【インタビュー】オードリー・ホーン
、よりドラマティック&メロディアス

ノルウェーのハード・ロック・バンド:オードリー・ホーンによる最新作『BLACKOUT』が完成した。前作『PURE HEAVY』から3年半ぶりとなる通算6作目のフル・アルバムだ。
1990年代前半に一世を風靡した人気TVドラマ『ツイン・ピークス』のシェリリン・フェン演じるオードリー・ホーンに因んだ名前を持つ彼らは、そのバンド名のみならず、グループとしての成り立ちや各メンバーの出自、そして何より音楽スタイルの面でも一際強い個性を有している。作を重ねる毎に1970年代のハード・ロックや1980年代のヘヴィ・メタルの要素を強化させ、よりドラマティックでメロディアスなものへと進化してきた。そんな彼らの更なる進化を印象づける新作『BLACKOUT』について、トッシーがたっぷりと語ってくれた。
――前作『PURE HEAVY』は2014年に発表されましたが、あのアルバムにともなうツアー活動はどの程度行なったのでしょうか?
トッシー:かなりやったよ。2回ツアーを行って、その他に単発のショーやフェスティバル出演もたくさんあった。ヨーロッパ中のあらゆる場所でプレイしたよ。アメリカや日本には行かなかったけれど。
――オードリー・ホーンの人気は特にイギリス、ドイツ、フランスで高まっているようですが、その理由は何だと思いますか? 優れたアルバムをリリースし続けるだけでなく、実際にライブ演奏をやりに行くことも重要だと考えていますか?
T:もちろんだよ。ライブをやるのは凄く大事なことだ。特に俺達のようなバンドはね。俺達は良いレコードを作っていると思うけれど、ライブの方がもっと俺達を楽しんでもらえると思う。俺達のライブ・ショーはどちらかというとハプニングだからね。もちろん他のルートで俺達の音楽を広めることも凄く大事だよ。ソーシャル・メディアやラジオなんかを通してね。
――日本のメタル/ロック・ファンの多くの大多数は、まだオードリー・ホーンのライブ・ショーを観たことがありません。オードリー・ホーンのショーで、我々は何を期待できますか?
トッシー:俺達のライブ・ショーは、どう言えばいいかな…凄くエネルギッシュで、そして聴衆との絡みもたっぷりある。素晴らしいショーにとってバンドと同じくらい聴衆も欠かせない存在だと俺達は考えているから、ステージから客席に降りてプレイしたり、聴衆の何人かをステージに上げたりもするんだ。バンドを観ているだけじゃなく、自分達もその体験の一部だと感じてもらえることなら、何でもやってみたい。だからショーが終わってから皆と話したり一緒に飲んだりもしているよ。ステージを降りたら聴衆とは関わりたがらないバンドもたくさんいるよね。疲れていたり自分達だけになりたいと思ったり…色々な理由でね。だが俺達は、ショーが終わった後、来てくれた人達と話ができるのも凄く良いことだと感じているんだ。彼らから感想を聞かせてもらえるしね。
――オードリー・ホーンのショーに来ている客層はどんな人々ですか?オードリー・ホーンの音楽は1970~1980年代にあったとしても、2025年に出てきたとしても不思議ではない普遍性が備わっていますが。
トッシー:。若いキッズもいるし若い女の子達からかなりの大人まであらゆる世代がいるよ。だが一番多いのは30代から40代以上の男性かな。1980年代と1970年代のハード・ロックを聴いて育った人達が俺達のショーによく来てくれるんだ。彼らは俺達のことを、1970年代、1980年代に彼らが愛していた音楽の重要な要素を呼び戻すバンドだと考えてくれているからだ。
――アイス・デイル(G)はエンスレイヴドの一員として日本に来たことがありますが、彼から日本について何か聞いていますか?
トッシー:彼はとても楽しんだようだ。俺自身はまだ一度も行ったことがないし是非行きたいと思っている。日本の古い文化だけでなくモダンなポップ・カルチャーにも凄く魅力を感じているからね。後者はアメリカやヨーロッパのそれをある意味エクストリームにした感じがする。今の日本のポップ・カルチャーはスピード(覚醒剤)をやっているアメリカやヨーロッパのカルチャーという印象だよ(笑)。とことんまで行く傾向があるからね。俺はそこが好きだ。日本の古い映画やコミックやアニメも昔から大ファンだよ。
――『BLACKOUT』は通算6作目ですが、1st~2ndアルバムと比べて変化はありますか?以前「3枚目の『AUDREY HORNE』で、自分達が何をやりたいのかわかった、自分達のサウンドを見つけた」と発言していましたが、それ以降曲作りのスタイルに変化はないのでしょうか。
トッシー:それほど変わってはいない。だけど『YOUNG BLOOD』と『PURE HEAVY』と『BLACKOUT』で前よりやるようになったのは、バンドのメンバー5人全員が曲を書くことだ。以前は俺とギター・プレイヤー、俺とベース・プレイヤーとで書くことが多かったから、それがここ数年での一番の変化かな。俺達は、メンバー全員がこのバンドの同等の一員だと感じられるようにしたいんだ。
――それでは収録曲について。1曲目の「This Is War」のギター・パートはシン・リジーやアイアン・メイデンを想起させますね。
トッシー:そうだろうな(笑)。俺達の音楽には影響源がわかりやすいものがたくさん含まれているから、隠そうともしていないよ。アイアン・メイデンやシン・リジーのように聞こえるようにしようとは思っていないけれど、俺達は音楽が大好きだしそういったバンドを長年たくさん聴いてきたから、彼らのサウンドが俺達の音楽に入り込むのは自然なことになる。俺達はそれを隠そうともしない。アイアン・メイデンのようなバイブがあると感じても、良い曲を書いたと思えるならそれで良いんだ。アイアン・メイデンに凄く似ていると言われても「そうかい?クールだ!」と思うだけだよ。この曲にはシン・リジーとアイアン・メイデンがたっぷり入っているのは確かだ。
――タイトル曲の「Blackout」では、曲名からはスコーピオンズを思い出しますが、何か別の曲が脳裏をよぎります。リズム・ギターが彼らを思わせるような。
トッシー:うん、そうかもしれない。俺達もこれを書いた時、スコーピオンズのバイブがあると感じたんだよ。リズム・ギター・パートは多分「Rock You Like A Hurricane」とか「Across The Universe」の感じかな。書いたものをスタジオでレコーディングするのが一番難しかったのがこの曲で、ぴったりのテンポを見つけるのに苦労したね。最初にプレイした時はちょっとスロー過ぎてグルービーさが足りないと思ったし、次はちょっと速過ぎて良いと思えなかった。適切な速さを見つけるのが大変だった。ごくベーシックな曲で、複雑過ぎずコーラスで終わらずたくさんのギター・ソロで終わっているのもクールだと思う。通常、こういう曲はコーラスで終わることが多くて、それが自然な書き方みたいな感じになっている。でも、俺達は曲そのものがギター・ソロを要求していると感じたから、たくさんギターを入れたんだ。俺達のプロデューサーも凄く気に入って「もっとギターを弾け」と言っていた。良い曲だと思う。
――アートワークにはYシャツにネクタイ姿の人が水に浸かっていて、胸ポケットにイカかタコのようなものを入れている奇妙なものですが、これは何を意味しているのですか?
トッシー:あのアイディアを出したのは俺なんだよ(笑)。俺達の音楽には1970~1980年代のクラシック音楽から影響を強く出ているから、このアルバムにも、それらと同じバイブを持たせたかったんだ。1970~1980年代のアートワークを振り返ってみると、常軌を逸した感じがするものがたくさんあった。例えばピンク・フロイドの『炎~あなたがここにいてほしい』を見たら、2人の男性が握手をしていてひとりだけに火が点いている。スコーピオンズの『ラヴドライヴ』では、車の後部座席に座っている2人…女性の胸と男性の手がチューインガムで繋がっている。俺はそういうのが凄く好きなんだ。ストーム・ソーガソンの影響を凄く受けていてね、UFOやレッド・ツェッペリンやスコーピオンズやピンク・フロイドなど、あらゆるタイプのバンドのアートワークを手掛けた人で、俺もちょっと奇妙なアートワークにしてみたかった。奇妙と言っても全く理解できないものではなく、良い写真なんだけど一体何が起こっているんだ?と思うようなものだ。白いシャツとネクタイを使ったのは、それが俺の通常ステージで着ているものだからだよ。俺達のショーに来る人達が見慣れているのが白いシャツと黒いネクタイの俺だ。それから、ポケットにペンでもハンカチでもなくタコを入れることを思いついた。その話をフォトグラファーにしたらクールだと言ってくれた。だが、それをやるなら君に水の中に入ってもらわないといけないとも言われた。その方がより理に適うからってね。それが、俺がこのアートワークを作った経緯なんだ。アルバムのタイトルも決まっていなくて、アイディアは山ほどあったけど、曲のタイトルを眺めていると“Blackout”が際立っていて、アートワークのイメージにもぴったり合うと感じた。他の連中も賛成してくれた。それで、このアートワークになりアルバムのタイトルも『BLACKOUT』になったんだよ。
――2018年の予定は?
トッシー:1月17日からヨーロッパ・ツアーを始める。ドイツ、フランス、オランダ、スイスといったところでたくさんのショーをやる。それが終わったら地元のノルウェー国内でかなりの数のショーを行う。夏になったらフェスティバルだ。ノルウェーでもたくさんフェスがあるしオランダやドイツにも行く。年の前半の予定はそんな感じかな。夏が終わってからの予定は、俺はまだよく知らないんだ。
――日本を含むアジア地域での活動は?
トッシー:是非やりたいよ。絶対にやりたい。俺達にはヨーロッパでのブッキング・エージェンシーがいるけど、日本とはつながっていないんだ。でも俺は絶対に日本に行きたいと思っている。上手くいくことを願っているよ。
取材・文:奥野高久/BURRN!

Photo by Bent Rene Synnevag

オードリー・ホーン『ブラックアウト』

2018年1月12日 世界同時発売

【CD】¥2,300+税

※歌詞対訳付き/日本語解説書封入

1.ディス・イズ・ウォー

2.オードレヴォリューション

3.ブラックアウト

4.ディス・ワン

5.ミッドナイト・マン

6.ライト・ユア・ウェイ

7.カリフォルニア

8.サテライト

9.ネイセイヤー

10.ローズ・アリー

《ボーナストラック》

11.ジャガノート

12.ジ・エンド
【メンバー】

トーシェル・ロズ(Vo)

アルヴェ・イスダル(G)

トーマス・トフトハゲン(G)

エスペン・リーン(B)

キュティル・グリーヴェ(Dr)

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