「こんなん観られるのここしかないよ
な」くるり、オフィシャルサポーター
ズクラブ『純情息子』限定イベントが
大阪で開幕

くるりオフィシャルサポーターズクラブ「純情息子」限定イベント』2024.3.8(FRI)大阪・BIGCAT
※以下の本文には、ライブ内容や演奏曲の記載があります。ネタバレを避けたい方はご注意ください。
昨年10月に14枚目のオリジナルアルバム『感覚は道標』をリリースして、同月には主催イベント『京都音楽博覧会2023』を初の2日間開催。そして、初となるドキュメンタリー映画『くるりのえいが』を公開し、年末には『感覚は道標』リリース記念ツアー 『ハードにキマる!つやなし無造作ハッピージェル』を東名阪のZeppで開催した、くるり。
今回のオフィシャルサポーターズクラブ「純情息子」限定ライブは、本公演を皮切りに、3月12日(火)・13日(水)に東京・LIQUDROOMにて開催。岸田繁(Vo.G)、佐藤征史(B)に加え、松本大樹(G)、野崎泰弘(Key)、石若駿(Dr)を迎えて行われた。
撮影=井上嘉和
開演時間19:00ジャストにメンバーが登場すると、待ち侘びていた観客から鳴り止まない長い拍手が起きる。あまりの鳴り止まない長さに、岸田と佐藤は顔を見合わせて笑う。そんな和やかな雰囲気の中、序盤はアコースティックで緩やかな楽曲が続くが、観客は盛大な歓声を上げる。両手をあげて応えながら、岸田は「やりなれてへん曲をやり続けるから」と返す。そこから、「ノッチ5555」へ。シングル「ワンダーフォーゲル」(2000年発表)初回限定盤に収録されたボーナストラック。後にカップリングベストアルバム「僕の住んでいた街」(2010年発表)に収録されているとはいえ、あくまでレアナンバーだが、その激しく速いロックサウンドに盛り上がる。それまで横ノリだった観客が縦ノリに変わり、より一層の拍手と歓声に包まれた。
撮影=井上嘉和
佐藤やサポートメンバーがメインボーカルを務めたり、岸田がギター以外の楽器を演奏するシーンもあったが、ステージ前方でステップを踏みながら嬉しそうにギターを弾く岸田の姿が特に印象的だった。MCでのメンバー紹介では、観客とのコール&レスポンスもあったりと、とにかく御機嫌でハッピーな空気が会場中に充満している。
撮影=井上嘉和
「普段はフェスに出たり、ワンマンをやったり、やる曲は決まってきているんです。でもせっかくここでやるからには、ファンのみなさんにSNSでどんな曲を聴きたいか聞いて、そこで集まった生の声をカウントして選ばれた曲をやります」
いわゆるシングル曲のような人気曲や代表曲だけではなくて、あくまで観客のリクエストに沿うと言う岸田。「めんどくさがりの我々は、普段やらないんですよ」と冗談交じりに話したが、まさに貴重としか言いようがない。
撮影=井上嘉和
鍵盤のイントロが聴こえただけで、感嘆の声があがった「京都の大学生」。MCで京都の話も出ただけに、京都の地名が散りばめられた楽曲に沸く観客。美しいメロディーに合わせて、岸田はハンドマイクで力強く歌う。曲中に思わず観客も拍手をするが、最後に岸田はマイクを置き、ステージ前方で観客に背を向けて、メンバーに手でダイナミックな指揮をとる。その姿は圧巻のひとこと……。
岸田と佐藤は約25年前のデビュー時に、このBIGCATがある心斎橋にあった心斎橋クラブクアトロでの若手スリーマンライブに出演した話や、同じ頃の四国でのフェスの思い出など、昔話に花が咲く。改めて、くるりの歴史を感じたが、当の岸田は「昔話ばっかしてるんで、昔の曲をやります」と淡々と話して、インディーズ時代の楽曲も披露する。

撮影=井上嘉和
撮影=井上嘉和

「ハム食べたい」、「犬とベイビー」などブルージーなロックンロールに痺れている内に、気が付くとライブは終盤へ。メジャーデビュー後の2ndアルバム『図鑑』(2000年発表)収録楽曲「マーチ」では、若者ならではの葛藤がエモーショナルに鳴らされた。24年経っても色褪せず、当時の想いがリアルに届くというのは、昔も今も根底の想いは変わらないのだなと胸が熱くなる。だが、何よりも素晴らしかったのは、それ以降に演奏された「California Coconuts」。1990年代と2000年代を経て、2023年に生まれた楽曲は、年齢を重ねたからこそ見えたであろうエモーショナルな熱さの向こうにあるリラックスした温かさが存在していた。
「やっぱり最新曲が良いよね」
それは、この岸田の言葉にも表れていた。デビュー時から約25年以上好きなファンも、今現在が一番格好良いのは何にも増して嬉しいだろう。「最後は自分たちのやりたい曲を」と岸田は言い放ち、ラストナンバーが鳴らされた。
「こんなん観られるのって、ここしかないなぁ」
全ては最後の佐藤の言葉に集約される。もちろん、このライブでしか観られない景色もあるが、くるりのライブは常に観続けていたいという気持ちが今まで以上に強くなった。
撮影=井上嘉和
そして、次回ツアー『くるり ライブハウスツアー2024』の開催が発表された。6月13日・14日の渋谷 Club QUATTROを皮切りに、初となる会場まで全国を周り、8月31日に沖縄の音市場で開催される千秋楽公演まで、約2ヶ月半をかけた全国22箇所23公演の大規模ツアーとなる。メンバーは、今回のライブと同じく岸田・佐藤とサポートの松本・野崎・石若の5人。
3月8日(金)から、くるりのオフィシャルサポータズクラブ「純情息子」では、チケット先行受付が開始となっているので、詳細はオフィシャルサイトを確認していただきたい。
取材・文=鈴木淳史、写真=オフィシャル提供(撮影:井上嘉和)

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