ROLLY、森重樹一、HEESEYが共演 『
夢の還暦スーパーセッション』のオフ
ィシャルレポートが到着

“こんなカッコいい60歳がいるのか?”

そんな思いがこの夜のステージを観ながら、何度も頭の中に浮かんできた。
1963年に生まれ、昨年還暦を迎えたROLLY森重樹一HEESEYの3人が共演する“夢の還暦スーパーセッション”が3月16日(土)にEX THEATER ROPPONGIで開催された。イヴェントのサブ・タイトルに“38’ sスペシャル”とあり、1963年が昭和38年であることにかけている。
『夢の還暦スーパーセッション〜ROLLY、森重樹一、HEESEYの38ʼsスペシャル!!!』
この還暦スーパーセッションの模様をお伝えしよう。
SEがストップし、歓声が巻き起こる中、本日の主役の1人であるROLLYが登場! 続いて、HEESEY、森重樹一もステージへ。そしてロック・イヴェントのはずが、3人による10分ほどのトーク・セッションがスタートし、会場を和ませる。
この和やかさをまずブチ破ってくれたのがHEESEY。なお、この日の出演順は誕生日順で、まず4月19日生まれのHEESEYが自身の還暦に合わせて作ったという「PAINT IT RED」で口火を切ってくれた。トレードマークであるサンダーバードを手に、ロックン・ロールでフロアを盛り上げていく。印象的なサビメロや躍動するベース・ラインで耳を奪い、還暦とは思えないステージングで目を奪うHEESEY。また、バックを務めるカトウタロウ(g)、CHARGEEEEEE…(ds)、おおくぼけい(kb/アーバンギャルド)も艶やかな衣装とグルーヴィなプレイでHEESEYを盛り上げる。続く「POLKKA No. 5」での裏打ちのビート、下町のお祭り男らしさが込められた「THUNDER GATE SHUFFLE」では会場を躍らせてくれた。ラストはHEESEYの代表曲のうちの1曲「VIVA FEVER」。ダンサブルなリズムで、タイトル通り会場はフィーバー! 巧みなライヴ運びにもさすがと思わせてくれたHEESEYだった。
『夢の還暦スーパーセッション〜ROLLY、森重樹一、HEESEYの38ʼsスペシャル!!!』
『夢の還暦スーパーセッション〜ROLLY、森重樹一、HEESEYの38ʼsスペシャル!!!』

2番手は森重樹一。バック・メンバーは、先程と同じカトウタロウとCHARGEEEEEE...、おおくぼけいに、テッド(b/ザ・キャプテンズ)が加わった4人。最近入手したというゼマティスのギターを手に、1曲目の「WHISKY, R&R AND WOMEN」からトップ・ギアに入れて爆走する森重。途中では、シンガロングするサビを観客にガイドして一体感をさらに強めていく。続いて披露したのは2018年発表のアルバム『ROCK SHOW』からアッパーな「WONDERFUL FEELING」だ。観客の中にはこの曲に初めて触れた人もいただろうが、1990年発表の「WHISKY, R&R AND WOMEN」と並んでも違和感がなく、“ZIGGY”印のメロディアスなロックン・ロールが会場を巻き込んでいく。そして、バラードの「BURNIN’ LOVE」では繊細なマイク・コントロールとともに情感たっぷりな歌を聴かせ、一転してMCではふだんのZIGGYのライヴでは見せないようなコミカルな側面も。ラストの「La Vie en Rose」で再びギアをトップに入れてピークを作り上げた森重樹一。短い時間ながらも、稀代のロックン・ロール・シンガーとしての存在感をたっぷりと示してくれた。
『夢の還暦スーパーセッション〜ROLLY、森重樹一、HEESEYの38ʼsスペシャル!!!』
『夢の還暦スーパーセッション〜ROLLY、森重樹一、HEESEYの38ʼsスペシャル!!!』

3番手を飾ったのはROLLY。楽屋では、HEESEYや森重から“『太陽にほえろ』のボスだ”と言われていたスーツ姿で登場。この出立ちが様になるのがさすがだ。そして“自己紹介の曲”としてプレイされたのが「レターマン」。すかんちが1995年に発表したシングル曲だが、洋楽とお茶の間(という表現も昭和だな……)にも響くエッセンスとのバランス感覚に、今あらためて驚かされる。続けて、先日逝去が報じられたエリック・カルメン(ラズベリーズ)に捧げますというMCとともに「恋するマリールー」を披露。バック・メンバーによる厚みのあるコーラスも加わり、ROLLYの世界観をしっかりと築き上げる。また、メロディアスなだけでなく、ヘヴィな要素もROLLYの核にある。その核が「ウルトラロケットマン」で炸裂。レッド・ツェッペリンへのオマージュとすかんちとしての個性のマッチングは、今もなお新鮮に響いてくる。そんなすかんちの代表曲が続く中、最後を締め括ったのが、還暦を記念した楽曲「還暦ありがとう。」だ。昭和歌謡に軸を置きつつ、ギタリストとしての凄みを聴かせるギター・ソロも印象深い。この曲に限ったことではないが、エンターテイナーとして注目されがちなROLLYだが、ギタリストとしてのROLLYの才能にも惹きつけられた4曲だった。
『夢の還暦スーパーセッション〜ROLLY、森重樹一、HEESEYの38ʼsスペシャル!!!』
『夢の還暦スーパーセッション〜ROLLY、森重樹一、HEESEYの38ʼsスペシャル!!!』
もちろん、イヴェントはここで終わらない。メイン・ディッシュである“夢の還暦スーパーセッション”はここからだ。
衣装をチェンジした3人がステージに集まる。青いジャンプスーツを身に纏ったROLLYは、森重からゲイリー・グリッター(イギリスのグラム・ロッカー)と例えられ、やはりというべきかトーク・セッションへ(笑)。
そして、“夢の還暦スーパーセッション”は「恋のマジックポーション」(すかんち)でスタート。曲名がコールされた瞬間に歓声が上がり、1番のサビではROLLYと森重がツイン・ヴォーカルを聴かせ、そのまま2番は森重がメイン・ヴォーカルを務める。さらに2番のサビで1本のマイクをROLLYと森重が分け合ったのだが、その姿がとにかくカッコいい! これだよ、これ!! フロントに並ぶHEESEY、森重、ROLLYの姿に、“こんなバンドがいたら最高すぎる!”と胸を熱くした観客は多かったはずだ。
MCをはさんでプレイされたのはZIGGYの「I’ M GETTIN’ BLUE」。森重がギターを手にして、3人が並ぶとキッスのようだ。また、ROLLYと森重、カトウタロウという3本のギター、HEESEYとテッドのツイン・ベースによる音圧もすごい。3曲目に用意されたのは、同じくZIGGYの「GLORIA」。なお、「I’ M GETTIN’ BLUE」の大サビの前、「GLORIA」のギター・ソロの前にそれぞれ短いベース・ソロが入るのだが、これもベーシストのHEESEYが出演陣にいるからこその選曲だったのではないだろうかと想像した。そのHEESEYのベース・ソロとともに、「GLORIA」のギター・ソロではROLLYらしいフレーズも組み込まれていたのも印象に残った。
すかんち、ZIGGYと来れば、次はザ・イエロー・モンキー! HEESEYがメイン・ヴォーカルを取って始まったのが「LOVE LOVE SHOW」だ。ソロ・ステージでも感じたが、ヴォーカリストとしてのHEESEYも非凡な才能を持っていることを感じさせた。

『夢の還暦スーパーセッション〜ROLLY、森重樹一、HEESEYの38ʼsスペシャル!!!』

『夢の還暦スーパーセッション〜ROLLY、森重樹一、HEESEYの38ʼsスペシャル!!!』
『夢の還暦スーパーセッション〜ROLLY、森重樹一、HEESEYの38ʼsスペシャル!!!』

また、例を挙げるとキリがないが、レッド・ツェッペリン、ディープ・パープル、クイーン、キッス、エアロスミス……多くの有名バンドが、呼び方はさまざまだが、ロック・クラシックやロック・スタンダードと呼ばれるような、誰もが知っている名曲を残してきた。 そして現在。すかんちやZIGGY、ザ・イエロー・モンキーは、そうしたロック・スタンダードを残してきたバンドであるいう事実が、この4曲でも明らかになったのではないだろうか。
そんなロック・スタンダードにやられたから、もうたまらない。アンコールを求める拍手が鳴り止まない中、これに応えて今回のイヴェントTシャツを着た3人がステージに登場し、当然のようにトーク・セッションが始まる。付け加えると、この日のトーク・セッションは貴重なエピソードも多く、ロック好きの少年に戻ったかのように当時の思い出を語り合う3人の姿もなかなか見れないものだったと思う。
『夢の還暦スーパーセッション〜ROLLY、森重樹一、HEESEYの38ʼsスペシャル!!!』
そんな音楽談義に続いて、最後の宴が始まった。
先ほどのセッションが日本のロック・スタンダードなら、アンコールは洋楽のロック・スタンダードだ。1曲目のT・レックスの「20th Century Boy」のイントロ・リフに客席も大歓声で応え、2曲目には意外とも言えるベイ・シティ・ローラーズの「Saturday Night」が披露される。意外というのは、ベイ・シティ・ローラーズはいわゆるロック史の中ではあまり評価されていないバンドだからであるが、しかしながらリアル・タイムでベイ・シティ・ローラーズやクイーンなどの活躍、人気ぶりに触れていた3人には大きな影響を与えている存在だ。ROLLYは「20th Century Boy」を日本語詞で歌い「Saturaday Night」を、森重と共にジャニーズ・ジュニア・スペシャルのバージョンの歌詞で熱唱し、さらにシンプルにコピー、歌い回しにも個性が光り。もちろんサビでは客席から大合唱が沸き起こる。
そして最後の最後に届けられたのは、ロック・スタンダード中のスタンダードのキッスの「Rock and Roll All Nite」!! ジーン・シモンズのようなステージ・パフォーマンスを繰り広げたHEESEY、そして3人が歌い上げるサビなどで、これ以上にない盛り上がりを見せ、“最高にサイコな夜”(by ROLLY)は幕を閉じた。
『夢の還暦スーパーセッション〜ROLLY、森重樹一、HEESEYの38ʼsスペシャル!!!』
『夢の還暦スーパーセッション〜ROLLY、森重樹一、HEESEYの38ʼsスペシャル!!!』
冒頭に記した“こんなカッコいい60歳がいるのか?”という思い。それは、3人ともスラリとした体型もステージングも1980年代と変わらないという外面だけでなく、キャリアを重ねて自身のスタイルを築き上げてきたこと、そして何よりロックン・ロールの衝撃を受けた10代の気持ちを持ち続けてきたからこそ、カッコいいと思えるのだ。
そして、ステージで、“楽しいね。また、やりたいね”、“次は65歳の時かな”などと話していた3人。観客のすべてが、“5年も待てないよ”と思ったはず。次回の開催が待ち遠しい!
『夢の還暦スーパーセッション〜ROLLY、森重樹一、HEESEYの38ʼsスペシャル!!!』

文=WeROCK編集部 藤中健司

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