OL・嘉代子と吉澤嘉代子、2人の嘉代
子が織りなす『うつくしい人たち』の
世界【吉澤嘉代子とうつくしい人たち
ツアー・ライブレポート】

 同公演は8月3日にリリースされた『吉澤嘉代子とうつくしい人たち』を携えて行われた、東京・名古屋・神戸でのワンマンツアーを経て行われた吉澤初の追加公演。前半部はOL嘉代子によシナリオ仕立てのライブ、後半部は吉澤嘉代子によるバンドライブと2部構成にて行われ、スペシャルゲストとしてザ・プーチンズの街角マチオと街角マチコが登場した。

OLな嘉代子がノリノリで歌いながら入店


 前半部はOL・嘉代子が趣味のカラオケのために恵比寿のカラオケボックスに足を運んだという設定のもと展開。ステージに設定されたカラオケ用のモニターにモーニング娘。の『LOVEマシーン』の歌詞が表示されると、OLな嘉代子がノリノリで歌いながら入店。「花金に 恵比寿で一人 カラオケ屋」と一句嗜んでみせながらも、「今夜は楽しもうじゃない!」と勢いをつけ『綺麗』へ。その後、嘉代子は『ユキカ』『恥ずかしい』を通して、OLとは思えない抜群の歌唱力でカラオケボックス恵比寿ガーデンホールに透明感のある歌声を響かせ、「歌うって気持ちいい! 最高の気分!」とご満悦の表情。



 立て続けに3曲を歌い終えた嘉代子は喉が渇いたとフロントにドリンクを注文。コール音の後に聞こえた「はい、フロントです」のボーイの声に会場はざわつき始め、ドリンクを提供しにきたボーイが街角マチオ(ザ・プーチンズ)であると判明すると会場内からは笑いが巻き起こった。さらに、嘉代子が注文したレモンスカッシュではなく、店自慢の商品としてガリスカッシュを提供すると「お客様はレモンよりガリがお似合いですよ。ガリ、素敵だと思います」と褒めたたえるマチオ。

困惑しながらもガリスカッシュを一口飲んだ嘉代子は「美味しい!」と大絶賛すると、『吉澤嘉代子メドレー~寿司や不良編~』に突入。『ガリ』ではねじり鉢巻きに寿司桶を手にした嘉代子が客席にガリをばら撒き、『ブルーベリーシガレット』ではグラサンにスクールカバンで不良娘になりきり、『ケケケ』では吉澤嘉代子の振付の完コピを披露。ラスト『チョベリグ』では”恵比寿””くるくる”のコール&レスポンスを巻き起こしてみせたりと、客席を巻き込みながらメドレーを歌い切ってみせた。

『吉澤嘉代子とうつくしい人たち』の収録楽曲


 メドレーを歌い終えた嘉代子は吉澤嘉代子の楽曲を「めっちゃ歌いやすい!」と大絶賛。テンションが上がってきた嘉代子は、ここで『ねえ中学生 feat.私立恵比寿中学』『アボカド feat.伊澤一葉』『ゆりかご feat.岡崎体育』と『吉澤嘉代子とうつくしい人たち』に収録された楽曲を熱唱。続けて、「次はじゃじゃじゃいれちゃおうかな!」と入力しようとしたところで、ザ・プーチンズがカラオケにお供してくれるスペシャルサービスの広告を見つけた嘉代子。



早速フロントのボーイに注文すると、カラオケボックス恵比寿ガーデンホールでバイトをしていたというザ・プーチンズの街角マチオと街角マチコが登場。ザ・プーチンズの大ファンだという嘉代子は本人登場に大喜びすると、マチコにテルミンで『LOVEマシーン』を聴かせてほしいとリクエスト。

マチコは世界最古の電子楽器であるテルミンを操りリクエストに答えると演奏料金として1万円の追加料金を請求。「ぼったくりだ!」と憤慨する嘉代子に対して、マチコは「ずっと監視カメラで監視していましたけれど、お客様は少々情緒不安定なようですね!」とこの日の様子からTwitterでの呟きについて指摘し始める。困惑する嘉代子に対して天の声(マチオ)が「お前は恵比寿でマチコにぼったくられる運命なのじゃ……」と天命を伝えると、「お前は戦ってばかりいる男が好きじゃろう……ギャンブルでざわざわする男が好きじゃろう……」との寸劇から『じゃじゃじゃ feat.ザ・プーチンズ』をセッション。マチコのテルミンとマチオのアクションに合わせて、嘉代子はとキュートにエアギターを披露した。

 続けて、ザ・プーチンズの楽曲『ナニコレ』をコラボ。PVと同じくランニングにショートパンツに早着替えしたマチオは「恥を捨てることで人は楽になれる」と全力でパフォーマンス。そんなマチオの言葉に答えるように、嘉代子はと満開の笑みで伸び伸びとした歌声を届け、お会計として7万3千円を請求される落ちとともにステージから退場。
 
 転換中はDAMチャンネルとスペシャルコラボしたムービーが上映。ゲストとして吉澤嘉代子やニュースキャスターの安保角子(吉澤嘉代子)、ウッツクシーン・ヒット(吉澤嘉代子)が代わる代わる登場し会場内は笑いに包まれる。こうした転換の間にも、常に観客を楽しませようとする吉澤の心遣いが感じられた。

すごく幸せで、不思議な体験だった


 民族風のワンピースに着替えた吉澤が再びステージに登場すると、バラードナンバー『残ってる』を熱唱。前半部のユニークさが残る会場をムーディーに作り替えると、『ちょっとちょうだい』『シーラカンス通り』『泣き虫ジュゴン』を通して、時に秘めていた思いを爆発させるように感情的に、時に海に底に沈むような静寂との緩急で会場を魅了した。

 ここでこの日初めて吉澤嘉代子としてのMCへ。初の追加公演やザ・プーチンズとのコラボが実現したことに「楽しかった」と率直な思いを伝えると、『吉澤嘉代子とうつくしい人たち』で憧れのサンボマスターから楽曲提供を受けたことへの思いを語り始めた吉澤。サンボマスターが楽曲提供した『ものがたりは今日はじまるの』の歌詞にある「私を連れて行ってください」という言葉は、吉澤が子供の頃に抱いていた思いとリンクしていたことを明かすと、「気持ちが混じったようで、すごく幸せで、不思議な体験だった」と一言一言を探すように、大事に発している姿が印象的だった。本編ラストはそんな子供の頃の吉澤の思いを乗せるように『ものがたりは今日はじまるの』を届けた。




アンコールでは「終わり良ければ総て良しをやってみます」


 アンコールでは「終わり良ければ総て良しをやってみます」とTwitterでも公言していた語尾をしっかりと発音するという目標を掲げながら、「来てくださってありがとうございました」と今ツアーへ集ったファンへ感謝の思いを伝えた。

 そして、『東京絶景』を歌い終えた吉澤はマイクの前で両手をさすったり、握ったりしながら、自分の中で言葉を整理するような仕草と表情を見せると「誰かが自分を連れて行ってくれるのではなくて、自分が自分を連れて行かなくてはいけないと思うのは嬉しい」と子供の頃からの心境の変化を語ると『がらんどう』で締めくくった。



 アンコールを終えて吉澤がステージを去っても拍手は鳴りやまず、しばらくして再び吉澤がステージに登場。ザ・プーチンズをステージに招くと、マチオとマチコとともに前半部では出番のなかった川島さる太郎も姿を現し吉澤と固く握手を交わした。

 再び吉澤がステージに一人立つと、2017年春にニューアルバムをリリースすることを発表。一枚目『箒星図鑑』は”少女時代”、二枚目『東京絶景』は”日常”をテーマに制作してきた吉澤だが、次作について「(聴いたら)バーンとなる、大好きなものがいっぱい入っています」とコメント。そして、ニューアルバムに収録予定の楽曲『一角獣』をどこよりも早く披露。

吉澤が20代のときに制作したという同楽曲は夜の橋の下に一角獣がいたらどうしようというテーマに”言ってはいけないこと”が含まれており、現実と妄想世界を行き来する吉澤の世界観が詰め込まれている。歌い終えた吉澤は「CDになったらもっと素敵になると思う」と笑顔で伝えると、最後に一言「また会えることを楽しみしています。おやすみなさい」とメッセージを残すとステージを後にした。

TEXT:河内香奈子
Photo : 田中一人

公演概要
タイトル:吉澤嘉代子とうつくしい人たちツアー
公演日程:11月18日(金)
会場:恵比寿ガーデンホール

<セットリスト>
01. 綺麗
02. ユキカ
03. 恥ずかしい
04. 吉澤嘉代子メドレー ~すし屋は不良編~
05. ねえ中学生 feat.私立恵比寿中学
06. アボカド feat.伊澤一葉
07. ゆりかご feat.岡崎体育
08. じゃじゃじゃ feat.ザ・プーチンズ
09. ナニコレ(※ザ・プーチンズ楽曲)
10. 残ってる
11. ちょっとちょうだい
12. シーラカンス通り
13. 泣き虫ジュゴン
14. ものがたりは今日はじまるの feat.サンボマスター
-ENCORE-
15. 東京絶景
16. がらんどう
-ENCORE 2-
17. 一角獣

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