バニラビーンズ・リサが語る、音
楽への向き合い方「ライブの感動を、
内に秘めてたらもったいない」

(参考:【インタビュー】「私は2年後、AKB48にいない」峯岸みなみと加藤玲奈が明かす、グループの世代交代と今後)

 メンバーのリサは、TBSラジオの音楽番組『高橋芳朗 星影JUKEBOX』(2013年4月7日〜2014年3月30日)へのレギュラー出演などで、熱心な音楽ファンとしても知られていることから、今回、リアルサウンドでは彼女に自身の音楽観をたずねるインタビューを実施。音楽にのめり込むことになったきっかけから、ロック好きでありつつアイドルとして活動することへの考え方、さらには新曲の仕上がりについてまで、じっくりと語ってもらった。聞き手は、音楽雑誌を中心に活躍する編集者の上野拓朗氏。(リアルサウンド編集部)

・「ビートルズよりもキンクスのほうが好きだった」

――リサさんが音楽を熱心に聴くようになったきっかけは?

リサ:母親がザ・ビートルズを好きで常に家で聴いていたっていうのもあるんですけど、中学生の頃にザ・キンクスってバンドを知って。そこからですね。「ユー・リアリー・ガット・ミー」のイントロは知ってましたけど、それがキンクスの曲だと知って超カッコいい!って。みんなビートルズがいいって言ってるけど、私はキンクスのほうがいい!って。それをきっかけに、いろんなCDを買って聴いてみたり……っていうことが始まりました。

――中学校の同級生はどんな音楽を聴いていたんですか?

リサ:当時はテレビドラマの主題歌がトップ10に入ってるような時代だったんですよね。洋楽だとブラック・アイド・ピーズが流行ってたかな。私は一時期、なぜかグッド・シャーロット好きだったことがあって、それは高校生の頃だったんですけど、なんで好きだったんだろう? 覚えてないですけど、たぶんどこかで耳にしてカッコいいと思ったのかもしれない。

――リサさんの口からグッド・シャーロットの名前が出てくるとは!

リサ:みんな一瞬、寄り道するんですよね(笑)。やっぱりグッとくるんです。そういう意味では、中学生の時はブラック・アイド・ピーズやスウィートボックスも好きで、ずっとそればっかり聴いてました。あれは何なんでしょうね? その熱はあまり持続しないけど、自分の中に意外と深く刷り込まれてる。イントロを聴いた瞬間、「ハッ!」って。

――(笑)僕の場合は80年代後半のボン・ジョヴィやデフ・レパードとかが、そういう存在になりますね。中学生の頃、ほぼ毎日聴いていた時期があったのに、1年くらい経って聴かなくなってしまった。

リサ:そのあと追わないんですよね(笑)。

――はい。でも、どこかでイントロを耳にするとすぐわかります。

リサ:そういう意味で最近また熱が走ったのが、GLAYさんで。この前の「GLAY EXPO 2014 TOHOKU」も行ったんですけど、めちゃくちゃカッコいいなって。中学生の時に聴いてたんですけど、大人になった今、改めてその歌詞を見てみると、世界観がキレイで素敵なんです。昔も今も活動をずっと続けていて、そのカッコよさが色あせないっていうのは、すごいことだと思います。

――話を戻しますけど、キンクスを聴いている時、周りにそういう音楽を聴いている友達は誰かいたんですか?

リサ:いなかったです。だから、音楽の話は友達とはしたことがないですね。高校生になって怒髪天とか聴くようになったんですけど、そういう話も友達としたことはないです。当時はライブにも行ってなかったので、CDを買ってきて家でひとりで聴く……みたいな。あとYouTubeが流行り始めた頃で、ライブ映像ばかり見てました。思い返すとヘンな高校生ですね(笑)。ちょっと怖い。

――(笑)将来は音楽の世界に進みたいとか、そういうことは考えなかったですか?

リサ:音楽をお仕事にしようと思ったことはなかったですね。ファッションも好きなので、海外に行ってファッションで仕事をしたいなって思ってました。

――じゃあ、音楽は本当に自分だけの楽しみって感じだったんですね。

リサ:はい。あとはラジオとか……超ネクラですね! やっぱり怖い(笑)。深夜ラジオが友達みたいな感じで、ラジアンリミテッドやJUNK、オールナイトニッポン、ほとんど聴いてました。当時は爆笑問題のJUNKを聴いてる人がこの世の中にいるなんて思ってなかったんですよ。私ひとりだけが聴いてるんだろうって思っていたら、最近になって同じようなリスナーさんが実は周りにいっぱいいました(笑)。

――(笑)そんな学生の頃、どんな大人になるんだろうなぁって思ってましたか?

リサ:OLには絶対にならないだろうなって思ってました。毎朝、同じ時間に起きて同じ電車に乗って、同じところに行って同じ時間に帰るみたいな生活は、私は絶対しないだろうなってなんとなく思っていて。だから、大学に行く時も、学部は芸術学科だったんですけど、映画とか音楽とか舞台とか全部が学べる学科だったので、迷わずそこに行きましたね。私は絵画が好きで、西洋絵画を大学では専攻してたんですけど、映画も舞台もその時に一気に学べたので。

・「夢と現実のギャップで驚くことはない」

――今のお仕事はいつから?

リサ:大学に入ってから始めました。モデルの仕事ができるよって、当時の社長にそそのかされて、結果的にアイドルになったんです(笑)。大学行きながらモデルができるならいいかなって。たぶん最初からアイドルって言われたら、私はやってなかったですね。それにバニラビーンズも最初は2人組ユニットっていう感じで、アイドルの括りじゃなかったんですよ。それが時代の流れなのかはわからないですけど、今はアイドルという枠に入ってる感じです、感覚的には。活動していくうちに、アイドル戦国時代っていうのが生まれて、アイドルがたくさん増えて……7年くらい活動してると、そんな歴史もあります(笑)。

――リサさんは、そういう変遷をどう見てるんですか? 

リサ:私は常に客観的だと思います。アイドルにすごく憧れてアイドルになってたら、夢と現実のギャップで驚くことが多いと思うんですよね。私にはそういうのがいっさいないので。“あっ、こういうものか”とも思うし。でも、アイドルって今は大人数のグループが多いから、アイドルって枠の中でバニラビーンズって2人組がどうやったら異質に見えるかなっていうのは、すごく考えますね。

――アイデアを出し合ったりするんですか?

リサ:はい。結構考えますよ。2年くらい前からバニラビーンズ主催で、生バンドとの対バン企画を新宿ロフトで継続してやってるんですけど、それもなんとなく見慣れたメンツとやるんじゃなくて、絶対にほかでは対バンできないような人にお願いしてます。ザ・コレクターズさんやD.W.ニコルズさんやSCOOBIE DOさんとか。たぶんほかのイベントで一緒にやれることはないだろうし、それだったら自分たちのイベントで一緒にやったらなんか面白いことが起きそうだなって。

――面白さってところで言うと、音楽、衣装、アートワークも含め、バニラビーンズの作品には“らしさ”がありますよね。「バニビっぽい」というか。最新シングルの「有頂天ガール」もそうですけど。

リサ:そうですね。ただ、今回のチアガールの衣装にはビックリですね。来年や再来年はこの服は着れないと思います。ちょと年齢的にもキツいかなって。

――そんなことないですよ。衣装もかわいいじゃないですか。

リサ:でも、まだオシャレとは一度も言われてないんです(笑)。私たちの場合、ありがたいことに衣装や服がオシャレだねって言われることが多いんですけど、この曲に関してはまだ言われてなくて。かわいいって言えばなんとかなっちゃうところが、女の子の場合はありますからね。だから、もうちょっと頑張らないとなって。でも、この「有頂天ガール」は、年末に向けて忘年会とかでいろんな人に歌ってもらえるような、みんなで元気に盛り上げていけるような曲にしたいです。

――リサさんはライブとか観に行ったりしてます?

リサ:行きますよ。爆弾ジョニーのライブにはよく行きます。爆弾ジョニーのライブってチケット代が2000円くらいなんですよ。バニビもそうなんですけど、学生の子とかが来やすいように安く設定されていて、ちょっとでも気になったら絶対観に行ったほうがいいと思います。

――リサさんのお友達もライブに行く人って多いんですか?

リサ:行く人は行ってると思うんですけど、OLの友達は行ってないです。本当に音楽が好きな人だけですかね。でも、もっとみんなライブに行けばいいのにと思っていて。つたない言葉ですけど、私はライブに行ったら感想をツイッターとかに書くし、もう熱量だけでしか生きてない人なんですよ。だけど、ライブに行ったらわかりますけど、あの熱気を体感した経験みたいなのって、内に秘めてたらもったいないじゃないですか。だから、私はそうやって外に向かって発信しているし、それがちょっとでも誰かに伝わればいいなと思ってます。

――12月18日にはバニラビーンズのワンマンライブが控えてます。

リサ:ワンマンはぜんぜんやってなくて、2年半ぶりくらいにやるのかな。だいぶ大きめのハコなんですけど、これからみんなでいろいろな練って楽しいものにするので、ぜひ来てください!

(取材・文=上野拓朗/POKER FACE)

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