「24時間テレビ」のマラソンランナー
発表に思う:“ドラァグクイーン”エ
スムラルダ連載52

エスムラルダの「勝手にワイドショー!」

連載第52回 「24時間テレビ」のマラソ
ンランナー発表に思う

「24時間テレビ」の今年のチャリティマラソンランナー、DAIGOに正式決定したわね。
現時点で走れるのは3kmくらいとのことだし、前後には再始動したBREAKERZ(DAIGOがボーカルを務めるロックバンド)のライブがあるらしいし、果たして完走できるのかしら……。
 なーんて書いておいてナンだけど、ごめんなさい。それほど本気で心配しているわけじゃないの。というか、「24時間テレビのマラソンのランナー発表」自体は「AKB48の選抜総選挙や流行語大賞の結果発表」とか「紅白歌合戦の出場歌手発表」みたいに風物詩的に話題になるものの、「完走できるかどうか」を気にしたり、懸命に走る姿に感動したりする人って、(ランナーのファンを除けば)もはやそんなにいないわよね……? 多くの人にとっては、「紅白で紅組と白組、どちらが勝ったか」というのと同じくらいの関心レベルになっているんじゃないかと思うんだけど、どうかしら。

 でもね、最初の頃は違ったのよ。ババアの思い出話になって申し訳ないけど、間寛平さんが初めて走った1992年(この年は沿道に人が殺到し、途中でリタイア)や、200km走り切った1993年は、無事時間内に完走できるかハラハラしたし、ゴールした時には感動もしたわ。別に、寛平さんの熱烈なファンというわけでもなかったのに、なぜあんな熱い気持ちになったのか、今思うと不思議。アタシも若かったってことかしら(そんなアタシも、今では当時の寛平さんと同じ歳に……。ハッ。そう考えると、やっぱり寛平さんすごい。この歳で、真夏に200kmとか600kmとか走ったら、確実に死ねる……)。

 というか、そもそも昔は「24時間テレビ」というもの自体が、一種のお祭りだったのよね。「何かすごいことをやってる」感があったし、「いつ何が起こるかわからないから、目が離せない」とか思ってたし、観ているうちに、なんだかよくわからないけど「募金しなきゃ」という気持ちになったし(お祭りに行くと「何か買わなきゃ」と思う、あの気持ちに似てる)。
 その後、さまざまなスキャンダルや都市伝説(チャリティと言いつつ、出演者には高額のギャラが支払われているとか、マラソンでやらせが行われているとか)が噴出。さらにテレビの終日放送が当たり前になったこと、視聴者が以前に比べ、メディアに踊らされにくくなったこともあって、「24時間テレビ」の特別感が薄れていったわけだけど、あの「多くの人が同じものを共有している」という感覚、今ではちょっぴり懐かしいわ……。

 それにしても、DAIGO。一時期はメンタリストの方に、すっかり「DAIGO」枠をとられていた感があったけど(ほんとかよ)、今年になってから北川景子との交際宣言、24時間テレビのランナー決定と、やたらネットニュースで名前を見かけるように。しかも、いずれのニュースも、「俺の景子をとりやがって!」とか「もともと走ること決まってたんだろ」とか、いくらでも叩かれそうなネタなのに、少なくともツイッターとかを見る限りでは、あまりアンチがいないのよね(むしろ、「断れない状況に追い込まれて、DAIGOがかわいそう」と日テレが叩かれてる……)。血筋ゆえの「金持ち喧嘩せず」感が、好意を持って受け入れられているのかしら。あるいは、元首相のお孫さんを守るため、自●党が総力を挙げて(以下略)。

「大変な割に、あまりメリットがない」という意見もある24時間テレビのマラソンランナーだけど、DAIGOにとっては結構プラスに働いている気がする、今回の一件。ネタにした以上、当日はアタシも久しぶりに観てみるわ。もう一度、かつてのようなハラハラとか感動が味わえますように……?

【エスムラルダ:プロフィール】
えすむらるだ…1972年生まれ。94年よりドラァグクイーンとしての活動を開始し、各種イベント、メディア等に出演。2002年、東京都の『ヘブンアーティスト』ライセンスを取得。脚本家・ライターとしても活躍している。

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