MISIA『つつみ込むように…』で包ま
れたその結末とは

そんなMISIAの『つつみ込むように…』 は1998年リリースの彼女の代表曲の一つ。MISIAが歌い上げるからこそ、この歌唱力があるからこそ映える曲ですね。ブラックミュージックの要素が強いですが、実は全て日本語歌詞の曲です。日本情緒にあふれている歌詞。

ちなみにMISIAは『忘れない日々』という曲も持っています。この『忘れない日々』は、『つつみ込むように…』の続編のつもりでMISIAが歌詞を書いたと言う曲。こちらは「恋人と呼び合えるのはこれで最後」という歌詞。別れの曲ですね。二人でいた日々を忘れないという歌です。



では『忘れない日々』の前日譚にあたる『つつみ込むように…』はどんな曲なのでしょうか。そもそもタイトルの「つつみ込むように…」とは何を包み込むのでしょうか。



まず、サビのこのフレーズ。恋人と呼び合える時間の中では、どんな言葉も特別になるということ。
「いくつ」の音が高くエモーショナルな印象を与えます。時間というのは限りがあるので、話せることにも限りがある。ゆえに「いくつ」話せるかというのが不確定で、であるがゆえにここに気持ちがのるんですね。


こちらのフレーズが特に印象的。花鳥風月の概念を連想させます。花鳥風月は、日本人が美しいと感じるものの例え。自然と風景です。

夢に花を添えるように、花に風が吹くように、君に愛を込めて特別な言葉を交わす。そして孤独も包み込んで言葉をおくる。言葉に、自然や風景や特別な気持ちを「包み込んで」いる。タイトルが何を何で包み込むようになのか。このサビで分かります。

「そして孤独を」のフレーズ。この歌詞はラストに「そして明日を」になります。孤独という一見マイナスな概念を包み込んで、その先の明日に目を向ける。歌詞の主人公の気持ちが前向きになっていくことが分かります。


ここは今の時代、余計に響く歌詞。現代人は満たされてないと感じている人が多いわけです。インターネットの普及で人々が幸せにつながるのかと思いきや、満たされない人が増えてしまいました。たわいもない出会いや無意味な言葉もあふれてしまいました。だからこそ特別な出会い、特別な言葉というのが貴重。


「時に羽」は時に羽がつくように、時間にしばられないようにという思い。青空という表現を「空に青」としているところも良いですね。青が希望を表す色になっていることが分かります。羽、青、勇気、そして命と全て希望を持てるものになっています。


人を遠ざけ、逃げ続けていた歌詞の主人公が「君を守りたい」と希望を持てるようになる歌だったんですね。

アイドルポップ全盛の昨今。アイドルにはアイドルの良さがありますが、こういった本格的ボーカリストの名曲もより多くの人に知ってもらいたいですね。



TEXT:改訂木魚(じゃぶけん東京本部)

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