【メトロノーム インタビュー】
自分的には今作はとても
メトロノームらしいと思っている
L→R シャラク(VOICECODER)、フクスケ(TALBO-1)、リウ(TALBO-2)
シャラク(VOICECODER)、フクスケ(TALBO-1)、リウ(TALBO-2)の三人三様の個性が集結した楽曲群は彩り豊かでありながらメトロノーム宇宙の中にいざなわれるアルバム『阿吽回廊』。現実世界はいろいろ世知辛いけれど、脱力させてくれて深呼吸させてくれる彼らの音楽はコミカルでシニカルで、やっぱり面白い。
アルバムを出して
ツアーを回るイメージだった
約3年振りのオリジナルアルバム『阿吽回廊』はメトロノームらしさが軸にありつつ、いろいろ色、いろいろ感情が混ざり合った作品に仕上がっていると思いました。コロナ禍の中、制作した曲が収録されていると思いますが、どんな気持ちで取り組んだんでしょうか?
フクスケ
自分的には“いよいよツアーが回れるようになるぞ!”っていうタイミングで曲を作っていたのでライヴで盛り上がればいいなって。それと2016年に活動を再開してからはメトロノームっぽさを少し考えて作っていたんですが、最近はメトロノームの曲というのを前提に今の自分が書きたい曲、作りたい要素を入れられるようになった気がしますね。
シャラク
コロナ禍で時間があったにもかかわらず、僕は夏休みの宿題を最後にやるタイプなので焦って作りました(笑)。なので、メトロノームらしさを考えるというよりもコード進行とか自分の手癖が出ていますね。曲によっては家でジャカジャカとギターを弾きながらパッと思いつくままに作ったりしたので。あと、単純に1年前に作った曲より数ヶ月前に作った新しい曲のほうが自分は絶対に好きなんですよ。そういう言い訳を常にしています(笑)。
リウ
僕もアルバムを出してツアーを回るイメージだったので、曲作り中はその頃には声を出せるようになると思っていて、みんなで盛り上がれたらいいなと想像して作りました。実際はまだ声を出すのはお預けだけど、いずれ伝わったらいいなって。
キーワードはライヴですね。メトロノームらしさは意識しました?
リウ
ふたりが作る曲がぶれないので、メトロノームらしさは常に真ん中にあるんですよ。なので、僕は逆に違う感じの曲を作ろうと思っていたんですけど、今、話を聞いたらふたりも新しい感覚だったんですね(笑)。
制作面での変化はありましたか?
フクスケ
制作に関しては前作(2021年12月発表のライヴアルバム『5th狂逸インパクト』)に新曲2曲を収録したんですが、その頃から作曲者がヴォーカル録りに立ち合うようになったんですね。それまでは各自バラバラに録ってたんですが。
なぜそうしようと?
フクスケ
試しにやってみようと思ったのが始まりですね。デモでは自分の声で歌ったり、メロディーを打ち込んだりするんですが、ニュアンスが伝わりきらない部分もあるので、“ここはこんな感じで歌うのはどうだろう?”ってシャラクと相談しながら。
シャラク
歌録りの時に自分ひとりだと譜割りや細かいところのメロディーが分からなかったりするんですけど、疑問点をその場で訊けるので作業が早くなったと思います。
アルバムはインド音楽の要素が盛り込まれた摩訶不思議なインスト「阿吽廻廊」で始まります。よく“阿吽の呼吸”って言いますが、“阿吽回廊”ってどういう意味ですか?
フクスケ
“阿吽”にはいろいろな意味があって、“宇宙の始まりと終わり”を指す場合もあるのでいいかなって。“回廊”はツアーが回れるようになるという想いが片隅にあったから出てきた言葉なんですけど、僕たちってあちこちジャンルを行き来したりしないでメトロノームっていう世界の中をしっかり回っているし。中身は変わっていくんだけど、やっていることの軸は変わらないというか。
メトロノーム宇宙を回遊するみたいなイメージですね。インストが回廊の入口のようなポジション?
フクスケ
そうですね。1曲目にリード曲「阿ッとして吽」が入ることが決まっていたので、インストからきれいにつながるようにと。
「阿ッとして吽」はエレクトロでポップで途中からミュージカル的な展開をする曲でもありますね。
シャラク
ライヴ会場販売限定シングルの曲出しの時に作った候補曲のひとつで、急遽サビをつけ足して完成させたんです。タイトルは“阿吽”という言葉を思いついたんですけど、まんまなのもなと思って“阿ッとして吽”にしてみたっていう。
人生残り少ないんだからっていう下りのあとに《最後に笑えるなら/それが一番面白いじゃん/っていう妄想です》と歌っていますが、“っていう妄想です”ってつけ足すのがシャラクさんらしいです。
シャラク
“よっしゃ! やるぞ!”ってなっても“なんちゃって”で誤魔化すというか(笑)、意味があるようなことを歌っておいて“実はそんなこと思ってないっす”みたいな。《阿ッとして吽とこどっこいしょ》というフレーズも“うんとこどっこいしょ”が最初にあって足しただけなんですよ。歌詞にはいつも深い意味を持たせたくないと思っているんです。
サウンドもピアノやホーンも入っていて華やかですね。
フクスケ
サビがなかったデモの段階では“この曲で大丈夫か?”と思っていたんですけど、キングレコードの齋藤さんという方が“この曲でいこう!”って。きっと何かが見えていたんでしょうね。そしたら、いいサビがついて、ピアノが乗っかって、お洒落になったんですよ。だから、一番素晴らしいのは先見の明があった齋藤さんだと思います(笑)。
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