【ライヴレポ】THE Hitch Lowke、メ
ジャーデビュー後初の全国ツアーを完
遂!「今日はほんまに俺たちらしいワ
ンマンが出来ました」

約138億年前に、無から何かがハジけて以降ずっと宇宙は膨張し続けている、というビッグバン起源説がいまだに有力であるとはいえ、なんでも昨今ではビッグバンからいきなり宇宙が生まれたわけではなく、そもそも宇宙は非常に長いサイクルで呼吸でもするかのように、膨らんだり萎んだりを幾度となく繰り返している、というループ量子重力理論に基づいたビッグバウンス説が新たに出て来ており、それが注目されているのだとか。

ちなみに、昨年末THE Hitch Lowkeがメジャーデビューにあたって発表したアルバムのタイトルは、その名もズバリの『BIG BOUNCE』。つまり、これはいちロックバンドとして既成概念を打ち破るような存在になっていきたい、という意思を彼らが強く込めてつけたものだったそうである。

そんなデビューから約3ヶ月経った、このタイミングにおいて。THE Hitch Lowkeは、『BIG BOUNCE TOUR』のファイナルを、29日に東京・渋谷REXにて迎えることになった。

「こんばんは!THE Hitch Lowkeのワンマンへ、ようこそ!!」

フロントマン・星☆拓也がこう雄叫びを上げると、ステージ上と場内は一気に熱を帯びだすことになり、ライヴは豪快でいて心地の良い緊張感の漂う「MADE Cynthia」からスタート。曲の途中には、樋谷剛志による熱いギターソロまでもが挟まれた。

かと思えば、次の「My Pain Killers」では5弦ベースを操る城山貴也の素晴らしいフィンガリングと、滝石光によるドライヴするようなドラムプレイが大炸裂。「さよなら夜明け」での濱崎雄司が弾いて見せたロックンロールギターといい、「カメレオン」で星☆拓也が“当世において肩身の狭い思いをせざるをえないCDの気持ちを代弁”した特異なる歌といい、THE Hitch Lowkeの面々がここで感じさせてくれたのは、強い個性と並々ならぬ意気込みに彩られたアクの強いロックサウンドだったと言っていいだろう。むろん、これはホメ言葉でしかない。

「遂にツアーファイナルとなりました。みなさん、本当にどうもありがとうございます。(中略)よく、バンドのライヴでは「これもみんなのおかげや」とか、「自分たちだけの力では、ここまで来ることは出来ませんでした」みたいな言葉が、飛び交っとるやろ。でもあれな、別に綺麗事とかではないねん。今ここにいる人、ここにはいなくても今まで応援して来てくれている人、俺たちに関わってくれた全ての人。そのみんながいいひんかったら、俺たちは今このステージには立ててへんからね。そういう意味で、ここで俺が言う「みんなのおかげです、ありがとう」はホンマの真心です。そんな俺たちですが、去年12月にはメジャーデビューして、その上でこういう曲を世に出すことが出来るのが嬉しいです。それでは、アルバム『BIG BOUNCE』の中から、「日本のリフ」!」

相当キワキワなところで日本の世相を鋭くえぐっている「日本のリフ」のように極めて攻撃的な楽曲もあれば、彼らにはドラマティックで涙を誘うようなバラード「初恋」や、人生の機微と哀切が滲む「突き飛ばしてくれよ」のような“ほろ苦テイスト”の曲もある。そして、今回のライヴで異色の輝きを放っていたのは断然「ムラサキ」だったと言えよう。

この曲は、星☆拓也の脳内における紫色=イヤらしい=杉本彩のようにセクシーな女性という構図を、扇情的でダンサブルなロックというアプローチで具現化したものだったそうで、この場面では星☆拓也が自らオーディエンスに対しノリ方や踊り方のレクチャーを施していくことにより、会場の空間が華やかなダンスフロアへと変貌することになったのである。どうやら、メンバー側もここまでこの曲がライヴで受け入れられることになるとは、ツアー前の段階では予想出来ていなかったらしい。

かくして、この夜の彼らはここから本編ラストの「ロッシュの限界」まで、駆け抜けるかのようにしてロックバンドとしての赤裸々な姿を我々にみせつけてくれていったのだが、問題はこの後だった。

なんと、アンコールにて「雨降りのロケンロー」が演奏される段になり、衝撃のイレギュラーな事態が勃発。再びステージ上に現れた彼らは、メンバーそれぞれの思う“雨降りのロックンローラー”に扮しており、星☆拓也は半パンに裸サスペンダー&サングラス姿で鍛え上げられた上腕二頭筋や、シックスパックを無駄にアピール(笑)。また、樋谷剛志、濱崎雄司、滝石光の3人に至っては揃ってデニムのベストにショーパン、バンダナ、サングラスという出で立ちで、わかりやすく言うと、“ちょっと前に一聖を風靡した“ワイルド芸人・スギちゃん”に限りなく近い装いをしているではないか…。あげく、城山貴也はなぜかまさかのインディアンスタイルとなっており、すこぶる派手な一方で機能性は皆無の巨大羽根ヘッドドレスをつけご満悦な模様(笑)。関西人の揃ったTHE Hitch Lowkeにとっては、どうやらこうした遊びもまた、ワンマンならではの特別な醍醐味を伝える為に必要な一幕だったようだ。

「最後の曲までこんな格好でやることになったのはアレですけど(笑)、今日はほんまに俺たちらしいワンマンが出来ました。また会いましょう。全ての人に愛を込めて!ありがとう!!」

それでいて、最後の最後を飾った「終わりなき日々」にTHE Hitch Lowkeがこれからへと向けた展望や願いが込められていたことは、言うまでもなかろう。『BIG BOUNCE』とは、直訳すると“大きな反発”という意味でもあるという。様々な常識を覆しながら、より強い反発力を持ち続けていくことによって、彼らはきっとここからもっと飛躍していくことになるはずだ。

なお、THE Hitch Lowkeはこのツアーファイナルの3日後からまたライヴをスタートさせる。4月29日にはテレビ朝日のバンドバトル『ROAD TO EX』に参戦し、ゴールデンウィークには、INKTの関西ツアーに帯同。「終わりなき日々」は続く。

写真/佐藤祐介、Serina 文/杉江由紀

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