カバ子との出会いと別れの物語。バン
ドじゃないもん!の『パヒパヒ』

このグループの持ち曲の一つが『パヒパヒ』。サビでひたすら「パヒパヒ」と言って盛り上がる曲です。この曲は2人時代からあった曲で、歌詞が非常に独創的。





歌いだしの歌詞です。カバ子とぶつかって出会うというストーリー展開。この歌いだしは、ずっとみさこが歌っています。「見た目は大人 頭脳は13th」とは、まさにみさこのこと。自身の精神年齢が13歳で止まっていることを公式の年齢でもアピールしているみさこは、それを歌詞にも反映させています。「じゃじゃん」「しょくぱん」や「らちる」「はしる」や「てれってれって」「いれて」という音の並びが非常にリズミカル。みさこはこの曲の作詞を担当していますが、歌詞にリズム感の良さも表れています。カバ子をランドセルに入れ育てるストーリー展開。



カバ子にアイスをあげるも、そっぽを向かれてしまい傷付くという歌詞。「ぽろり涙が落ちる5秒前」という歌詞も良いですね。かつて、広末涼子の曲で『MajiでKoiする5秒前』という大ヒット曲がありました。「5秒前」はこの曲にちなんでいます。「誰よりも 愛そうとしてたのに」と続くように、カバ子にマジで恋する瞬間だったはずが、涙が落ちる瞬間になってしまった、と対比させています。



印象的なサビのフレーズです。「パヒパヒッポ ハチャトゥリアン!」という一見意味不明のフレーズ。しかし、ヒッポ=カバの英語のことであり、きちんと意味があります。タイトルにもなっている「パヒパヒ」とはカバ子の鳴き声なんですね。「ハチャトゥリアン」という単語が出てくるのもこの曲ならでは。ハチャトゥリアンとは旧ソビエト連邦の作曲家。

『剣の舞』など独特で激しい曲を作ったことで知られます。ハチャトゥリアンという人名がここにくることで、ハチャトゥリアンが作曲した『剣の舞』のような激しさ、にぎやかさ、不思議さのイメージが加わっているのです。言葉の響きで選んだと思いますが、このサビにロシアの作曲家をもってくるところが、バンドじゃないもん!のセンスでしょう。「イライラしないで」からの「ライラライ」と藤崎マーケットのラララライ体操ネタを仕込んでいるところも見逃せません。



こうして3か月経ち、カバ子はママが待つアフリカ大陸に帰ります。荒川を気持ちよさそうに泳いでいくカバ子。「アフリカ」「あらかわ」と似た音で対比させスケール感を出しているんですね。

この曲はライブで盛り上がる分、ともすると歌詞を読み飛ばされてしまいそうな曲です。メンバーが両手を頭の上にあげパヒパヒ言っている姿のインパクトが強いのですが、歌詞のストーリーにも注目してもらいたいですね。




TEXT:改訂木魚(じゃぶけん東京本部)

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