女子の反感を喰らうギリギリのところ
での説得力!!I Don’t Like Monda
ys.の落としテク満載なE.P.『SUMMER
』をお試しあれ!
——前作から8ヶ月、ツアーや配信シングルのリリースなどありましたが、アイドラの皆さんにとってはどんな期間でしたか?
Yu:この8ヶ月はデビューしてからの期間の中でも大きいターニングポイントになったと思ってます。これまで僕らが考えるI Don’t Like Mondays.像を具現化していこうっていうことで作詞作曲だったりアーティスト写真やMVのビジュアル面のプロデュースをしてきたんですけど、考えていたことは出し切ったかなって思うのでこれからどうしていこうっていうことを考えていた期間でしたね。
——どういったことを話し合われたんですか?
Yu:今まで僕らってバンドであるからこそバンドの枠にとらわれないような楽曲だったり写真ひとつとってもそうであるようにしてきたんですけど、どうしてそうしてきたかっていうとバンドを聞かない人たちにも僕らのバンドの良さを伝えていきたいし、固定概念にとらわれて欲しくないなって思ったからだったんですね。でもバンドを好きな人からするとちょっとアイドルチックなんじゃないかとか、そこが隔たりになってライブにも足を運んでもらえなかったりとかしてきたと思うんで、そういうバンド好きな人にも届けられるようにっていうことで、僕らの今まで出してなかった部分を表現していきたいっていうところです。
——このアルバムの製作期間はどのくらいだったんですか?
Choji:今年に入ってからだね?
Yu:ちょうど4ヶ月間くらいか。早い方だと思います。しかも今までと違って溜まっている曲から選んだっていうのもあって。
——夏に向けた曲ということでセレクトされたんですね。
Yu:そうですね、夏に出したいっていうのは始めに決まっていたので夏ならではの曲っていうのを選んで出しました。
——ジャケットはまた女性人気が高そうな可愛らしくてオシャレな感じに。
Yu:あはは、そうですね(笑)!
——ファンの方からすると、そろそろまたみなさんが映ったジャケット欲しいな〜ってところじゃないですか?
Yu:そこは敢えて出さないSっぷりを発揮したっていう(笑)
全員:(笑)
——まだまだ焦らされる感じですかね!
Yu:やっぱりルックスを前面に出すことによって男性が入りにくかったりすることもあると思いますし、音楽だけを楽しみたいっていう人からするとそこが足かせになってしまうっていうことも色々試しているうちにわかってきたので、ジャケットとサウンドとトータルで見れるように今回は意識しました。
アイドラ史上最も英語が少ない?『On my way』
——『On my way』を書き始めたきっかけは?
Yu:僕らはいつもサウンドから作るんですけど、この曲は『SUMMER』のリード曲になるようなものにしようって4人で話し合ってて、野外のライブとかにも合うような大きい世界観の曲を目指して作りました。
——歌詞はどのように付けられたんですか?
Yu:出来上がったサウンドを聴きながら散歩したりしてどういう曲にしようかなって考える中で、普通の恋愛ソングにするのはもったいないなっていう気持ちが生まれて。走り出したくなるような、というか、音だけで前向きになれるような曲だなって思ったんで、そのパワーをもっと引き出すためには僕の選ぶ言葉がより重要で、自分の背中を押すために書いて、それが誰かの背中を押せたらいいなっていうことを考えながら書き始めました。
——皆さんは全員が納得するまで曲は世に出さないっていうことを前回のインタビューで仰っていましたが、この曲に関して皆さんでディスカッションしたポイントは?
Kenji:曲に関して言えば、野外とか色んなところでみんなで歌えるっていうのがあって、夏にリリースするっていうことを決めていた曲だったんで、リズム隊はShukiがトライバルなドラムを叩いたり、いかに疾走感を出せるかっていうところを思考錯誤しました。
Yu:あとはシンガロングできるところだね!とにかくライブの雰囲気をサウンドとかビジュアルとか全てから感じられるような作品にっていうことで、やっぱりシンガロングできるような曲にしようっていうことは話し合って決めたポイントですね。
——Yuさんから歌詞が上がってきた時、皆さんは最初の印象はいかがでしたか?
Yu:結構抵抗あったよね(笑)!
Choji:抵抗ありました(笑)。Aメロとか日本語が手紙っぽいっていうか。今まで英語が早い段階で出てくる曲が多かったんで。サビも「いまでも色褪せない」っていうところがあるんですけど、そこ、前は英語の詞だったんです。最初日本語が多いのに、そこが英語になるのかぁっていう違和感があったので最後の最後まで議論して、結局日本語に書き換えました。
Yu:僕らのスタイルって日本語と英語が入り混じりつつも意味がわかるものを作ってきたんですけど、『On my way』は最初に書いた英語の歌詞だと言葉が持つパワーが減ってしまう気がして勿体無いなぁって思ったんですよね。サウンドの心地よさがあるから英語だとBGMとして聴いてしまうというか。心に深くきざめるポテンシャルがあるメロディーとサウンドなので、同じレベルのパワーがある言葉を入れていかないといけないなっていう使命感で書きました。
——Yuさんご自身は日本語が多くなることへの抵抗は?
Yu:今は日本でのライブが多いので、日本語の方がすんなり入ってくるっていう意味で。初めは僕もここまで日本語で大丈夫かなっていうのはあったんですけど(笑)、思い切って作りました。
——日本語が多い歌詞でやってみて、よかったなっていう感触は?
Yu:そうですね、正直レコーディングの段階まで大丈夫かな?って思っていたんですけど、ミックスの段階で日本語にしてよかったなって思ったので、新たなステップとしてというか、今後もそういう曲があっていいなと思ってます。
——この曲のレコーディングで印象に残っていることはありますか?
Choji:リズム録りの時にギターアンプが壊れまして。急遽アコースティックギターをレコーディングする時間が増えたので、入れるはずじゃなかったアコースティックギターをたくさん入れました。
Yu:今回現場ではいつもと変わったことが多かったよね。
Shuki:普段はパソコンで作曲するのでドラムも機械で打ち込んだものなんですけど、この曲は前から生で録る楽器を増やそうって決めていたんですよ。ただ、レコーディングの当日まで実際にドラムを叩く時間がなくて。機械だから良いフレーズと生でやれるフレーズ自体が違ってくるんですけど、生が活かせるフレーズをレコーディング当日に音出しながら考えていくうちにアウトロでいきなりドラムのパターンが変わるっていうデモの段階ではなかったアイデアが生まれたりしましたね。
Kenji:それに対して僕らもコード進行が変わったりして。よく聴くとイントロとは違うんですよ。
Yu:聴く人が何回聴いても飽きないようにっていう心遣いというか(笑)、思いやりというか(笑)。気づかない程度ですけど、感受性的にそういう仕掛けがあった方がいいと思って、そういうのを意外とふんだんに使っています。サビの「色褪せない home」のところも最後のサビだけ音が違ったりしてます。
——カラオケ歌うの難しそうですね(笑)
Yu:「home for me」のところも違います!(笑)
女子の反感食らう!?『Shape of love』
——『Shape of love』は今までと違った作り方をされたとか?
Shuki:この曲は実は去年『FASHION』をリリースする時からデモができていて、今とはアレンジが全然違ったんですよ。
Yu:ブチ上げ系だったよね(笑)。
Shuki:ブチ上げ系で壮大な感じに作っていたのを、今の僕らが出すならこれじゃないってことで5パターンくらい別のアレンジで作ってみて今のものに落ち着きました。
——いつかそのブチ上げバージョンもカップリングとかに入ってこないですかね?
Yu:出したくない(笑)!
Shuki:聴かせられないです(笑)。
Yu:今回のは高い音をファルセットで歌ってるんですけど、前のバージョンは地声を張って歌っていたんですよ(笑)。しかも全員で歌ってたんだよね?
Shuki:ワッショイワッショイしてた(笑)。
全員:(笑)!
Yu:なのでガラッと変えました!
——歌詞の内容としては、英語がよくわからない私でもヤバいこと言ってるなっていうのがわかります(笑)
全員:(笑)!
Yu:これ結構、僕はお気に入りの作品なんですよ(笑)!日本のバンドのボーカルじゃ言えないだろうなっていうことを言えたっていうか(笑)。まぁ英語だから言えたんですけど!
やりたかったのは、前のブチ上げ系のアレンジでは絶対歌えなかったような歌詞で、ラブソングではあるけど純愛ソングじゃつまんないなってことで、こういう雰囲気なのに「90’s hip hop」ってワードが出てきたりだとか、「instagram」とかブランド名が出てきたりとか、僕らしか歌えないだろうっていうようなところを突き詰めました。
——歌詞に固有名詞が出てくるのって珍しいですよね。ブランド名出しちゃうんだ!って思いました。
Yu:そうですね(笑)。あとは僕の私生活を反映しているところもあって、「with my cooper」っていうフレーズは僕がミニクーパー乗っているから出てきた僕しか歌えないワードなんですよ。
——Yuさんはこの歌詞のようなことを恋愛されると思うタイプですか?
Yu:思います!
——めちゃカッコイイじゃないですか!言える人いないですからね!
全員:(笑)!
Yu:恥ずかしいけど(笑)!
——「So many many pretty girls are around me」からのフレーズとかは女子の反感買うんじゃないかとも思いました!自分で言っちゃうんだ!みたいな(笑)。
全員:(笑)!
Yu:反感買って生きてます(笑)!
——うわ、カッコイイです(笑)。
Yu:でも言いたいのは、って自分で書いたこの歌詞を説明するのめっちゃ恥ずかしいんだけどさ(笑)、「nasty play boy」にはなりたくないよって、毎晩声かけてくる女の子はいるけどそんなのはどうでもイイよっていう話です(照)!
——この歌詞が来た時みなさんが受けた印象は?
Choji:まぁでも、Yuらしいなって思いましたし、単純にYuらしいっていうより、このバンドに居るYuらしいって思いましたね。この曲調なんで、このくらい軽やかで天真爛漫な感じっていうのは良いなって思います。
——確かに、ところどころ拾える英単語と曲だけでMVをイメージできますもんね。
Yu:僕も、書き終わった段階でI Don’t Like Mondays.像っていうのを上手く反映できたなって思いましたね。逆に言うと、今までの積み重ねがなかったらこういう言葉は選べなかったと思うし、とにかく僕ららしい曲ができたなって思います。
女々しさを隠さない『PRINCE』
——この曲にも女子の反感喰らいそうなポイントがありまして。サビの最初の「Maybe I can’t be your prince」からの部分とかは“そんなこと言わないでよ!”“できないってことを最初に言うなよ!”って思っちゃう…(笑)
全員:(笑)!
Yu:なるほどね!
——でもそのあとに日本語で「泣きたい夜も笑えるように この声で唄うから」ってヒーローじゃん!って(笑)
全員:(笑)!!
Yu:この歌詞って結構僕の中でもターニングポイントで、ありのままを上手く言葉にできたなって。僕以外が唄うと微妙になるっていうところまで書けたかなって思いますね!
実際僕は王子様キャラではないんで、そういう風になるつもりはないよ?ってことを素直に言ったところです(笑)!
——なるほど!そうでしたか!!
Yu:そうそうそう(笑)。
——サビは日本語と英語が交互に出てくるような感じで。
Yu:そうですね、「I can’t」って否定形なんですけど、響きだけ聞くと“can”って言ってるようにも聴こえるんで、後の日本語で否定形だっていう裏付けをしているのと、配信限定の『PRINCE』のアートワークの方は歌詞を載せて「can’t」だっていうのをわかってもらえるようにしていました。
——『PRINCE』のアレンジでこだわられたポイントは?
Kenji:シングルカットするものでシリアスなものっていうのはあまりやってこなかったからちょっと真面目な部分というと大げさですけどバンドらしい部分を出したいと思って。、僕の中のイメージだと『TOKYO』って2枚目のアルバムに入ってる『FEELING』って曲みたいなミディアムバラードなんだけど、ちょっと切なくてちょっと疾走感もあるみたいな良いとこ取りができたら良いなと思ってアレンジしました。
Yu:結構、車で移動するときに聴ける歌を意識して作りましたね!あとはこういうミディアムな曲にトロピカルなサウンドを使ったらどうなるんだろうっていう実験もしてみたりして。
Choji:ギターのことなんですけど、シングルっていうことでサビにリズムを細かく出すフレーズを入れてて。それがなかったらアルバム曲っぽくなっちゃうのかなって。
本来なら入ってなくてもいいようなことを入れるのが、曲をもう一段深くさせることなのかなっていうことを考えながらレコーディングもしました。
Yu:あとは隠し音もあるんだよね!実はヒーリングミュージックみたいなのも入ってて。
Kenji:Bメロにマリンバの音とタブラっていうインドの楽器がうっすら重なってて。これを単体で聴くとバリのホテルみたいなんですよ(笑)。
Yu:そう、マッサージ屋のフォンフォン鳴ってる音楽みたいな(笑)!だから癒し効果があるのかも。マジでバリ!
——面白いですね! なんでバリ入れようと思ったんですか??
Shuki:さっきChojiが言ったことにもつながるんですけど、この曲はシンプル且つ真面目でシリアスな雰囲気を出したいって思ってやってたんで、音数が多いっていうよりは伸ばす音を全体的に敷き詰めてて。でもそうなると逆に疾走感が出なかったりしたんでリズム感をあえて出すっていう絶妙なバランスを作るために打楽器的な要素として入れました。
Yu:確かに普通のバンドはやらないかもしれないね(笑)!あとは最初のギターも!
Choji:そう、イントロ始まって1秒以内にほんの少しだけギター入ってるんですけど、それもブルージーな感じを出せたのかなって思います!
——意識して聴いていなくても、知らないうちにこれらの効果にやられてるんですね!
全員:そうそうそう。
KSUKEリミックスの『TONIGHT』
——このコラボが生まれたきっかけは?
Yu: そもそも僕らはDJさんにリミックスしてもらってクラブで流してもらえるようなバンドを目指していきたいなっていうのもあって。海外だとバンドのリミックスが流れるっていうことは結構あるんですけど日本では本当に聞かなくて。日本ってジャンルを分ける癖があるんですよね。
クリエイターが固定概念を持って何かを作るって絶対つまんないものになるっていう方程式が僕の中にあって、I Don’t Like Mondays.ではジャンルを超えていきたいから今までもトライはしてきたんですよ。でも僕らの我が強すぎて結局“こうしたい”っていうことを言っちゃって僕らの曲になっちゃうんですよ。
でも、今後長い間音楽活動していくのであれば1曲に対して良い意味で肩の力を抜いて曲づくりを楽しむっていうことをしなきゃと思って、もう一回リミックスを頼んでみようってなりました。
——リミックスが戻ってきた時の感想は?
Yu:僕らの想像を裏切るような音を返してくれたんで、面白いなって思いました。
Kenji:外人っぽい感覚ならではのコード進行でしたね。わびさびとか起承転結がなくて、上がるか下がるか分かりやすいアレンジというか。『TONIGHT』の切なさを良い意味で抜いていたんで、そういう意味で裏切られたかなっていう気がしました。
——KSUKEさんのアレンジによって今までと違った方向からのファンも増えそうですね!
全員:そうですね!
Choji:『Shape of love』なんかもどんどんリミックスしてもらいたいですね!
Yu:やってもらいたいですね!
最後に…
——今回の収録曲の中から、好きなフレーズをご紹介いただけますか?
Kenji:僕は、『Shape of love』の「Play hot 90s hip hop」っていうワードがやっぱり良い意味でこの曲の象徴になっているっていうか、普通だったらブッ込まないワードなんで。
Yu:HIP HOPじゃないもんね、この曲。
Kenji:良い意味で耳に引っかかるし、シチュエーションもイメージできるワードだと思うんで良いなって。
Choji:僕は『PRINCE』の「心の深い場所まで愛してみたいのさ」っていうところですね。この間ファンの皆さんと試聴会をやった時に、スクリーンに歌詞が流れたんですけど文字で見た時に改めて良い1行だなって思いました。
Yu:ありがとうございます(照)!
Choji:褒め合いみたいになっちゃった。
Shuki:僕も『PRINCE』で、「Maybe I can’t be your pronce」ですかね。この曲が今年1発目にできたものだったのでバンドにとってのターニングポイントで。僕らがこれからどういうバンドであるかっていうことを表す言葉でもあるし、Yuを表す言葉でもあるし。
プリンスじゃないって言ってるけど、プリンスっていう存在を意識してるっていうところがいいなって思ってます。
——なるほど!こんなこと言われたくないとか言ってすいません(笑)!
Yu:すいませんって(笑)!
Shuki:反応はもちろん色々あるんですよ(笑)!僕らの中ではとりあえず!
——Yuさんご自身ではいかがでしょうか?お気に入りのフレーズ。
Yu:僕は『On my way』の「明日の物語を今迎えに行くのさ」っていうところですね。僕らがバンドとして目指しているところとか、僕自身の成し遂げたいことのまだ途中ですけど、上手くいかないことももちろんある中で生きるってことは“明日を迎えに行く”ことなんだな。って書いていて自分で励まされた1行でした。
——ありがとうございました。では最後に、インタビューを見てくださった方に一言お願いします。
Yu:この一枚は新曲以外に過去の曲も入っているんで、今までの僕らの歴史もたどれるし、今回知ってもらった人には自己紹介できるような曲になっています。この夏みんながいろんなことを感じる中で状況に合わせて『SUMMER』からお気に入りの曲を見つけてもらえたらいいなって思います!
Shuki:このアルバム単体でももちろん聴いて欲しいんですけど、これを聴いた後に今までの映像であったり音も含めて聴くと、いい意味で僕らに対するギャップを感じられるかなって思うんで、今回の1枚だけで終わらずに、これをきっかけに今までのものを遡ってもらえるとより楽しめるかなって思います。
Kenji:今年になってバンドやライブをすごく意識して、この『SUMMER』もそうやって作りあげました。これを聴いて楽しんでもらうのももちろん嬉しいんですけど、ライブで一緒に盛り上がれたらいいなって思いますし、これからお客さんと一緒に曲たちを成長させていけたらいいなって思います。
Choji:『SUMMER』っていうタイトルにふさわしい曲ばかり入っているので、どこかに出かけるときでもいいですし、一人で旅に出るときとかいろんなシーンで使ってもらえたらいいなって思います。お気に入りの曲を見つけたら、生でライブに来て楽しんでもらえたらなって思います!
Photo:片山拓
Yu:この8ヶ月はデビューしてからの期間の中でも大きいターニングポイントになったと思ってます。これまで僕らが考えるI Don’t Like Mondays.像を具現化していこうっていうことで作詞作曲だったりアーティスト写真やMVのビジュアル面のプロデュースをしてきたんですけど、考えていたことは出し切ったかなって思うのでこれからどうしていこうっていうことを考えていた期間でしたね。
——どういったことを話し合われたんですか?
Yu:今まで僕らってバンドであるからこそバンドの枠にとらわれないような楽曲だったり写真ひとつとってもそうであるようにしてきたんですけど、どうしてそうしてきたかっていうとバンドを聞かない人たちにも僕らのバンドの良さを伝えていきたいし、固定概念にとらわれて欲しくないなって思ったからだったんですね。でもバンドを好きな人からするとちょっとアイドルチックなんじゃないかとか、そこが隔たりになってライブにも足を運んでもらえなかったりとかしてきたと思うんで、そういうバンド好きな人にも届けられるようにっていうことで、僕らの今まで出してなかった部分を表現していきたいっていうところです。
——このアルバムの製作期間はどのくらいだったんですか?
Choji:今年に入ってからだね?
Yu:ちょうど4ヶ月間くらいか。早い方だと思います。しかも今までと違って溜まっている曲から選んだっていうのもあって。
——夏に向けた曲ということでセレクトされたんですね。
Yu:そうですね、夏に出したいっていうのは始めに決まっていたので夏ならではの曲っていうのを選んで出しました。
——ジャケットはまた女性人気が高そうな可愛らしくてオシャレな感じに。
Yu:あはは、そうですね(笑)!
——ファンの方からすると、そろそろまたみなさんが映ったジャケット欲しいな〜ってところじゃないですか?
Yu:そこは敢えて出さないSっぷりを発揮したっていう(笑)
全員:(笑)
——まだまだ焦らされる感じですかね!
Yu:やっぱりルックスを前面に出すことによって男性が入りにくかったりすることもあると思いますし、音楽だけを楽しみたいっていう人からするとそこが足かせになってしまうっていうことも色々試しているうちにわかってきたので、ジャケットとサウンドとトータルで見れるように今回は意識しました。
アイドラ史上最も英語が少ない?『On my way』
——『On my way』を書き始めたきっかけは?
Yu:僕らはいつもサウンドから作るんですけど、この曲は『SUMMER』のリード曲になるようなものにしようって4人で話し合ってて、野外のライブとかにも合うような大きい世界観の曲を目指して作りました。
——歌詞はどのように付けられたんですか?
Yu:出来上がったサウンドを聴きながら散歩したりしてどういう曲にしようかなって考える中で、普通の恋愛ソングにするのはもったいないなっていう気持ちが生まれて。走り出したくなるような、というか、音だけで前向きになれるような曲だなって思ったんで、そのパワーをもっと引き出すためには僕の選ぶ言葉がより重要で、自分の背中を押すために書いて、それが誰かの背中を押せたらいいなっていうことを考えながら書き始めました。
——皆さんは全員が納得するまで曲は世に出さないっていうことを前回のインタビューで仰っていましたが、この曲に関して皆さんでディスカッションしたポイントは?
Kenji:曲に関して言えば、野外とか色んなところでみんなで歌えるっていうのがあって、夏にリリースするっていうことを決めていた曲だったんで、リズム隊はShukiがトライバルなドラムを叩いたり、いかに疾走感を出せるかっていうところを思考錯誤しました。
Yu:あとはシンガロングできるところだね!とにかくライブの雰囲気をサウンドとかビジュアルとか全てから感じられるような作品にっていうことで、やっぱりシンガロングできるような曲にしようっていうことは話し合って決めたポイントですね。
——Yuさんから歌詞が上がってきた時、皆さんは最初の印象はいかがでしたか?
Yu:結構抵抗あったよね(笑)!
Choji:抵抗ありました(笑)。Aメロとか日本語が手紙っぽいっていうか。今まで英語が早い段階で出てくる曲が多かったんで。サビも「いまでも色褪せない」っていうところがあるんですけど、そこ、前は英語の詞だったんです。最初日本語が多いのに、そこが英語になるのかぁっていう違和感があったので最後の最後まで議論して、結局日本語に書き換えました。
Yu:僕らのスタイルって日本語と英語が入り混じりつつも意味がわかるものを作ってきたんですけど、『On my way』は最初に書いた英語の歌詞だと言葉が持つパワーが減ってしまう気がして勿体無いなぁって思ったんですよね。サウンドの心地よさがあるから英語だとBGMとして聴いてしまうというか。心に深くきざめるポテンシャルがあるメロディーとサウンドなので、同じレベルのパワーがある言葉を入れていかないといけないなっていう使命感で書きました。
——Yuさんご自身は日本語が多くなることへの抵抗は?
Yu:今は日本でのライブが多いので、日本語の方がすんなり入ってくるっていう意味で。初めは僕もここまで日本語で大丈夫かなっていうのはあったんですけど(笑)、思い切って作りました。
——日本語が多い歌詞でやってみて、よかったなっていう感触は?
Yu:そうですね、正直レコーディングの段階まで大丈夫かな?って思っていたんですけど、ミックスの段階で日本語にしてよかったなって思ったので、新たなステップとしてというか、今後もそういう曲があっていいなと思ってます。
——この曲のレコーディングで印象に残っていることはありますか?
Choji:リズム録りの時にギターアンプが壊れまして。急遽アコースティックギターをレコーディングする時間が増えたので、入れるはずじゃなかったアコースティックギターをたくさん入れました。
Yu:今回現場ではいつもと変わったことが多かったよね。
Shuki:普段はパソコンで作曲するのでドラムも機械で打ち込んだものなんですけど、この曲は前から生で録る楽器を増やそうって決めていたんですよ。ただ、レコーディングの当日まで実際にドラムを叩く時間がなくて。機械だから良いフレーズと生でやれるフレーズ自体が違ってくるんですけど、生が活かせるフレーズをレコーディング当日に音出しながら考えていくうちにアウトロでいきなりドラムのパターンが変わるっていうデモの段階ではなかったアイデアが生まれたりしましたね。
Kenji:それに対して僕らもコード進行が変わったりして。よく聴くとイントロとは違うんですよ。
Yu:聴く人が何回聴いても飽きないようにっていう心遣いというか(笑)、思いやりというか(笑)。気づかない程度ですけど、感受性的にそういう仕掛けがあった方がいいと思って、そういうのを意外とふんだんに使っています。サビの「色褪せない home」のところも最後のサビだけ音が違ったりしてます。
——カラオケ歌うの難しそうですね(笑)
Yu:「home for me」のところも違います!(笑)
女子の反感食らう!?『Shape of love』
——『Shape of love』は今までと違った作り方をされたとか?
Shuki:この曲は実は去年『FASHION』をリリースする時からデモができていて、今とはアレンジが全然違ったんですよ。
Yu:ブチ上げ系だったよね(笑)。
Shuki:ブチ上げ系で壮大な感じに作っていたのを、今の僕らが出すならこれじゃないってことで5パターンくらい別のアレンジで作ってみて今のものに落ち着きました。
——いつかそのブチ上げバージョンもカップリングとかに入ってこないですかね?
Yu:出したくない(笑)!
Shuki:聴かせられないです(笑)。
Yu:今回のは高い音をファルセットで歌ってるんですけど、前のバージョンは地声を張って歌っていたんですよ(笑)。しかも全員で歌ってたんだよね?
Shuki:ワッショイワッショイしてた(笑)。
全員:(笑)!
Yu:なのでガラッと変えました!
——歌詞の内容としては、英語がよくわからない私でもヤバいこと言ってるなっていうのがわかります(笑)
全員:(笑)!
Yu:これ結構、僕はお気に入りの作品なんですよ(笑)!日本のバンドのボーカルじゃ言えないだろうなっていうことを言えたっていうか(笑)。まぁ英語だから言えたんですけど!
やりたかったのは、前のブチ上げ系のアレンジでは絶対歌えなかったような歌詞で、ラブソングではあるけど純愛ソングじゃつまんないなってことで、こういう雰囲気なのに「90’s hip hop」ってワードが出てきたりだとか、「instagram」とかブランド名が出てきたりとか、僕らしか歌えないだろうっていうようなところを突き詰めました。
——歌詞に固有名詞が出てくるのって珍しいですよね。ブランド名出しちゃうんだ!って思いました。
Yu:そうですね(笑)。あとは僕の私生活を反映しているところもあって、「with my cooper」っていうフレーズは僕がミニクーパー乗っているから出てきた僕しか歌えないワードなんですよ。
——Yuさんはこの歌詞のようなことを恋愛されると思うタイプですか?
Yu:思います!
——めちゃカッコイイじゃないですか!言える人いないですからね!
全員:(笑)!
Yu:恥ずかしいけど(笑)!
——「So many many pretty girls are around me」からのフレーズとかは女子の反感買うんじゃないかとも思いました!自分で言っちゃうんだ!みたいな(笑)。
全員:(笑)!
Yu:反感買って生きてます(笑)!
——うわ、カッコイイです(笑)。
Yu:でも言いたいのは、って自分で書いたこの歌詞を説明するのめっちゃ恥ずかしいんだけどさ(笑)、「nasty play boy」にはなりたくないよって、毎晩声かけてくる女の子はいるけどそんなのはどうでもイイよっていう話です(照)!
——この歌詞が来た時みなさんが受けた印象は?
Choji:まぁでも、Yuらしいなって思いましたし、単純にYuらしいっていうより、このバンドに居るYuらしいって思いましたね。この曲調なんで、このくらい軽やかで天真爛漫な感じっていうのは良いなって思います。
——確かに、ところどころ拾える英単語と曲だけでMVをイメージできますもんね。
Yu:僕も、書き終わった段階でI Don’t Like Mondays.像っていうのを上手く反映できたなって思いましたね。逆に言うと、今までの積み重ねがなかったらこういう言葉は選べなかったと思うし、とにかく僕ららしい曲ができたなって思います。
女々しさを隠さない『PRINCE』
——この曲にも女子の反感喰らいそうなポイントがありまして。サビの最初の「Maybe I can’t be your prince」からの部分とかは“そんなこと言わないでよ!”“できないってことを最初に言うなよ!”って思っちゃう…(笑)
全員:(笑)!
Yu:なるほどね!
——でもそのあとに日本語で「泣きたい夜も笑えるように この声で唄うから」ってヒーローじゃん!って(笑)
全員:(笑)!!
Yu:この歌詞って結構僕の中でもターニングポイントで、ありのままを上手く言葉にできたなって。僕以外が唄うと微妙になるっていうところまで書けたかなって思いますね!
実際僕は王子様キャラではないんで、そういう風になるつもりはないよ?ってことを素直に言ったところです(笑)!
——なるほど!そうでしたか!!
Yu:そうそうそう(笑)。
——サビは日本語と英語が交互に出てくるような感じで。
Yu:そうですね、「I can’t」って否定形なんですけど、響きだけ聞くと“can”って言ってるようにも聴こえるんで、後の日本語で否定形だっていう裏付けをしているのと、配信限定の『PRINCE』のアートワークの方は歌詞を載せて「can’t」だっていうのをわかってもらえるようにしていました。
——『PRINCE』のアレンジでこだわられたポイントは?
Kenji:シングルカットするものでシリアスなものっていうのはあまりやってこなかったからちょっと真面目な部分というと大げさですけどバンドらしい部分を出したいと思って。、僕の中のイメージだと『TOKYO』って2枚目のアルバムに入ってる『FEELING』って曲みたいなミディアムバラードなんだけど、ちょっと切なくてちょっと疾走感もあるみたいな良いとこ取りができたら良いなと思ってアレンジしました。
Yu:結構、車で移動するときに聴ける歌を意識して作りましたね!あとはこういうミディアムな曲にトロピカルなサウンドを使ったらどうなるんだろうっていう実験もしてみたりして。
Choji:ギターのことなんですけど、シングルっていうことでサビにリズムを細かく出すフレーズを入れてて。それがなかったらアルバム曲っぽくなっちゃうのかなって。
本来なら入ってなくてもいいようなことを入れるのが、曲をもう一段深くさせることなのかなっていうことを考えながらレコーディングもしました。
Yu:あとは隠し音もあるんだよね!実はヒーリングミュージックみたいなのも入ってて。
Kenji:Bメロにマリンバの音とタブラっていうインドの楽器がうっすら重なってて。これを単体で聴くとバリのホテルみたいなんですよ(笑)。
Yu:そう、マッサージ屋のフォンフォン鳴ってる音楽みたいな(笑)!だから癒し効果があるのかも。マジでバリ!
——面白いですね! なんでバリ入れようと思ったんですか??
Shuki:さっきChojiが言ったことにもつながるんですけど、この曲はシンプル且つ真面目でシリアスな雰囲気を出したいって思ってやってたんで、音数が多いっていうよりは伸ばす音を全体的に敷き詰めてて。でもそうなると逆に疾走感が出なかったりしたんでリズム感をあえて出すっていう絶妙なバランスを作るために打楽器的な要素として入れました。
Yu:確かに普通のバンドはやらないかもしれないね(笑)!あとは最初のギターも!
Choji:そう、イントロ始まって1秒以内にほんの少しだけギター入ってるんですけど、それもブルージーな感じを出せたのかなって思います!
——意識して聴いていなくても、知らないうちにこれらの効果にやられてるんですね!
全員:そうそうそう。
KSUKEリミックスの『TONIGHT』
——このコラボが生まれたきっかけは?
Yu: そもそも僕らはDJさんにリミックスしてもらってクラブで流してもらえるようなバンドを目指していきたいなっていうのもあって。海外だとバンドのリミックスが流れるっていうことは結構あるんですけど日本では本当に聞かなくて。日本ってジャンルを分ける癖があるんですよね。
クリエイターが固定概念を持って何かを作るって絶対つまんないものになるっていう方程式が僕の中にあって、I Don’t Like Mondays.ではジャンルを超えていきたいから今までもトライはしてきたんですよ。でも僕らの我が強すぎて結局“こうしたい”っていうことを言っちゃって僕らの曲になっちゃうんですよ。
でも、今後長い間音楽活動していくのであれば1曲に対して良い意味で肩の力を抜いて曲づくりを楽しむっていうことをしなきゃと思って、もう一回リミックスを頼んでみようってなりました。
——リミックスが戻ってきた時の感想は?
Yu:僕らの想像を裏切るような音を返してくれたんで、面白いなって思いました。
Kenji:外人っぽい感覚ならではのコード進行でしたね。わびさびとか起承転結がなくて、上がるか下がるか分かりやすいアレンジというか。『TONIGHT』の切なさを良い意味で抜いていたんで、そういう意味で裏切られたかなっていう気がしました。
——KSUKEさんのアレンジによって今までと違った方向からのファンも増えそうですね!
全員:そうですね!
Choji:『Shape of love』なんかもどんどんリミックスしてもらいたいですね!
Yu:やってもらいたいですね!
最後に…
——今回の収録曲の中から、好きなフレーズをご紹介いただけますか?
Kenji:僕は、『Shape of love』の「Play hot 90s hip hop」っていうワードがやっぱり良い意味でこの曲の象徴になっているっていうか、普通だったらブッ込まないワードなんで。
Yu:HIP HOPじゃないもんね、この曲。
Kenji:良い意味で耳に引っかかるし、シチュエーションもイメージできるワードだと思うんで良いなって。
Choji:僕は『PRINCE』の「心の深い場所まで愛してみたいのさ」っていうところですね。この間ファンの皆さんと試聴会をやった時に、スクリーンに歌詞が流れたんですけど文字で見た時に改めて良い1行だなって思いました。
Yu:ありがとうございます(照)!
Choji:褒め合いみたいになっちゃった。
Shuki:僕も『PRINCE』で、「Maybe I can’t be your pronce」ですかね。この曲が今年1発目にできたものだったのでバンドにとってのターニングポイントで。僕らがこれからどういうバンドであるかっていうことを表す言葉でもあるし、Yuを表す言葉でもあるし。
プリンスじゃないって言ってるけど、プリンスっていう存在を意識してるっていうところがいいなって思ってます。
——なるほど!こんなこと言われたくないとか言ってすいません(笑)!
Yu:すいませんって(笑)!
Shuki:反応はもちろん色々あるんですよ(笑)!僕らの中ではとりあえず!
——Yuさんご自身ではいかがでしょうか?お気に入りのフレーズ。
Yu:僕は『On my way』の「明日の物語を今迎えに行くのさ」っていうところですね。僕らがバンドとして目指しているところとか、僕自身の成し遂げたいことのまだ途中ですけど、上手くいかないことももちろんある中で生きるってことは“明日を迎えに行く”ことなんだな。って書いていて自分で励まされた1行でした。
——ありがとうございました。では最後に、インタビューを見てくださった方に一言お願いします。
Yu:この一枚は新曲以外に過去の曲も入っているんで、今までの僕らの歴史もたどれるし、今回知ってもらった人には自己紹介できるような曲になっています。この夏みんながいろんなことを感じる中で状況に合わせて『SUMMER』からお気に入りの曲を見つけてもらえたらいいなって思います!
Shuki:このアルバム単体でももちろん聴いて欲しいんですけど、これを聴いた後に今までの映像であったり音も含めて聴くと、いい意味で僕らに対するギャップを感じられるかなって思うんで、今回の1枚だけで終わらずに、これをきっかけに今までのものを遡ってもらえるとより楽しめるかなって思います。
Kenji:今年になってバンドやライブをすごく意識して、この『SUMMER』もそうやって作りあげました。これを聴いて楽しんでもらうのももちろん嬉しいんですけど、ライブで一緒に盛り上がれたらいいなって思いますし、これからお客さんと一緒に曲たちを成長させていけたらいいなって思います。
Choji:『SUMMER』っていうタイトルにふさわしい曲ばかり入っているので、どこかに出かけるときでもいいですし、一人で旅に出るときとかいろんなシーンで使ってもらえたらいいなって思います。お気に入りの曲を見つけたら、生でライブに来て楽しんでもらえたらなって思います!
Photo:片山拓