【首振りDolls インタビュー】
日本のロックの最先端を担っている
L→R ジョニー・ダイアモンド(Gu&Vo)、ナオ(Dr&Vo)、ショーン・ホラーショー(Ba)
九州小倉生まれ、全国のライヴハウスで育った3ピースバンド・首振りDollsからニューアルバム『ドラマティカ』が届いた。昭和歌謡、初期パンク、ファンクと、これまでもさまざまなロックを吸収し、自らの血肉としてきた彼らだが、さらに新たな要素を体内に取り込んだ意欲作だ。令和ロックの最前線はここにあると言っても過言ではない。
挑戦してみたいことや
やりたいことを詰め込んだ
『ドラマティカ』は過去作以上にバラエティー豊かな作品に仕上がった印象がありますが、ご自身ではどんなふうに受け止めてますか?
ナオ
やりたいことをやってたらこうなっちゃったという感じで、特にそういう狙いがあったわけじゃなくて、たまたまです(笑)
個人的には、もし首振りDollsを知らない人が1曲目「Welcome to Strange Night」とラスト「誰そ彼」を続けて聴いたとしたら、同じバンドがやっているとは思わないのではないかとすら思うのですが。
ジョニー
あぁ、確かに。そこまで考えてなかったんですけど、一周してまた1曲目に戻ると、自分でもそう思うかもしれないです(笑)。
ショーン
コロナ禍でライヴもできない中、みんないろいろなインスピレーションを得て、やりたいことを詰め込んだからバラエティー豊かになったんじゃないですかね。
前作『アリス』(2019年5月発表)にしても、前々作『真夜中の徘徊者~ミッドナイトランブラー』(2018年4月発表)にしても、ジャンルレスと言いますか、特定のジャンルでは括れないところはあったと思うんです。でも、今作はそれとはまた違うようなメリハリがあるという感じで、中盤でもグラムロックの7曲目「ミルキーウェイ」からレゲエの8曲目「期待しないで」と、これだけでも十分に幅があります。
ナオ
出たとこ勝負だったんですよね(笑)。でも、レゲエっぽい曲は今まで一曲もなかったから「期待しないで」は初めてやった感じで、「誰そ彼」は首振りDollsの中でも特にバラードだと思う。
「誰そ彼」は中島みゆきが作った工藤静香のナンバーみたいで、いいロッカバラードだと思います。そんなふうに収録曲の振り幅が広いんですよね。
ナオ
言われてみると似た曲はそんなにないですね。今回は3人それぞれの曲がだいたい3曲ずつくらい入ってるんですよ。それぞれの作った曲には共通点があるかもしれないですけど、作った人が違うと完全にバラけている感じなんですかね。
そうですか。「期待しないで」は最初に聴いた時、ボブ・ディランの「Knockin' on Heaven's Door」を思い出したんですけど、コード進行が近いんですかね? レゲエアレンジというところではエリック・クラプトンのカバーバージョンに近いかも。
ジョニー
コード進行は近いですね。僕、ボブ・ディランがめちゃくちゃ好きで、もちろんエリック・クラプトンも大好きだから、意図せずに寄ってしまったところはあるかもしれないです。ボブ・ディランの場合、ライヴ盤ではアレンジが原曲と全然違って急にレゲエになったりということもあるし。ただ、この曲は作った時から“レゲエっぽく”というイメージはありました。日本で言うと、忌野清志郎やBO GUMBOSとか、日本語を乗せてソウルフルなもの…R&Bにも挑戦していきたいという意図の表れですね。
9曲目「DISCOVERY」もジョニーさん作詞作曲のナンバーですが、これはJ-ROCKの王道と言ったら語弊があるかもしれないですけど、青春パンクにも近い、分かりやすいメロディーですよね?
ジョニー
メロディーはそうですね。ただ、曲の母体はボブ・ディランとかニール・ヤングとか、そこら辺に通じるものはあるかもしれないです。
メロディーはさわやか…とはちょっと違うかもしれませんが、ストレートに分かりやすいと思います。4曲目「サボテン」はどうですか?
ジョニー
この曲は曲調もコード進行的にも最初からやりたいことは決まってて、イントロもあのフレーズを使いたかったんです。
「サボテン」は何がいいって、シェーカーのリズミカルな感じがとてもいいですよね。
ジョニー
あれはいいですね。
ナオ
あざっス! (二の腕を指して)ここがパンパンになりながらやりました(苦笑)。
全員
あははは。
マンチェスターサウンドにも近い感じですかね。
ジョニー
1990年代のイギリス、ブリットポップ感ですね。ギターもなぜか無駄に4本くらい重ねてるんです(笑)。
何が言いたいかと言いますと、「サボテン」「期待しないで」「DISCOVERY」と、同じ人が作った楽曲でもこれだけ違うわけですよ。
ナオ
そうですね(笑)。
さらに言えば、ショーンさんの曲にしてもそうで。まず「Welcome to Strange Night」からいきますと、いわゆるラウド系なロックチューンと言えると思うんですが、プログレっぽくもあり、ちょっとRed Hot Chili Peppersっぽくもあって。ベースはブイブイと鳴っていて、かなり挑戦的なナンバーではありますよね?
ショーン
これはライヴの始まりを自分の中でイメージして、「Welcome to Strange Night」で始まったら面白いなって。ファンキー・カオティック・パーティー・チューンというか(笑)。歌詞もそんなになくて、ほぼほぼインストでいいかなと。
ナオ
《Welcome to Strange Night》だけ(笑)。
ショーン
そうそう(笑)。歌詞4行とかめっちゃ短いの好きなんで。
《Welcome to Strange Night》《Welcome to the Beautiful Night !!》…“不思議”“美しい”というのはこのバンドのことを重ねているんですね。
ショーン
まさにそうですね。歌詞はこれから始まるショーのことを書きました。
カッコ良いナンバーです。で、同じくショーンさんが手がけた5曲目の「SMILE」はファンキーでありつつも、そこにこれまでも首振りDollsがやってきた昭和テイストを融合させた印象があります。いい感じにアップデートしたというか。
ナオ
それはメロディーを俺がつけたからでしょうね。
なるほど。これ、ちょっとゴーゴーっぽいですよね。
ショーン
こういうミドルテンポで、ミクスチャーでヒップホップのトラックっぽい感じが自分は得意だと思ってて。その点では「SMILE」は、今、自分がやりたいことができた曲です。
このバンドの新しい側面を産み出したいという意識もあったのでしょうか?
ショーン
そうですね。今までにあんまりない感じなのでそれは確かにそうかも。
ショーンさんのナンバーで言えば、10曲目「レッドドラゴン」はどうですか? これもメロディーが立ってる楽曲で、昔のジャニーズにあった感じとか、ビーイング系にもこういうキャッチーさがあったような気もしますし。
ジョニー
(ショーンに向かって)あのイントロ、ギターと一緒にキーボードを重ねてるけど、あれだけ聴いたら確かに1990年代のポップス感はあるよ。
「レッドドラゴン」の全体を引っ張る、あのギターは面白いですね。
ジョニー
ギターは音色にも俺以上にショーンが結構こだわってるから、ショーン好みの感じを模索して。その結果、思いがけずにエフェクターがハマった…みたいな感じでした。あんな使い方してる人は他にいないんじゃないですかね?(笑)
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思い返せば曲を作る時間がいっぱいあったアーティスト
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