【Czecho No Republic】
チェコとSKY-HIの共演が実現したコラ
イトシングル
写真左より時計回り、タカハシマイ(Cho&Syn&Per)、砂川一黄(Gu)、八木 類(Gu&Cho&Syn)、SKY-HI、山崎正太郎(Dr)、武井優心(Vo&Ba)
新境地に挑戦し続けるCzecho No Republicがニューシングル「タイムトラベリング」をリリース。ジャンルを超えた活躍が注目されているラッパーのSKY-HIと表題曲をコライト(co-write)した武井優心(Vo&Ba)にインタビュー!
今回のコライトはチェコ側からSKY-HIさんに話を持ちかけたそうですね。
対バンしたこともあるし、飲んだこともあるし、以前から交流はあったんですよ。“コライトで1曲、誰かと作りたい”という話になった時に、やりたい気持ちはあるんですけど、誰とやったらいいか分からないというか…もちろんやりたい人はたくさんいるんだけど、挙げていったらきりがないから、実現可能で、かつ一番面白そうなのは誰かって考えた時、思い付いたのがSKY-HIで。彼もバンド界にどんどん入ってきてるし、バンドと絡んでいきたいって気持ちも聞いていたから絶妙のタイミングとチョイスだと思いました。彼の日本武道館でのワンマンを観て、シンプルに技術やスター性とか、あと尖っている部分とか、感動する部分がたくさんあったんです。ただ、作曲においては結構苦戦しましたね。どんな曲が正解か分からなかったんです。でも、そのライヴを観た時にブルーノ・マーズを連想させるアプローチの曲があったんで、“そういう感じの曲がやりたいのかな、この人”って思ってホーンが入ったファンキーな曲を作ろうと思ったんですけど、それは違うなって。寄せてもしょうがないんで。なので、今度はシンセポップみたいな曲を作ったら、チェコらしさはあるけど、キャッチーじゃないっていう。そんなふうに二転三転しながら今回のストレートでシンプルな曲ができました。
チェコらしさもありつつ、新たに開けていくようなところも感じましたが。
メロディーがすごくいいですよね。サビなんて超キャッチーじゃないですか。でも、狙って書いたわけではない。“良かった。知らないうちにこの曲降ってきて”みたいな(笑)。“できて良かった”って、いつもそういう感想になっちゃうんですけど。
その後、曲ができてからはどんなふうにコライトしていったのですか?
サウンドとメロディーと“タイムトラベリング”ってテーマが僕の中にできて、こんな感じなんだけどって聴いてもらって。そこにラップを加えてもらいながら、SKY-HIにどんどん絡んできてもらいました。
ラップ以外の歌詞は武井さんが書いたのですか?
そうです。そうなんですけど、最初、僕が書いた時はもっとファンタジックだったんです。でも、SKY-HIのラップにメッセージがあったんで書き直しました。ラップってより明確にコアな表現ができるじゃないですか。今回、そういうものを求めていたんですけど、最初に書いた歌詞は抽象的だったんですよ。それでSKY-HIからアドバイスをもらって。
ファンタジックっていうのは?
『ドラえもん』でのび太が若い頃の両親やおばあちゃんを見に行くみたいなエピソードがあったと思うんですけど、いろいろなくしたものを取り戻しにいくというか、邪心がなかった頃の自分を取り戻しにいくというか、ノスタルジックな感じだったんですよ。それに対してメンバーは“で?”って反応だったんです。“で、何なの?”“いや、何なのって言われても”って(笑)。
あぁ、それで過去にタイムトラベルしながら未来に向かう気持ちを歌っているわけですね。
SKY-HIやメンバーと話し合いながら、過去で完結せずに最後は未来に向かっていくべきじゃないかって。それが一番きれいなエンディングになるというか、一番きれいなストーリーだと思ったんです。
ところで、当初はその「タイムトラベリング」と12人のゲストが参加した「MUSIC(チェコと12人の仲間たち)」の2曲の予定だったところに「For You」のアコースティックアレンジメントを加えたのはどんな理由から?
その2曲だけだとチェコとしてのアイデンティティーが弱いと思ったんですよ。チェコだけのものがないといけないと思って。まっさらな新曲を入れても良かったんですけど、新曲を入れて「タイムトラベリング」と闘わせてもなって。それで7月に大阪城音楽堂でワンマンライヴをやった時に好評だった「For You」のアコースティックバージョンをそのまま入れるって話になったんですけど、時間はあるんだから録ろうってことになったんです。ただ、僕は1回、バンドセットのアレンジを作っているんで、八木ならピアノも弾けるし、テンションコードにも詳しいから、違った解釈でやってもらえるんじゃないかって彼にアレンジしてもらいました。苦労してたみたいですけどね。やりすぎても良くないし、薄くてもダメだし、どういうところに落とし込んだらいんだろうって悩んでたみたいですけど、できるでしょって任せてたので(笑)。結果、八木っぽいものになったと思いますよ。
リアレンジには今現在ある曲を大事にしたいという気持ちも込められているそうですね。
ハイペースで4枚のアルバムを出してきたせいか、曲を育てるって意識がちょっと弱かったんですよ。それにサウンドもかなり変化してきたってこともあって、バランスが取れないという理由で、ライヴでも過去の曲をやらなくなっていたところもあって。シンセをバンバン使っている中で「For You」みたいな生のバンドサウンドを活かした曲はやりづらかった。でも、今は全部やれるようにしたいんです。僕がベースを弾いて、ギター2本、シンセ1台、場合によっては同期も交えながらっていうのが一番やるべきものなのかなって。今月末から始まる『リリースツアーじゃないツアー』も“新曲を聴きに来てください”っていうよりは、自分たちでも育て切れていないんじゃないかって思う過去の曲を、メジャーになってから出した4枚のアルバムからお届けしようと考えています。もちろん新曲もやりますけど、いろいろ武器も増えて遊べるライヴもできるようになってきた今のチェコを観てもらいたいですね。
取材:山口智男
アーティスト
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