染み込み育まれて発信される…wacci楽曲の「一人歩き」を新作から探る
これはwacciのニューシングル「フレンズ」のタイトル曲中における私的に印象深いワンフレーズだ。しかし、同曲も含めこのフレーズにこそ、彼らの歌や音楽性の本質、だからこそ彼らが多くの、そして幅広い人に愛され、長きに渡り聴き継がれ、歌い継がれている理由があると私は考えている。
振り返るとここ数年、彼らの歌の多くは、いわゆる作者のもとを離れ、一人歩きし、聴き手や受け手の中に染み込んだり、居座ったり、自身を重ねさせ、ひいては「自身の歌」として差し変わっていった。それは代表曲『大丈夫』(2015年8月発表)の現在のMV再生回数が1,200万回以上を誇り、Mix channelやTikTokを中心に若い男女の間でもバズった、リリックビデオも印象的だった「感情」(2017年8月発表)の2種のMV総再生回数の530万回以上、LINE MUSIC1位を記録した「空に笑えば」(2018年7月発表)のMV総再生回数はシュート/ロング・バージョン合わせて約800万回にも及び、2018年8月22日、4カ月連続配信シングルリリースの第2弾となる「別の人の彼女になったよ」にいたっては、音楽番組「関ジャム 完全燃SHOW」での紹介なども手伝い、LINE MUSICで1位の獲得を始め、サブスク総再生回数は約6,000万回を超え、MV再生回数は3,000万回以上となっている。そこには16,000件以上のユーザーの恋愛エピソードの書き込みの社会現象も発生。そこからも彼らの歌の身近さや親しみやすさ、自身への重ねやすさの特性も伺える。