宇多田ヒカル、衝撃のデビュー作『F
irst Love』。 日本の音楽シーンの新
世紀はここから始まった!
先日、宇多田ヒカルが9月28日に通算6枚目のオリジナル・フルアルバム(タイトル未定)を発売することが発表された。詳細も分からぬままに2カ月以上も前から音源発売が一般告知されることもなかなかないが、2008年3月にリリースした『HERAT STATION』以来、実に8年半振りの新作。さらには10年12月以来、アーティスト活動を休止して、“人間活動”に専念していた国民的シンガーソングライターの本格始動とあっては、それも当然なのかもしれない。99年、まさしく彗星の如く登場し、瞬く間にシーンの話題を独占した天才少女、宇多田ヒカル。その衝撃のデビュー作を振り返る。
邦楽史上最高セールスという金字塔
クラブシーンからの潮流
コーラスを含めた歌唱の確かさ
バイリンガルならではの革命的リリック
《声を聞けば自動的に sun will shine》《アクセスしてみると 映るcomputer screenの中/チカチカしてる文字 手をあててみると/I feel so warm》(M1「Automatic」)。
《悩んだって仕方ないよ/I just can't control the time/この長いRunwayから青空へTake off!》(M6「time will tell」)。
《I'm searching for you my dear/In theまわるいろ模様》(M9「Another Chance」)。
日本語も英語もネイティブというバイリンガルならではの特徴を最大限に活かした──と言うよりも、おそらくそれすらも意識していないと思われるシームレスな言葉の使い方は、日本芸能史における偉大なる発明のひとつと言えるだろう。桑田佳祐、佐野元春、あるいは岡村靖幸以来の衝撃だったし、70年代初頭の“日本語ロック論争”をいとも簡単に一蹴するような手法でもあったと思う。
《最後のキスはタバコの flavor がした/ニガくてせつない香り》(M4「First Love」)。
“匂い”でも“香り”でも、ましてや“味”でもなく、“flavor”。どうしてこういう言葉のチョイスができたのか。天才の所業は凡人には分からないが、このメロディーに最も合うのは“flavor”であることは疑いようがない。少なくとも大衆に認知された手法やテクニックの中で、この発明を超えるものまだ現れてないと思う。
(本稿作成にあたって、DJ yanatake氏の宇多田ヒカル論をかなり参考にさせてもらった。『DJ yanatake 宇多田ヒカル』で検索すると氏の論説を見聞きすることができると思うので、ぜひ探していただきたい。この拙文よりも的確で素晴らしい)。
著者:帆苅智之
アーティスト
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