【Plastic Tree インタビュー】
今までの中で一番面白い
アルバムだなぁと思ってます
L→R 佐藤ケンケン(Dr)、長谷川 正(Ba)、有村竜太朗(Vo&Gu)、ナカヤマアキラ(Gu)
タイトルは“平面上のいかなる地図も隣接する領域が異なる色になるように塗り分けるには4色あれば十分”との意味の四色定理から着想を得たというニューアルバム『十色定理』。先行シングル以外の8曲はメンバーそれぞれが作詞作曲を手掛けた新曲を2曲ずつを持ち寄り、バンドで仕上げていった、4人の持ち味と個性が新鮮な印象を残す好作品となっている。
それぞれクオリティーが高いし、
作曲者の色が際立っている
新録の8曲はメンバーそれぞれが2曲ずつ持ち寄ったそうですね。
長谷川
そうです。曲を作った人間が歌詞も書いたら面白いんじゃないかっていう意見が出てきて、こういうかたちになりました。聴き返してみると、やり方としては良かったんじゃないかと思います。曲のキャラクターが際立った感じですね。
タイトルの“十色定理”という言葉は造語ですか?
長谷川
タイトルを考える前に、まずアルバムのアートワークについてミーティングをしていた時に閃いた言葉なんです。デザイン的に色を使いたいとか、そういうのもあって。曲数の10っていう数字と色を絡めたいっていうのもあったんですけど、ふと“四色定理”という言葉が浮かんだので、それをちょっともじって。数字も入ってるし、色っていう単語も入ってるからいいんじゃないかと。
アルバム全体のテーマは?
長谷川
内容に関しては、今回は結構自由でしたね。前作『doorAdore』(2018年3月発表)の時は、メンバーで集まって設計図みたいなのを考えたんです。“1曲目はこんな感じで始まって、こういう曲があったらいいよね”って感じで作っていったんですけど、今回は本当に自由でした。決めてたのはサイズ感だけかな。アルバムのサイズ感的に10曲入りくらいがいいっていうのがあったんで、それに則ってやった感じです。今の時代で10曲って決して多くはないですけど、それくらいの風通し感がいいというか。
今作の楽曲を作る時、各自どんなことを意識してました?
長谷川
自分の中では既発シングルの2曲(「インサイドアウト」「潜像」)は意識的に外に向けて作った感覚が強かったんですけど、アルバムの2曲(「あまのじゃく」「スウィング・ノワール」)に関しては逆にインナーというか。自分が今やってみたいこととか、わりとプライベートな意識で作りました。シングル曲に関しては“今バンドとしてこういうことを表現したらカッコ良いんじゃないか”とか、そういうところに主眼を置いて作るんですけど、かなり自分の趣味に走ってる感じです。
有村
俺はざっくり言うと、好きに作った曲です。「C.C.C.」はあまり考えずにノリでガチャガチャと音を出してやる曲があったらいいなという感じで。「エンドロール。」はジャンルで言えば、ネオアコとかニューウェイブとかになるのかな。自分がバンドで作るのに一番好きなタイプの曲ですね。バンドっていうフォーマットでやるなら、こういう8ビートで、テンポ感で、こういうコードワークとかメロディーの乗っかり方が好き…みたいな。もちろん他の曲もいろいろ好きなんですけど、自分的にこういうのが一番フラットというか。ただ、今回の制作中、みんなの曲に触れていくうちに、すごくクオリティーが高いし、作曲者の色が強いと思って刺激を受けたんですよ。だから、最初はなんとなく作ってたけど、この2曲を集中して何度も見直してみようと思って、そこからはいつもよりもメロディーだったり、特徴になるアレンジとか、そういうのをすごく考えました。
佐藤
3人が作る曲ってなんとなくもう確立しちゃってるから、俺はそこの隙間産業というか(笑)、3人が作らなさそうな曲を作らないと、自分がやる意味がないなって。だから、いわゆるPlastic Treeっぽくない感じの曲になると思うんです。それを4人でバンドとして違和感なくアレンジしていくっていう。今回の2曲(「remain」「月に願いを」)はストックから出したんですけど、先に出ていた6~8曲とは違うタイプの曲を出そうと思って選びました。そういうバラエティーに富んでるのも、今回のアルバムの面白さなんじゃないでしょうか。
ナカヤマ
俺はそんなに…“アルバムを作る時期ですよ”って言われて、“あぁ、そっかぁ。早いね~”と思ってたら2年経ってたっていう。要は『doorAdore』は最近作ったものだと思ってたの。シングル2枚もやったのを忘れてちゃってたからね。だから、この2曲(「メデューサ」「Light.Gentle.and Soul.」)を書いた時も、別に“これで世界をひっくり返してやる!”とか、そんな気持ちなんかなくて。
別に誰かに聴かせるために書いてるわけではないと?
ナカヤマ
いやいや、それはめちゃめちゃ思ってるよ。“聴いた人は必ずなぎ倒す!”みたいな(笑)。聴いた人が“うっわー、カッコ良い!”って思うような曲を書かないと。それくらいは思ってるよ。どういう時期であれ、どんなタイミングであれ、どんなテーマが来られても、逆にテーマがなくても、そこは大事にしてる。自分が作曲家ということの意味として。そこは書く時の意気込みだからね。
それは昔から変わらないんですか?
ナカヤマ
そりゃそうっすよ。むしろ、昔のほうが強いんじゃない? それこそ“世界をひっくり返してやる!”くらい思ってたから(笑)。今は別にひっくり返らなくてもいいけど、結果にコミットしなくてもいいんだけど、書く時のエネルギーとしてはあるよ。やっぱりさ、作る時には気持ちを奮い立たせないと書けないから。気合いを入れていかないと。ダラダラと書いちゃいけない…といつも思ってやってる。って、今回の2曲の説明になってないね(笑)。でも、いつも通りそういう気合いで書きました。
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