桑田佳祐の「ダーリン」に学ぶ、粋な
男の美学とは?

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「俺が悪かった」ではなく「悪いのは俺だよ」というフレーズから考えられるのは、実は非があるのは相手側なのではないかという事だ。この恋人達は今にも別れようとしている。そしてその別れを切り出したのは彼女の方なのだ。しかしそこで「惚れてたはずなのに」自分がもっと優しくしてやれなかった事を悔やんでいる。この言葉は精一杯の彼女への優しさであり、「強がり」なのだ。本当は別れたくないであろう気持ちをひた隠し、最後くらいカッコよくいたいという粋な姿が垣間見えるフレーズだ。



ここから、別れの理由は彼女に他に好きな人が出来たからだとわかる。それを受けてより一層前述の「悪いのは俺だよ」というフレーズに男気を感じられる。そしてこの歌詞を見ると、なんて懐の深い男だと思うかもしれない。しかし、「俺よりもいい男がいるならそれでいい」といいながらこの男は「泣いた」のだ。強がっているだけで本音は悲しさと寂しさであふれている。しかしその涙の理由は隠し、「幸せなお前が見れたから」と言い張っているのだ。漏れ出してしまいそうなダメな自分を必死に取り繕う男の姿が目に浮かぶ。本当は振られて情けない男が好きな女の前で見せる「強がり」こそが粋なのだ。



精一杯強がりを見せて別れた後、一人彼女を思い出しながら一人で泣き歩いている。サビの部分で必死でこらえていた感情を思い切り本音を叫んでいる姿がなんともいじらしい。ただただカッコいい男ではなく、こういったダメな部分を見せる三枚目なところが桑田佳祐の魅力でもある。

端的に言えば、この曲から見える粋な男の姿とは好きな女の前ではカッコをつける、という事だ。事実、桑田佳祐自身も妻の原由子と出会った際には、「この子にはマジで嫌われちゃならん。もしそうなったら俺は生きていく値打ちはないなと。」思ったそうだ。彼自身にも好きな女にだけは嫌われたくない、カッコつけていたいという粋な姿がある。カッコをつけるところはつけるが、羽目を外すときは思い切り外す。そんな桑田佳祐の生き様から生まれた「ダーリン」は粋な男の美学が詰まっている。

TEXT: Mary

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UtaTen

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