【笹岡水樹】
瞬間的に変わるものを切り取りたい
独特の歌詞と浮遊感のあるヴォーカルが魅力のシンガーソングライター、笹岡水樹。ギター好きな彼女の想いが反映された1stアルバム『ちょうだい』が完成した!
笹岡さんが音楽を始めたきっかけは?
小学校の時にずっと口ずさんでいた曲があって、中学に入ってポルノグラフィティさんの「愛が呼ぶほうへ」だと知ったんです。そこから音楽とギターに興味を持ち始め、ポルノグラフィティ好きの友人から“路上ライヴとかも楽しいよ”と言われて観に行ったら、学校の勉強よりはまってしまったんですよ。その影響で高校は音楽の学校を選びました。
バンドもしているそうですが、ソロ活動をスタートさせたのはなぜでしょうか?
高校2年からずっとバンドをやっているんですけど、もっと自分を出していきたいと思って。今回の作品は10代から現在に至るまでのいいところを詰め込んでいます。
笹岡さんの曲は独特の詞が頭に残りますが、詞が先?
昔は詞が先でした。3曲目の「触れて始まる」が一番古い曲なんですけど、後々に字余りしているんだと気付いて。今まではメロディーが合わなかったら、2番のメロディーが少し変わるといった、歌詞に合わせるやり方をしていたんです。でも、最近は曲から作るほうが多いですね。ギターが好きで、ギターリフをちゃんと作るから…“そういう曲の作り方もあるんじゃないの?”というアドバイスをもらったので。
真っ赤なギターはオリジナルモデルだそうですね。
Sago(New Material Guitars)というギターなんですけど、ポルノグラフィティさんのライヴに行ったら(新藤)晴一さんが使っていて。楽器屋さんで働いている友達がメーカーの営業さんを紹介してくれたんです。それで営業さんと話して運命的なものを感じて、“ギターを作ろう!”と。それが3年ほど前くらいの話かな。私は欲しいとなったら欲望に忠実なんです(笑)。だから、歌詞も15分とかでバーッと書いてしまいます。
MVにもなっているアルバム2曲目の「ちょうだい。」はインパクトのある曲ですが、これもパッと書き上げて?
歌詞はすごく早かったです。これはみんなの耳にズボッと入ってくるようなものを書こうと思って作った曲ですね。
それに続く、「触れて始まる」は素直な曲ですね。
この曲は愛着があって、作った時の情景をずっと覚えています。当時付き合っていた人が心変わりしてしまい、夜中に暗い部屋で、テレビでサッカーが流れている中で作っていました。このアルバムでは最初にレコーディングした曲でもありますね。あと、次の「カザメグリ」は20歳くらい…ちょうど路上ライヴをやり始めた頃の曲で、一番路上で歌っていた曲です。
アルバムの最後には中毒性のある「最後に」が。
未来が明るい最後を書きたいと思って、それでできた曲です。終わりじゃなくて、自分はこれで最後でいい、みたいな。
アルバムが出来上がってみての感想は?
私は金太郎飴タイプではなく、切ったらその瞬間瞬間で違う人間…根本の好きなことは変わらないけど、瞬間的に変わるものを切り取りたいんです。カメラが趣味でもあるんですけど、それも同じ理由ですね。ブログやInstagramに載せて、自分の曲と写真がすごく似ていることに気付きました。自分が表現するものは全部がつながっているんですよ。あと、私はギターが好きなので、このアルバムにはいろいろなギターサウンドを8曲全部にちりばめました。さらに5人のギタリスト、プラス私も参加していて。8曲でそれだけのギタリストがいるのは珍しいと思うので、サウンド的な部分でも楽しんでほしいです。
取材:桂泉晴名