「劇×音楽」の新たな挑戦 音楽劇Cr
eepの思いとは【インタビュー】
今回、主役の2人に聞いて僕ははっきりと確信した。
取材・文 / 新城慎
「絶対いいものを見せたい」
だけど絶対いいものを見せたいと凄く思ってるし、チャリティーなので子供たちにパワーを与えられるような人にもなりたいです。
ありがたいことに、周りにすごく色々と教えてくれる人たちがいるので、本番までにもっともっと良いものに出来たらなって思っています。すごく良い先輩もいるので。
ーーー神田さんは今の心境、どうですか?
神田 青(ルイ役):僕も不安は大きいです。
リュウ(龍太)は歌とダンスの経験がすごくあるのでいいんですけど、僕には無いんですよ。
だから、歌と芝居の繋ぎ方のバランスは、新しいチャレンジとして楽しみの部分でもあるけど、未知の領域っていう部分でもある。
ただ、その「未知」っていうのは、ネガティブな意味では全くなくて、歌はすごいエネルギーを持ってるなってのも感じたから。
そこを、跳び箱のロイター板のようにして、あの芝居部分と化学反応して、いい融合が出来たらいいなって思います。
伊佐:ロイター板?
伊佐:色だけに、あはははは(笑)
ーーー2人いつもこんな感じなんですね(笑)
ちなみに主役に抜擢されたときの気持ちってどうでしたか?
伊佐:正直、あのセイさんじゃないですか。他の人たちの名前も分かると、大丈夫かなぁって毎日ドキドキで。
みんなの前でその気持ちが見えているかどうかは分からないんですけど、結構負けず嫌いなので、一緒にやるからには、なんか “あっ” ってなるのは嫌だなって思ってました。
ーーー “あっ” てなるっていうのは?
伊佐:一歩引いて、みたいなこと。
セイさんとかリョウさん(ヒカル役)とかいる中で、『リョウさんが主役やった方が良かったんじゃないか』『なんであの子なの』みたいな風になるのはすごい嫌でした。
最初っから不安ばっかりで。
ーーーCreepのツイッターに投稿している動画でスタッフのお祝いとかされていて、みなさん仲が良いイメージなのですが、稽古中で特に思い出深いこととかありましたか?
伊佐:でも俺たち表だけ、表だけなんです、仲良いの。だから、
普天間 伊織 (プロデューサー):こらっ、ちょっと!
伊佐:だから、稽古終わったらすぐ帰ろーみたいな。
そんな喋ることもないし。
神田:帰り際にカギでイラってした人たちの車に傷つけて(笑)
伊佐:タイヤ蹴って、
神田:タイヤ蹴ったりして。
普天間 伊織:ねえ、わかってるよね?
伊佐:そんなことないです(笑)
一同:ハハハ(笑)
ーーーCreepに関わってきて特に印象に残っていることはありますか?
伊佐:あっ!僕、セイさんに稽古中によく掴まれるんですよ、胸ぐらを。そん時に思いっきりアッパーされたことがあって、我慢が出来ないくらい痛かったことがあります。
セイさんに言えてないけど。
神田:あははは(笑)ごめんごめん。
僕がいじめっ子の役で、いじめられっ子役がリュウなんですけど、
その胸ぐらを掴むっていうシーンがあって、この掴んだ胸ぐらを手前に引っ張るのではなくて上にあげるんですよ、舞台の所作的に。
で、その時に感情が高まりすぎて、力加減を超えてしまったんですね。そしたら胸ぐらのちょうど真上にあるシュウの顎が、僕の拳とバンって当たって綺麗なアッパー。しかも指輪着けてたし。
終わった後に『大丈夫か?』って聞いたら、『大丈夫』って言ってたんですけど・・・。
神田:今初めて知りました。ごめんね。
あ、だから車に傷がついてたのか。
伊佐:いやいやいや(笑)
ーーー「Creep」には、貧困・不登校児童支援という目的がありますが、2人は子供時代どのような子だったのか教えてください。
伊佐:僕はたぶん今でもそうかとは思うんですけど、自分の意見を言わない人。
昔から喧嘩とか争いごとが好きではなくて。わちゃわちゃ騒いでるのもあんまり好きじゃないし、面倒くさいのが好きじゃない。
でも、面倒くさいことによく巻き込まれるタイプだったので、嫌でした。
あと、親などにもよく『お前、自分の意見はないのか』とか言われてきました。
ーーーそうだったんですね。神田さんはどうでしたか?
神田:僕は今もそうなんですけど、頑固でマイペースです。
小ちゃい頃から、納得しないと絶対に動かない子だったとは聞いてます。
ーーー沖縄は特に貧困問題が話題となっていますが、その問題についてはどう考えていますか?
神田:社会的関心がやっぱり高まりつつあるのかなと思ってて。
この劇のために、貧困のセミナーにも参加したんですけど、もう立ち見を通り越して、会場に入りきらなくて別教室に中継で繋ぐっていうくらい、すごい数の人がいたんですよね。
そういった関心が増えている話題に僕は、この音楽劇「Creep」として関わっていくんですけど、やっぱりその当事者の方だったり、今までに支援をされている方々と比べると、僕は経験が足りない部分があると思うんです。
だから、僕らが何かやったとしても、それに対して否定的な意見が挙がるかもしれない。
だけど、今回の舞台を見てくれた人たちが我々の心情に寄り添って、「もしかしたら自分の近いところにもいるかもしれない」って、他人事ではなくて自分事として捉えてもらえることで、理解者が増える1つのきっかけになればと思います。
ーーー確かにこの貧困・不登校児童の問題を劇として取り上げるってなかなか聞いたことがないので珍しいですね。
このような問題に関して今二人が出来ることって何だと思いますか?
神田:僕は、その「ルイ」って役を生きることだなって思います。
これを演じる前とは、社会的課題に対する感度というか、意識は変わっているので、そういう意味ではやっぱり見てくれた人の意識が変わるきっかけになればいいなと。
僕らのできることは役を生きることだね。
伊佐:パワーを与えたい。
僕、声と喉はめっちゃいいと。ただ、ク
ソ音痴っていう
伊佐:歌うのが難しかったです。
劇中の歌にはラップの部分があるんですけど、普段馴染みのない音楽だったんです。
しかもスローなラップではなくて、ものすごいマシンガンのような曲なんで、それを覚えるまでにすごい苦労がありました。
僕が今メインで活動してる別の音楽グループでは、ラップがない歌を歌ってるので、なんじゃこりゃーってなりました。(笑)
ーーーラップを初挑戦されたんですね。
神田: 僕はボイトレの先輩曰く、声と喉はめっちゃいいと。
ただ、クソ音痴って言われて。音程が取れないんですよ。
ーーー音楽劇としては致命的ですね。(笑)
神田:致命的なんですよ。
声量がある分、ずれたまま届けるっていうことを何回かぶっ放してしまいまして、伊織さん(プロデューサー)に「違う違う違う」ってめっちゃ言われるっていう。
伊佐:厳しそう。
神田:すごい苦しいっすね。
でも何回かこなしていくうちに、初めてマシだったっていう評価を頂いたんですよ。クソだねって評価よりは上がったのかなっていうのと、感覚として「今のズレたな」とか、「もうちょいここか」みたいな感覚が得ること出来たのはデカいなぁっと思って。
頑張ります。
伊佐:頑張りますじゃねぇ(笑)
神田:あの、何も心配することはないと思ってます。
伊佐:そんな蝋人形みたいな顔で言われても。
一同:ハハハハハ(笑)
表現のエンジンがドカーンと回って言霊
がブワァーって出てくるんですけど、そ
れがすっげーかっこいいなって
伊佐:俺は結構幅広く聴くんですけど、オールディーズとかもめっちゃ聞きますし、沖縄の歌とかもめちゃくちゃ好きで。
なんか沖縄のアーティストの曲って、沖縄感が出るじゃないですか。琉球音階とか使ったりするからかなぁ。
ーーーその中でおすすめしたいアーティストはいますか?
伊佐:沖縄のアーティストのP-fam(ピーファム)です。
あのガチャガチャがあまり好きではなくて、どっちかって言うと清水翔太とか落ち着いたジャスティン・ビーバーとかが歌う「Love Yourself」とかが好きで。
だけど、P-famを聞いたときにフレッシュさがあるのとMCも曲も面白くて惹かれた。
神田:僕は森島和樹(もりしまかずき)さん。
今回、楽曲提供があって僕のソロ曲も一緒に作ってくれたんですけど、なんていうんですかね、やっぱり魂?
役者とかは、本とか台本とか芝居の中で織り成していくもんだと思うんです。
けど、アーティストの人って、例えば森島さんならギター1本でマイクに向かっていくじゃないですか。
そういうのって普段の生き様とか持ってる心とかが、しっかりないと伝わらないと思うんですよ。
で、森島さんは舞台に上がると、その表現のエンジンがドカーンと回って言霊がブワァーって出てくるんですけど、それがすっげーかっこいいなって。
路上ライブも見に行ったんですけど、即興で曲を歌ってたんですね。
沖縄の人ってあんまり路上で足を止めるって感じではないじゃないですか。
でも、森島さんの時には、ギャラリーがものすごいいたんですよ。これって何の違いなんだろうなって。
ギターを弾いて歌を歌ってるって言うスタイルは他の人と同じじゃないですか。
何が違うかって考えたときに、森島さんの言霊に足を止めたんだなって事がなんか分かるっていうか。
ギャラリーは、足を止めたいという選択をしてるわけじゃないですか。それってかっこいいな、偉大だなって思います。
伊佐:確かに。
青春群像劇の一員としてお客さんに見て
もらいたい
伊佐:Creepを見に来てくださる方々へ。
初めまして、伊佐 龍太です。
神田:いやそのまま流すわけじゃないから(笑)
伊佐:あ、そうか。すいません。(笑)
今回、僕たち2人だけじゃなくて色んな人が出てくるんですけど、僕の役だったら父親と転々として家庭環境が・・・という役なんですが、他の人たちにもそれぞれ色んな問題があります。
ぜひ、『自分の周りでもこんなことがあったら』と考えながら見てほしいです。
まあ、一番は、僕たちが来てくれた人にパワーを送って、来てよかったなって思ってもらえるような舞台にします。
神田:普段ライブハウスとして使われている会場で芝居をやるっていうことで。その場所を活かした演出として、ライブ感覚で見られる要素もあったりするので、普段芝居を見慣れない層にも見やすい作品になってる。そこも見所の一つなのかなと思います。
芝居部分もですね、感情移入っていうのが出来るような形で、お互いの亀裂だったり和解だったり、そういう成長を描いてるもので。
ルイは多感な時期である高校生なので、青春群像劇の一員として、同世代の高校生としてお客さんに見てもらえればいいなと思っています。
あとはやっぱり色んな共演者がいて、登場人物の中に自分と共感できる部分があると思うので、そいったのも楽しみにしていてほしいです。
あと、かわいい子がいっぱい出ますのでそこもね、注目です。
貧困・不登校児童支援チャリティ音楽劇
Creep
音楽劇「Creep」は障害や貧困·不登校等で悩む子どもたちとともに作り上げるチャリティ音楽劇です。沖縄県内で活動する役者、ミュージシャン、タレント、ドラァグクイーン、大学生、そして子どもたちがキャスト、スタッフとなり運営しています。大人も子どももみんながひとつの目的を目指し、苦労をともにし、これまでにないまったく新しいチャリティイベントとして「今自分たちにできること」をそれぞれが考え、それぞれの思いをこめて取り組んでいます。収益金は児童支援機関へ寄付し、悩みを抱える子どもたちのために役立てていただきます。
※Creep (気味の悪い奴ら)
<スタッフ>制作 普天間伊織、脚本 新尾理世、演出 安泉清貴、舞台監督 久保深樹
<キャスト> 神田青、伊佐龍太、福地涼、慶田城一斗、大屋亜梨須、仲宗根葵、神崎英敏、出口裕子、クリスタル・キーマ
<日程>2017年8月20日(日) 15:00~ 19:00~
2017年8月21日(月) 15:00~ 19:00~
※開場は開演の30分前
<チケット料金>一般 2000円 / 高校生以下 1000円/ 中学生以下無料 ※すべて1ドリンク別途オーダー (当日は500円UP)
<場所>ライブハウスモッズ
北谷町美浜9−1 デポアイランドビルE
098-936-5708
<チケット予約>
イープラス
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