【インタビュー】スキマスイッチ「「
全力少年」よりもっとエモーショナル
な前向きソング」 ルーツやチャレン
ジも融合させた今しか出せないカラー
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大橋 そうですね。新しいところを前面に出しているけど昔のスキマスイッチが好きな人は「さよならエスケープ」が聴きやすいかもしれないし、いろんな側面を感じられる1枚になったかなとは思います。昔は打ち込みを使うのにも抵抗がありましたが、今はそれもスキマスイッチのカラーにはなるから、その音を使うのはおもしろそうだねとか、すごく自由にやれている感じがあるんですよね。「ミスターカイト」は今まであまりやらなかった構成だけどルーツにあるものがパッケージできた気がするし、「リチェルカ」はサウンド的にかなり振り切ったと思うんです。
大橋 そうですね。フォークソングみたいなものもルーツにはあって、そこにポップスやロックの要素をスキマスイッチらしく融合したかった。で、サビを聴いて良い曲だなと思ってくれた人が、最初から聴いたら「こんなAメロなの!?」って驚いてくれたらいいなとか。それでいてサビが一回しか出てこなくて、もうちょっと聴きたいなっていういいバランスもとれる、そういう実験的なこともできました。
常田 歌詞も確かに、今しか書けない前向きソングだなと思います。根底にあるのは自分で動かなきゃいけない、待っているだけじゃダメだっていう部分であって、そういう意味では「全力少年」と同じ匂いかなとは思うんですけど。あれよりもっとエモーショナルでもっと熱い感じにはなっているんじゃないですかね。
常田 そうですね。楽曲の構成もそうで、途中で雰囲気がガラッと変わって風が吹きはじめて、ピタッと風が止んだときにさぁ何を思うか?っていう。その中で歌詞もガラッと変わる。そこに答えを書いてしまうとすぐに終わってしまうので、その部分においては小さなことしか言わないくらいがちょうどいいのかなと思ったんです。歌詞のたたき台を書いていたときのイメージは、僕が昔やっていたパラグライダーなんですが、全力で走らないと絶対に空に上がらないんですよ。それはカイトと同じ原理で、まさに“今しかない!”っていう瞬間を逃すともう一回やり直しだし、ちゃんと走らないと上がってくれない。しかもいきなり上がるんじゃなくて徐々に上がっていく、その高低差が曲にも表現できればいいなと思って書きました。
大橋 ほんとにね、スキマスイッチの作品の中で今までで一番歌うのが難しい曲でした(笑)。速さという面でもそうだし、言葉数も多い。意外とメロディがポンポン(音階を)飛ぶんですよ。その3つが合わさってめちゃめちゃ難しくなったという。
大橋 「パラボラヴァ」は難しいんですけど、コツさえ掴んじゃえばいけるんですよ。コツを掴むのが難しいんだけど(笑)。作っているときのイメージと実際に歌っているときのイメージが違うタイプの曲ってあるんですけど、「リチェルカ」は言葉を転がるようにはめていけばだんだん出来てくるんだろうなと思っていたんです。でも、“なんでこんな譜割りにしちゃったんだ!?”と思うくらい難しい場所があったりする。まぁ「全力少年」もわざとサビを難しくして、歌えたときに気持ちいい曲にしていたので…「リチェルカ」も同じように歌ってもらえたらおもしろいと思うんですけどねぇ。
大橋 アーティスト同士でセッションするときも嫌がられるでしょうね(笑)。僕も誰かアーティストさんと一緒に歌うってなったときにこの曲をあげられたら嫌ですもん(笑)。
常田 まさに『ドラゴンクエストXI』をやっているんですけど、いかにこのスケジュールの中で進めるかっていうのを自分に課していますね(笑)。一日一時間できるかどうかなので。昔は死ぬほどやっていましたからね!ひとり暮らしし始めた頃なんて、こんなにゲームしていいんだぁ!ってくらい。
大橋 僕は『re:Action』というツアーで、相手がすごいバンドだったり…敵ではないんですけど、ライバル視している部分もあるという意味でずっとすごいボスを相手にしている感じだったんですよ。楽しさと悔しさが入り混じる感じとか、そこから盗めるものがあったら盗もうという貪欲な感じとか。ずっと楽しみながら戦っているのは、まさにクエストでした。
常田 “リチェルカ”でしたね。残念ながら近年、一緒にライヴをやってもバンド同士で負荷をかけないようにしようって雰囲気もありますからね。アーティストとして、そういうバンド同士の繋がりを楽しんでもらえる機会をひとつ形にできたんだなと思う嬉しいです。
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