【Dragon Ash】進化し続けるロックバ
ンドの魂を

L→R BOTS(Turntable)、ATSUSHI(Dancer)、桜井 誠(Dr)、Kj(Vo&Gu)、DRI-V(Dancer)、HIROKI(Gu)、IKuZoNE(Ba)

前を向くために進化し続けてきたDragon Ashというバンド。波乱に富んだその歩みをドキュメントタッチで歌い描いていくE.P.は、音楽や世代を超えた、人生を生き抜くための応援歌。
取材:早川加奈子

E.P.としては'00年の「Lily's e.p.」以来となる「SPIRIT OF PROGRESS E.P.」が完成しましたね。シングル「AMBITIOUS」を出した頃から、次のアルバムはミクスチャーバンドであることを意識した作品にしたいと発言していましたが、山嵐のSATOSHIさん、GNz-WORDのKO-JI ZERO THREEをフィーチャーしたリード曲「ROCK BAND~」の歌詞や音にも、すでにその心意気が表われている感じがしましたが。

Kj

それは受け取り手次第というか。まぁ、結果的にそうなればいいですよね。俺らとしては、同世代で、東京(Dragon Ash)と大阪(GNz-WORD)と湘南(山嵐)って感じで、ホームグラウンドが違うバンドが自分たちのライフスタイルを歌ってるっていう。でも、そういう曲が違う世代の人にも伝わってるから、『閃光ライオット』のテーマ曲にしてもらえたんだと思うし、それはいいことだよね、そういう(世代を超えて心を打つ)曲になったっていうことだから。

そこには、ミクスチャーバンドとして、もう一度シーンが活性化するための起爆剤になれば、という思いも込められていますか?

Kj

そこを狙ってるわけじゃないけど、不可抗力としてそうなればいいよね。

ATSUSHI

ミクスチャーバンドとしての意識みたいなもの…そういうことを具体的に口に出しては話さないけど、メンバーみんなの中にもそういう意識は自然とあるのかなって感じはしますね。

その辺りの意識が、強い言葉と音で歌われているのが、以前「Palmas Rock」(6thアルバム『Rio de Emocion』収録)でもフィーチャーしたAGGRESSIVE DOGS のUZI-ONEさんを再び迎えた「GHOST REMAINS FEAT.UZI-ONE」。

Kj

「GHOST REMAINS」って、AGGRESSIVE DOGSの昔の同名曲でもあって。アンサーソングではないんだけど、長く音楽をやってたらいろんな思いとか、邪念とか、ジレンマとか欲求があるんだけど、音楽やってる時ぐらいはその亡霊を振り払って無我の状態でやっていたいっていう意味で、俺はこの曲を歌ってますね。

Dragon Ashでは珍しいタイプのギターソロが鳴っていたりもするところも新鮮だな、と。

Kj

「BEAT SURF FEAT.PES,VERBAL」(「AMBITIOUS」に収録)でも使ってるんだけど、こういういかにもっていうかたちではやってなかったかもね。最近は、シンセでできる音もなるべくギターやベースで出してみたりとか。そういう、シーケンスとかでやるんじゃなく、ロックバンドでできること、ライヴで再現できることはちょっとは意識してるかな。

BOTS

この曲もそうだけど、最近、改たにDragon Ash作品に食い込んできた変拍子っていうものに最初は苦労しましたけどね(笑)。でも、ライヴでやったりすると結構楽しいですね。

そんな「GHOST REMAINS」や「ROCK BAND」とは対称的な1曲が、新たな人生の岐路に立つ仲間への思いが歌われた「TIME OF YOUR LIFE」。

DRI-V

これは聴いてると映画みたいにその世界の中に入り込んじゃう1曲というか…。

IKuZoNE

で、(歌詞世界の)重い世界観が、エンディングに向かって行くところのギターのおかげで急に開けるんだよね。

Kj

俺は、解散するバンドとかに対してさわやかに受け取れないタイプというか。また孤独になった…みたいに思うので、すごく仲いい友だちの解散ライヴとかも行ってないっていうか。そういう自分のためにもこういう曲を書くのは意味があることだなと思って作ってみたっていう。

そういう自分の思いに対するレクイエム的なニュアンスも?

Kj

相当悩んだんですけど…まぁ、そうだよね。最後にこういうことを思える、言えたから曲にしたっていう。でも、決して悲観的ではないんだよね。

そんなE.P.のラストを飾るのが、一見スムースに聴こえるけど、実は実験度の高い試みが詰まった1曲「PARTIAL BLIND」。

Kj

この曲だけは月イチレコーディング(Dragon Ashは月1曲必ずレコーディングしている)でできた曲じゃなく、このEPのために書き下ろした曲で。曲調的にはさらっと聴けるんだけど、実は変拍子だったり変な韻の踏み方してたりとか。こういう曲にスクラッチとかティンパレスとか、多分、前代未聞なんじゃないかなって思うから。

IKuZoNE

「ROCK BAND」や「GHOST REMAINS FEAT.UZI-ONE」が『LILY OF DA VALLEY』(4thアルバム)だとしたら、「PARTIAL BLIND」は『HARVEST』(5thアルバム)かなっていう。

桜井

そういう意味でも、いろんなDragon Ash が入ったE.P.だよね。

そんなE.P.には、“SPIRIT OF PROGRESS E.P.”という、まさにDragon Ashというバンドの歩みを象徴するタイトルが付けられているわけですが。

Kj

タイトルは後付けではあるんですけど…やってることは音楽なんだけど、でも進化の精神を持っていて、かつそれだけでなく、きちんと人とつながろうとする努力も怠らないっていうこと、かな。次のアルバムではそこをゴリッと、ミクスチャーバンドとしてうまく見せられたらなって思ってます。

「SPIRIT OF PROGRESS E.P.」 2010年11月03日発売
MOB SQUAD/ビクターエンタテインメント

  • 初回盤(CD-EXTRA仕様)
    VICL-36619 1260円

  • 通常盤
    VICL-36618 1260円

Dragon Ash

ドラゴン・アッシュ:1997年、Kj、IKUZONE、桜井誠の3人でデビュー。その後、BOTS、HIROKI、ATSUSHI、DRI-Vが加入し7人編成になるも、12年にオリジナルメンバーのIKUZONEが急逝。13年、現在のメンバー6人で再び前進することを決意する。今アルバムよりKenKenがレコーディングに全面参加。デビュー時よりあらゆるジャンルを驚異的なスピードで横断し、Dragon Ashとしか表現しようのない音を鳴らし続けている。