【日本工学院専門学校Presents 『E
xceed The Limit』 公開インタビュ
ー】ツアーで寝食をともにするスタッ
フはメンバーと同じ!

L → R  藤森元生(SAKANAMON)、 Sachiko(FLiP)、 クボ ケンジ(メレンゲ)

12月18日に赤坂BLITZで開催するイベント『Exceed The Limit』に向けて、当日出演する各バンドから代表して、メレンゲのクボ ケンジ、FLiPのSachiko、SAKANAMONの藤森元生を招いて公開インタビューを実施。イベント当日に制作を担当する日本工学院の学生を前に、テーマの“LIVE”について語ってもらった。
取材:榑林史章

ステージを制作することを学んでいる学生にとって、ステージに立っている側のアーティストの生の声は、すごく貴重なものになると思います。そこでまず最初にうかがいたいのは、毎回ライヴに臨む時の気持ちについてなのですが。

クボ

基本的には、今日が最後のライヴになっても悔いはないっていうくらいの気持ちでやっています。同時に、ツアーは生きものなので、その都度で違う気持ちがあって。一発目は力が入っちゃうけど、力を入れることがいいライヴにつながるわけではないし…。入りすぎず抜けすぎずが良いかなって。

Sachiko

セットリストが同じでも、心持ちひとつでその日の歌が変わるし、目の前のお客さんが違えば、煽り方も変わるので、同じ気持ちのライヴは1本もないですね。ライヴが始まる前はすごくいろいろシミュレーションするけど、いざ音が鳴った瞬間、真っ白になって…でも、それは悪いことじゃなくて。それが、この瞬間を生きてるっていう感覚につながる。

藤森

おふたりとも、いろいろ考えてらっしゃってすごいな〜と思いました。僕は単純にライヴ前は緊張して、上手くいくかな?と考えたり、あたふたしてるだけで…(笑)。

その緊張を取り除くために何かしたりは?

藤森

何をやっても緊張がほぐれることはないので…(苦笑)。失敗してもいいぐらいに、良い意味で開き直ります!

では、印象に残ってるライヴは?

藤森

初ワンマンです。僕らの曲ってノリにくいのが多いんですが、それでもノッてくれてるのを見ると、妙で気持ち悪いけど、逆にすごい気持ち良くて(笑)。びっくりしたし、快感でした。

Sachiko

トラブルがあった時はよく覚えていますね。1曲目から私のギターの音が出なかった時があって。開き直ってギターを置いて、ハンドマイク1本で暴れました。メンバーが機転を利かせてセッションでつないでくれたのも心強かったし。あのハラハラ感は、ライヴじゃないと体験できないと思います。“ヤバイ! でも、楽しい!”みたいな(笑)。

クボ

僕はライヴの日に体調を崩してしまって、声が出ないことがあって。でも、本番が始まったら不思議と声が出たんです。そういうマジックがライヴにはありますね。

次は、学生から集めた事前アンケートで、もっとも多かった質問です。バンドにとってライヴとは? お客さんとは?

クボ

今は本当にCDが売れない時代で、でも一方でライヴの動員は伸びているという側面もあって。今後はライヴが重要になると思います。つまり、ここに集まっている学生さんたちは、卒業されたらすごく重要な役割を担うわけです。お客さんはお金を払って観に来てくれるわけだから、やっぱり真剣に向き合いたいですよね。そういう意味では、ライヴもお客さんもバンドにとっての本質であることは変わらないと思います。

藤森

ライヴってどんなお客さんがCDを聴いてくれているのかも分かるし、CDの曲を生で聴いてノッてもらって、それに対して僕らは“こういうふうにノッてくれるんだな〜”って思うし。会話という、コミュニケーションができるのがライヴです。

Sachiko

私の場合、ライヴは自分の今を見られて、プラスこれからも見られるところ。超悶々とした悩みを抱えている時、ライヴをやると答えが見つかることがあって。私は本当はこういうことが歌いたかったとか、やっぱりライヴが好きだとか、そういうシンプルな考えに戻れる。で、戻った時に次が見える。それに、みんなの笑顔はもちろん、一緒に歌ったり騒いでくれているのを観ると、何でこんなにも一体感は気持ちがいいんだろうって、言葉に言い表せない気持ちが生まれるし…。自分たちだけじゃなくて、みんなとひとつになることで初めて成立するのがライヴなんじゃないかなって。

さて、この後は直接、生徒からの質問を受けてみます。

生徒

スタッフからしてもらって嬉しかったことはなんですか?体験談を聞かせてください。

Sachiko

私は単純に、挨拶してもらうとすごく嬉しい。挨拶を交わすだけでちょっと仲良くなれて、それが良いライヴにしたいっていうモチベーションのひとつにもなりますね。

藤森

“ガムテープ貸してください”って言いやすいし(笑)。僕は基本的に、誰でもやさしくしてもらえると嬉しいです。

クボ

僕は歌詞が飛んじゃった時、音が出てないよってPA さんのせいにすることもあるので(笑)、いろいろ支えていただいています。照明やPA などのスタッフって、ツアーになれば何カ月も寝食をともにするし、自分の出したい音も歌う環境もP A さんや舞台演出の方の手にかかっている。そういう部分では、メンバーと同じくらい大事な存在ですね。

生徒

3人ともギター&ヴォーカルということで、その部分での強みや魅力は何だと思いますか?

藤森

僕は単純に、ぽつんと立って歌うのが手持ちぶさただし、恥ずかしいんです。でも、ギターを持ってると安心します。

クボ

これはバンドでアレンジを固める時の話ですが…ギター&ヴォーカルの場合は詞曲を作ってる場合が多くて。その曲の雰囲気やニュアンスをギターでメンバーに伝えることができるので、他のメンバーも混ざりやすいというか。

Sachiko

あと、もし私がヴォーカルのみだったとしたら、楽器の弾けない自分と楽器陣との間に、見えないラインができてしまうと思って。ギター&ヴォーカルだと演奏隊の一員にもなれるし、ヴォーカルとしても自立できるし。バンドとしての一体感という部分で、私はこっちのほうが好きです。

生徒

藤森さんは工学院の卒業生ということですが、当時、この時期に将来への不安や焦りはありましたか?

藤森

僕はレコーディング系の学科だったんですが、自分でレコーディングできる技術を身に付けたら実家に帰って、ずっとフリーターしながら曲作りできればいいと思っていたので…でも、今こうしていられるのは、工学院で一緒になったベースの森野さんのおかげ。森野さんが自分の就職も蹴って、僕をバンドやデビューへ引っ張ってくれた。勉強も大事だけど、いい友達を持つことも必要じゃないですかね!

では、最後に『Exceed The Limit』当日に向けての意気込みを!

クボ

一緒にいいステージを作りたいですね。

Sachiko

スタッフさんの気持ちも掻き立てるようなライヴにしたいです。めっちゃいい日にしましょう!

藤森

ステージ裏は、お任せします。僕は歌を頑張ります!

SAKANAMON

上京と同時に組んでいたバンドが解散し、一人で曲作りを続けていた藤森元生(Vo/Gt)が、2007年12月に専門学校の同級生である森野光晴(Ba)と出会って結成。“聴く人の生活の肴になるような音楽を作りたい”という願いからSAKANAMONと命名する。自主制作で音源を発表する中、2010年5月には初の企画ライヴ『SAKANAMON THE WORLD』を開催。徐々に注目が集まり始め、2011年9月、1stミニアルバム『浮遊ギミック』を全国リリース。同作はタワーレコードのプッシュ・アイテム“タワレコメン”に選出され、そのリード曲「ミュージックプランクトン」は各局でパワープレイを獲得。『MINAMI WHEEL‘2011』、『shimokitazawa roundup4』、東京カランコロン主催の『ワンマソフェス2012』などのサーキット・イベントに出演し、入場規制となるほどの人気を博した。2012年8月に行なわれた東京・大岡山PEAK-1での初ワンマン・ライヴは数分でソールドアウトし、そのワンマンでメジャーデビューを発表。同年12月、1stフルアルバム『na』をリリースする。2013年4月にはメジャー1stシングル「シグナルマン」を発表。“サカなもん”というマスコットキャラクターを従えつつ、爽快かつキャッチーなギターロックサウンドを聴かせ、ファンを着実に増やし続けている。

FLiP

フリップ:05年10月6日(金)沖縄那覇市国際通りのマクドナルドにて高校2年生だった渡名喜幸子(vo&g)が「とにかくカッコイイ女の子バンドを組みたい!!」という強い衝動から、中学時代の同級生である(g&cho)に相談を持ちかける。その後高校の同級生、宮城佐野香(B&cho)、玉城裕未(dr&cho)が加わりFLiPを結成。バンド名のFLiPは、「弾く」「ぴしっと打つ」などの意味合いを持つ。

沖縄・那覇市を中心にライヴ活動を続けるなか、08年6月にMONGOL800を輩出したインディーズ・レーベル<ハイウェーヴ>より1stミニ・アルバム『母から生まれた捻くれの唄』をリリース。09年3月には、テキサス・オースティンで行われた『SXSW 2009』に参戦、そのまま全8ヶ所9公演を廻る全米ツアーを敢行。その後、チャットモンチーや9mm Parabellum Bulletを手がけるいしわたり淳治をサウンド・プロデューサーに迎えて10年3月、<デフスターレコーズ>よりミニ・アルバム『DEAR GIRLS』でメジャー・デビュー。

メレンゲ

メレンゲ:02年、クボケンジのソロ・ユニットとしてメレンゲは活動を開始し、同年にはミニ・アルバム『ギンガ』をリリースした。翌03年、新たにヤマザキタケシ(dr)とタケシタツヨシ(b)が加入、3人組として再始動。同年には2ndミニ・アルバム『少女プラシーボ』を発表している。それまでの活動の実績が認められてか、04年には2枚のミニ・アルバム『サーチライト』『初恋サンセット』をメジャー・レーベルから立て続けに放っている。
05年に入るとライヴ活動にもさらなる熱と力を入れて日本全国を飛び回り、いよいよ06年には初のフル・アルバム『星の出来事』を発売。そんなメレンゲのサウンドの特長は、聴き手の脳裏に浮かんでは消えていく様々な風景にあると思う。つまりは頭に中に情景を思い浮かばせるシネマティックな音楽を、彼らは儚くて淡くて少しロマンティックな演奏を通して表現しているのだ。

アーティスト