YOSHIKIが松田聖子「薔薇のように咲
いて 桜のように散って」に込めたX
JAPANへの想いとは?

この曲を初めて聴いたのは、武井咲と滝沢秀明の共演でも話題となったドラマ「せいせいするほど、愛してる」のエンディングだった。美しいピアノの旋律で始まり、松田聖子の優しく包み込むような、語りかけるような歌声で始まる楽曲の冒頭部分を聴いて、この曲は亡くなったX JAPANのメンバーのことを想い、歌っているのではないか。そう思わずにはいられなかった。きっとX JAPANのファンであれば、私と同じように思ったはずだ。




情景が浮かんでくるような繊細な歌詞に、繰り返される“I miss you”。どんなに時が経っても、あなたに会えない寂しさは癒えるどころか増していく一方で、今でもあなたのことを決して忘れることはなく、想い続けています。そんな風に語りかけている歌詞。



人は、このまま風に吹かれ人波に紛れ、消えていくのだろう。夜になると孤独な闇の世界で、苦しみや、辛さや悲しみに襲われ、心が壊されていくような苦悩の時間が訪れる。
YOSHIKI自身が、メンバーの突然の死のことで立ち直れず、悲しみに明け暮れていた頃を回想しているように感じた。

儚く切ない、悲しい歌詞が続くが、決して悲しいだけの曲ではない。
この歌には、どんなに辛く悲しい、心が壊れるほどの苦悩の夜を幾夜過ごそうとも、向き合い、立ち向かい、乗り越える、そんなメッセージが強く込められている。

日本でも公開が決定した、X JAPANのドキュメンタリー映画「We are X」。YOSHIKIは最初、映画化に対して否定的だったという。あるインタビューで「あまりにも苦しかった過去に戻ることが怖かった。X JAPANというドアは開けてはいけないドア。開けてしまうことは、今までの苦しかった過去に戻らなければいけない。」と、その理由を明かした。

しかし再結成後、世界中からバンドの物語に対する共感や、熱いメッセージにYOSHIKIは辛い過去に向き合い、映画化に至った。完成した映画を見て、YOSHIKIはこう述べている。「常に前を向いていれば、どこかでそれを乗り越えられるんじゃないか、映画を見てそれを確信した。」



YOSHIKIが久しぶりに日本語で書いたという歌詞。辛く悲しい過去に向き合い、立ち向かったからこそ、出来た楽曲だ。薔薇のように、華やかで時に棘のような狂気をも感じさせる美しさ、そして儚い繊細さも持ち合わせるYOSHIKI。この曲はまさにYOSHIKIの半生そのものが詰まっている。



TEXT:中村友紀

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