【『ROOTS 66 -Naughty 50-』】 20
16年3月27日 at 日本武道館
取材:山口智男
JUN SKY WALKER(S)の宮田和弥からウルフルズのトータス松本まで、総勢14人のヴォーカリストが次の人の持ち歌のさわりを歌いながら誕生日順に登場する、オープニングのメドレーから楽しませてくれた。そこで八熊慎一(SPAKS GO GO)が次のトータス松本を“森 進一さん”と紹介したため、この日、トータス松本は最後まで“森さん”とイジられ続けたが、そんな悪ふざけも同い年が揃ったイベントならでは。ビートルズが来日した1966年に生まれたアーティストが、50歳になる(あるいはなった)ことを記念して一堂に会したイベント『ROOTS 66 -Naughty 50-』が仙台、東京、大阪で開催された。
その東京公演。誕生日順にひとり1曲ずつ歌った代表曲と、その合間合間に挟んだ、普段なかなか観られないセッションによるカバーの数々で、3時間に及ぶ長丁場のイベントを盛り上げた。個人的にはピアノだけをバックに吉井和哉が切々と歌い上げたTHE YELLOW MONKEY時代の「パール」が一番印象に残ったが、客席の大半を埋めたアーティストと同世代の観客には披露された曲の数々は思い入れの差はあっても、どれも多感だった頃の記憶に直結するものだったに違いない。また、増子直純(怒髪天)、トータス松本、田島貴男(ORIGINAL LOVE)が歌った世良公則&ツイストの「銃爪(ひきがね)」やスガ シカオが伊藤ふみお(KEMURI)と飛び跳ねながら歌ったTHE BLUE HEARTSの「リンダリンダ」など、カバーの選曲もその世代にはツボだったはず。
ちなみに1966年は、60年に一度の丙午(ひのえうま)。スガ シカオは顔ぶれの濃さを“味噌ラーメン食べたあとのステーキ”と表現したが、60個ある干支の中でもっともエネルギーが盛んと言われる丙午のアーティストが揃ったせいか、キャラや音楽性が被っているアーティストはひとりもいなかった。だからだろう、誰もが口々に“やりづらい”と苦笑いしたが、終始ステージには同い年だからこその気心の知れた和気藹々かつ、のびのびとした空気が流れていた。若い観客にはベテランと言えるアーティストたちがやんちゃ坊主のようにはしゃいでいる姿は新鮮に映ったことだろう。
アンコールは沢田研二の「勝手にしやがれ」他、子供の頃、さんざん歌ったヒット曲を全員で歌った。彼らと同い年ということで、あえて言わせてもらうなら、50歳なんてまだまだ小僧の域。やんちゃな50歳たちには、もっともっと日本のロックシーンで暴れてもらわなければ。そう期待させるだけのパワーが感じられた。
アーティスト
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