【スキマスイッチ インタビュー】
CDに気持ちを乗せて
大切な人へプレゼントしたものを
大事にしてもらえたらいいなと
思ってます
L→R 常田真太郎(Piano&Cho&Organ&Other instruments and total sound treatment)、大橋卓弥(Vo&Gu&Harmonica)
デビュー15周年を機に編まれた初のセレクションアルバム『スキマノハナタバ ~Love Song Selection~』は、スキマスイッチが贈る音楽の花束だった。手作り感あふれるアートワークと、ラブソングを中心にセレクトされた選曲にふたりはどんな想いを込めたのだろうか? 新録音の2曲を中心に話を訊いた。
オリジナルではなく、ベスト盤とも違う。そんな初のセレクションアルバムが完成しましたね。
常田
すごく面白かったですね。コンセプトがあるので曲順を考えるのも面白いし、どれを入れたらみんなが“おお!”って思ってくれるかなとか。結果的にベストとオリジナルとの間にあるような作品になったと思います。
どうしても入れたかった曲は?
常田
まずは「未来花(ミライカ) for Anniversary」ですね。これがあったからできたセレクションアルバムと言ってもいい。ロンドンで録らせてもらったんですけど、すごくいいものができたと思います。まず配信で出して、CDとして出すにはどうしたらいいか、15周年の企画としてどうか…とかスタッフのいろんな想いをひとつに集めてこういうかたちになった気がするので。思い入れはひとしおです。
ロンドンでのレコーディングはThe Beatlesで有名な伝説のアビー・ロード・スタジオという。
大橋
いい曲を録らないといけないっていうプレッシャーもあったし、単純に憧れの場所や人に近付きすぎる恐怖感もあって、喜んでばかりではいられなかったですね。ポール・マッカートニーが「レディ・マドンナ」を弾いたピアノが置いてあったりして、これが目の前にあって本当にいいのかなとか、ちょっと複雑な気持ちでしたね。作業を始めてからはとにかくいい作品を作ろうという方向にシフトしていったので、その感覚はなくなっていきましたけど。最初は“ここがそうか!”って気持ちになるじゃないですか。
なりますよね。観光客じゃ入れないし。
大橋
それ、言われました(笑)。外の空気を吸いに出たら、いっぱい人がいるんですよ。“中に入れるのか?”と僕に訊いてきた人がいて、“たぶん入れない”“お前はミュージシャンか?”“そうだ”って言ったらすごく羨ましそうな顔をされて。そこに入れる立場にいるのはすごいことだと思いましたね。
それにしても本当にいいテイクだし、音がいい。
大橋
やっぱり何かが違うなと思いましたね。
常田
今回のプロダクトに関しては、向こうのやり方でやりたかったので。見ているとエンジニアさんがいろいろ指示していくので、僕らもエンジニアを通してミュージシャンに伝えるやり方でした。海外ではエンジニアとプロデューサーが同じ人であることも多いし、なるほどと思いました。
もう1曲、大橋さんのソロ曲「ありがとう」を録り直してますね。
大橋
収録曲の候補に入ってたんですけど、正直浮いてしまうと思ったし、最初は気になりました。でも、アルバムのコンセプトが“記念日”で、みんなの思い出のワンシーンに僕らの曲があればいいということだったので。「ありがとう」は結婚式で流してくれる人が多くて、当時はそんなに認識される曲になるとは思ってなかったんですけど、未だにそういう人がいてくれる。そう考えるとこれはありがたい機会かもしれないと思って。あとは、落としどころですね。だから、“re:produced by常田真太郎”にして、シンタくんにアレンジしてもらったらどうなるだろう?というところに落とし込めたんですね。
原曲の弾き語りから華麗なオーケストラバージョンへ。
常田
僕も大好きな曲ですし、ちゃんと向き合いたいと思いました。僕なりの解釈で、こういうテンポ感でこういう歌い方で聴いてみたいなというものを好奇心で表現した感じです。
ちなみにふたりはCDを親しい人に贈ったりするタイプですか?
大橋
昔はカセットテープに録音したりして友達同士で贈り合ってました。今はプレイリストを作ればいいけど、僕らの頃は1曲ずつ時間をかけて録音してましたからね。そういう意味では贈りやすくなってるけど、もう1回CDを誰かに贈るという行為をしてもらいたいという気持ちはありました。
そこがポイントだと思います。物を贈る行為の大切さ。
大橋
僕がよく行くバーのマスターが毎年僕の誕生日にレコードをくれるんですよ。そのまま店に置かせてもらってるんですけど、ビリー・ジョエルのレコードに僕のサインが入ってたりします。
ボトルキープじゃなくてレコードキープ(笑)。
大橋
そうそう(笑)。マスターも僕か僕の知り合いにしかそのレコードはかけてないと思います。今回はCDですけど、そこに気持ちを乗っけてプレゼントしたものを大事にしてもらえたらいいなと。だから、ジャケットもカスタマイズできるようになってたりとか、真剣に作ったんですよね。どういうふうに使ってもらうかすごい楽しみです。
常田
僕も卓弥と同じように学生時代はカセットとかMDとかCDを贈ったりしました。付き合ってからよりも付き合う前のほうが、そういうのも多いかもしれない。
やりますよね。“俺、こういうの好きなんだけど”っていう自己紹介のメッセージを込めて。
常田
だいたい、分かってもらえないですけどね(笑)。
いやいや(笑)。みなさんもこのCDをぜひ大切な誰かのために。
常田
ラブソングセレクションをなぜ自分がもらったのか…とか考えてもらえたらいいですね。
大橋
企画段階では“買う人が自分で選曲してパッケージを作る”というのをCDショップの店頭でできないかなって思ってたんですよ。まぁ、実際には難しいという話になったんですけど、それぐらいの気持ちだったんですよね。すごく慎重に、大事に大事に作ったアルバムなので楽しんでほしいと思います。
取材:宮本英夫
「未来花(ミライカ)
for Anniversary」MV(Short Ver.)
「Revival」MV
アーティスト
編集部おすすめ ライブレポート
おすすめ記事
-
『OKMusic』サービス終了のお知らせ
2024.02.20 11:30
-
音楽ファンの声、エールを募集! music UP's/OKMusic特別企画 『Power To The Music』 【vol.89】公開
2024.02.20 10:00
-
今年でデビュー50周年の THE ALFEEが開催する、 春の全国ツアー神奈川公演の チケット販売がいよいよ開始!
2024.02.13 18:00
-
音楽ファンの声、エールを募集! music UP's/OKMusic特別企画 『Power To The Music』 【vol.88】公開
2024.01.20 10:00
-
宇多田ヒカル、 初のベストアルバム 『SCIENCE FICTION』発売決定& 全国ツアーの詳細を発表
2024.01.15 11:00
人気
-
【連載】 Mrs. GREEN APPLE 大森元貴 『ナニヲなにを。』 - 第1回 『自己紹介を。』 -
2014.12.20 00:00
-
【連載】 Mrs. GREEN APPLE 大森元貴 『ナニヲなにを。』 - 第16回 『巡り合いを。』 -
2016.03.20 00:00
-
【連載】 Mrs. GREEN APPLE 大森元貴 『ナニヲなにを。』 - 第2回 『忘れられていることを。』 -
2015.01.20 00:00
-
【連載】 Mrs. GREEN APPLE 大森元貴 『ナニヲなにを。』 - 第3回 『魔法の言葉は在るということ、を。』 -
2015.02.20 00:00
-
【連載】 Mrs. GREEN APPLE 大森元貴 『ナニヲなにを。』 - 第4回 『モヤモヤの正体を。』 -
2015.03.20 00:00