最終電車はどこか切ない?「パスピエ/最終電車」

最終電車はどこか切ない?「パスピエ/最終電車」

最終電車はどこか切ない?「パスピエ
/最終電車」

特徴的なキーボードと軽快な女性ボーカルで女の子の甘酸っぱい気持ちを歌ったのが2012年に発売されたアルバム「ONOMIMONO」に収録されている「最終電車」である。翌年には泉まくらとのコラボレーションバージョンも発売され、話題となった。好きな人が乗って行こうとする最終電車を前にし、女の子が素直になろうとする瞬間をセンチメンタルに歌い上げている。
パスピエ「最終電車」

“嘘と誠がぶつかる交差点”という興味のそそられる冒頭の歌詞だ。恋人に嫌われないような偽りの自分(嘘)と本当の素直な気持ち(誠)がぶつかりあっていても、周りの人波は関係なく流れている。
この楽曲では感情の変化が鮮明に描かれているが、周りの風景からも主人公の気持ちが感じられる。“人混みに溺れないようにちゃんと手を繋いでおいてほしい”というのがとても可愛らしい。
伝えられない本音をポップに歌う

伝えられない本音がポップに歌われているサビだ。「最終電車に乗り込まないで一緒にいてほしい」と想っているが、悔しくて本音が言えない。“一寸先は闇”という言葉のように“今最終電車に乗ってしまうともう会えないかもしれない”という不安すら過ってしまうのだ。この本音を言えない悔しさは女性の“プライドの高さ”だけからきているものではない。
相手のことを想っているからこそ、本当の自分を見せるのが怖くて素直な気持ちが言えないのだろう。そしてそんな気持ちすらも気づかず、ためらうことなく背中をむけて最終電車に飛び乗っていく。自分の気持ちを我慢していることを気づかれないように「上手く笑えてるかな」と歌っているのだろう。
二人の間の“境界線”

そして勇気を出して伝えようとする。素直になってありのままの自分を受け入れてほしい。だからこそ“ここまで出かかっているの ちょっと待ってて”というフレーズからもどかしさが伝わってくる。
ヒロインの感情の変化を鮮明に歌いながらも、見える景色からも気持ちが伝わってくるところもこの曲の魅力だろう。冒頭では“嘘と誠がぶつかる交差点”と歌っていたが最後は“黄色い線の内側 境界線なら取っ払って”という表現がでてくる。駅のホームにおける“黄色い線”はアナウンスでもよく耳にするように、超えれば電車のスピードも感じてしまうほど近い距離になる。そんな二人の間の“境界線(=気遣いや上辺の表情)”もすべて無くして愛し合いたいというまっすぐな祈りだ。

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