるアーチェリー大会だった。その後規模が大きくなり、1960年にローマで行われた国際大会が第1回のパラリンピックとされている。1988年のソウル五輪より、パラリンピックも同地開催となったことで知名度が上昇。障害者スポーツの発展に寄与する一方で、様々な問題点も表面化してきた。

 まずはドーピングである。これは健常者と同じケースもあるが、そもそも障害を抱えているために普段から薬を使用している参加者も多く、大会前に使用して違反となるケースがあった。また、大会参加のため、使用を長期間ストップしたことによる症状悪化の例もあるという。
 そして使用機具の格差だ。例えば車椅子や義足。これはお金をかければかけるほど軽量化や機能性の上昇に繋がるのでモノが上質になっていく。機具の性能は成績に直結するため、比較的に裕福な選手やいわゆる先進国の選手が圧倒的に有利になるのである。
 さらに同じ競技でも障害の度合いによって応じるクラス分けである。例えば100m競争でも障害によってクラスが変わるため、同じ競技で金メダルが男女合わせて10個以上にもなる。そのため、ひとつのメダルの価値が圧倒的に下がってしまう。かと言って、統合するにも体格差や障害差などが如実に出てしまうため、こちらも現時点では厳しい。
 公平性とメダルの価値を両立させるための苦難が続いている。

※記事の内容と画像の書籍は一切関係ありません。

 (文・編集部)

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