USジャズ&ヒップホップシーンを代表
するピアニスト“ロバート・グラスパ
ー”とは



その中心にいるのがピアニストのロバート・グラスパーだ。ゴスペルシンガーの母のもとで生まれ、幼いころから教会でピアノを弾いていた彼は、ブラッド・メルドーやロイ・ハーグローヴを輩出した名門ニュースクール音楽院でジャズを学びながら、同学校の同級生で親友のR&Bシンガー ビラルと共にヒップホップやR&Bのセッションでも演奏し、様々なシーンで高い評価を得て、ケニー・ギャレットやテレンス・ブランチャードとツアーをしながら、エリカ・バドゥやコモン、Qティップ、Jディラらと親交を深めた。

そして自身の作品ではジャズとヒップホップやネオソウルが完全に溶け合った独自のサウンドを生み出していく。Jディラの名曲をピアノトリオでDJミックスするように演奏した名曲「Jディラルード」を収録した『イン・マイ・エレメント』や、ジャズミュージシャンによるオーヴァーダビングなしのエレクトリックな生演奏ヒップホップ・サウンドの上で、エリカ・バドゥやモス・デフ、コモン、ノラ・ジョーンズらが歌う名作『ブラック・レディオ』『ブラック・レディオ2』などをリリースし、グラミー賞を2年連続で獲得している。2015年にはピアノトリオのイメージを刷新するような『Covered』、2016年にはマイルス・デイビスをテーマにした映画『マイルス・アヘッド』の音楽を担当し、マイルス・デイビスの音楽を再解釈した『エブリシングス・ビューティフル』をリリースする。更に同年に自身の新作『アートサイエンス』をも発表するなど、精力的かつ、多彩な活動を展開している。

そんなグラスパーをケンドリック・ラマーが『To Pimp A Butterfly』で、コモンが『Black America Again』で起用。また、2016年10月にはホワイト・ハウスで行われた当時のアメリカ大統領バラク・オバマ主催のイベントでコモンと共に演奏するなど、今や、名実ともにUSのジャズとヒップホップシーンを代表するミュージシャンとなっている。

世界的にも注目度が高まり続けている今、グラスパーが初のオールスタンディングでの単独公演を行う。ア・トライブ・コールド・クエストやマックスウェルにも起用されるドラマーのマーク・コレンバーグが叩きだすヒップホップ/ネオソウル的なビートを軸にバンドが即興的に絡み合う強烈なグルーヴに彩られたステージを、ジャズのライブハウスではなく、ヒップホップやネオソウルと同じようにスタンディングで体感できることは長い間待ち望まれてきた。フェス以外でのこの形式は国内初。まさに待望の単独公演といえる。新作『アートサイエンス』は、「今回はもっと自由に、「とにかくやりたいことをやろう」、「もっと俺たち自身をフィーチャーしていこう」とおもった。」とグラスパーが語っているように、ジャズミュージシャンとしての自分たちのことを更にさらけ出すように自由に演奏している。このアルバムの勢いそのままの強力なサウンドが聴けるはずだ。


Text by柳樂光隆(Jazz The New Chapter)

イベント情報ロバート・グラスパー・エクスペリメント​

 日時:2017年6月4日(日)、5日(月)
 会場:Billboard Live TOKYO
 出演者:ロバート・グラスパー

 イベント情報ロバート・グラスパー・エクスペリメント​

 日時:2017年6月6日(火)、7日(水)
 会場:Billboard Live OSAKA
 出演者:ロバート・グラスパー

 イベント情報ロバート・グラスパー・エクスペリメント​

 日時:2017年6月8日(木)
 会場:品川プリンス ステラボール
 出演者:ロバート・グラスパー

 

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