内田 彩

内田 彩

【内田 彩 インタビュー】
再会した方々と
一緒に制作できることが
何にも変え難い幸せ

“まるで元気”な内田 彩の
音楽をお届けしたい

先ほど“王道な作品”という言葉もありましたが、3曲目の「Roman tic-tac」、5曲目の「Because of you」なども、3rdアルバム『ICECREAM GIRL』(2017年9月発表)に収録されていそうなサウンドです。

そう言ってもらえて良かった。実は楽曲決めの際には気づかれていなかったのですが、「Roman tic-tac」はバンドメンバーとしても活動当初から支えてくださっていた宮崎京一さんが作曲してくださったんです。ここでも知らないうちに“Reunited=再会”していたんですよ。

そうなんですよ。クレジットを見てぶち上がってしまいました! しかも、トラックはディスコファンク調で。内田さんのアルバム楽曲って、まさにこういう雰囲気だったなと。

デモ音源の時点では別のタイトルで、その当時に比べるともう少し大人っぽくなりました。もともとは1970年代のディスコビートやAORが構想にあったらしいのですが、最終的には今っぽいディスコ調のロマンチックな楽曲になったとうかがいました。

なるほど。「Because of you」はK-POPのようなチルR&Bですね。

アルバムのテーマが“今”だったので、この楽曲も今っぽいサウンドに挑戦しつつ、「Roman tic-tac」よりも大人っぽい歌い方を目指しました。どの楽曲でも新しい雰囲気を出したいと思いながら、内田 彩のソロ活動のイメージからはみ出さないように調整するのが難しいんですよね。“本当はみんなに見せていない表現で歌ってみたい!”と思うこともあるんです。ただ、そうすると仮歌のイメージに引き込まれたり、時には“誰が歌っているの?”と感じてしまうこともあったり。それで、最終的には私のイメージに近づけるためにキーを上げることもしばしば…。

内田さんが考える“内田 彩らしさ”とは具体的に?

なんだろう…自分の声の特徴や“この伸びの部分が好き”など、私自身も客観的にいいなと感じられるところは、ファンのみんなも好きでいてくれるはずだと考えています。

近年は新たなアプローチとして、楽曲の聴かせどころで低音ヴォーカルを用いている印象がありますからね。「KANRANSHA」や「運命じゃなかった」もそうですね。

「運命じゃなかった」は、“アコースティックR&Bバラード”がテーマでした。当初はコーラスも用意していたのですが、あえてそれは入れず。イメージとしては、透明感を意識しながら、情感を込めるよりもフラットで、大人っぽさよりもピュアさを大切にしました。歌い方によって、すごくいろいろな歌に聴こえる楽曲だと思うんです。

アルバム収録曲の情報が解禁された当初、SNS上では少々ざわつきが見られましたね。「Destiny」(Destiny=運命)の直後に対になるようなタイトルの「運命じゃなかった」が並んでいたので、確かに驚くことも無理ないのですが。

歌詞の内容を知っている私たちはさておき、タイトルだけを見るとそう見えちゃうか。まったく意図せずでしたね。この並びに特に深い意味もないです!(笑)

(笑)。では、この並びになった意味は?

恋愛だけではなく、私で言えば音楽活動を約10年にわたり続けてきて、“これは運命だ”と信じながら続けてきたことも自分ではどうしようもない状況に見舞われて、実現できない経験をたくさんして…そんな時にモヤモヤした感情に折り合いをつけるために“運命じゃなかったから、実現できなかったんだ”と言い聞かせてしまうんですけど、そんな時ってないですか?

確かにあると思います。

「運命じゃなかった」の《無邪気な頃の二人は 運命だったけど/長い時 経って気付く/運命じゃなくなったこと》という歌詞のワンフレーズ。“運命じゃなかった”ではなく、“運命じゃなくなった”ってあるんです。

決められた運命だったのではなく、何かのきっかけで運命が変わってしまったと。

人の気持ちも運命も後づけでしかなくて、うまくいったら運命。うまくいかなかったら運命じゃなくなった。そう思い込むことで、自分の気持ちに区切りをつけるんですよね。そんな細かな表現がドラマチックだなと思いました。

自分のドラマは自分で描くしかないですからね。恋の物語のほか、自分の物語と向き合うという意味でラストの「声」に繋がる流れも理解できました。ところで、今回の曲順はどのように決まったのでしょう?

それこそ新曲のうち最後に録り終えたのが「運命じゃなかった」で。井上さんがレコーディング終わりに曲順の候補を2パターン持ってきてくれたんです。結果的に井上さんの2案をいいとこ取りした案を閃いたので、それがこの収録曲順になっています。最初のほうに新曲を並べることで“アルバムを初めて聴いた時にワクワクしてもらえるかな?”ということを考えていましたね。

今の内田さんの全てを感じられるアルバム『MUSIC』ですが、最後に改めて教えてください。約10年前、『アップルミント』を発売した当時から考えて、アーティスト・Aya Uchidaとして大きく変化したと感じるところは?

最初の頃から比べると、考え方が丸くなりました(笑)。当時は自分に自信がなくて、アーティストとして何ができるのかを考えていて。そんな私でも約10年間も活動を続けていると、音楽活動を通して周囲の方々の人生に少しでもかかわりを持つことができたんだと感じています。過去の私を見てきてくれた方々とお仕事をできることって、信頼感が桁違いなんです。

その象徴が現在のチームであると。

今回のアルバムが“MUSIC”というタイトルに決まった時、“そんな大々的なタイトルにするの!?”って、すごく照れていたのですが(笑)。とはいえ、ストレートに“音楽”ではなく、内田 彩の音楽活動という意味であれば、とても素敵でしっくりくるともとらえられていて。制作前の会議の光景を見ていて、“Reunited”したチームのみんなと一緒に新しい作品を制作できること、そして制作を楽しめる環境に身を置かせてもらっていることが、何にも変え難い幸せだと改めて感じましたね。

内田さんは今後も誰からも愛されるアーティストなのだろうなと思います。

例え作詞も作曲もできなくても、周囲の人がありのままの私を認めてくれることもある。チームのみんなといると“これで良かったんだ”って思えるんです。なので、これからも元気なところ、そしてたまにはちょっとだけ元気じゃないところも見せながら、肩肘を張らず、“まるで元気”な内田 彩の音楽をお届けできたら嬉しいです。

取材:一条皓太

アルバム『MUSIC』2023年11月8日発売 日本コロムビア
    • 【初回限定盤】(CD+Blu-ray)
    • COZX-2055~6
    • ¥4,400(税込)
    • 【通常盤】(CD)
    • COCX-42124
    • ¥3,300(税込)

ライヴ&イベント情報

『AYA UCHIDA LIVE 2023 Welcome to Uchida Party!』
11/12(日) 東京・山野ホール
昼公演:13:45 開場 / 14:30 開演
夜公演:17:45 開場 / 18:30 開演

『内田彩 5thアルバム『MUSIC』発売記念ミニライブ in 科学技術館サイエンスホール』
11/18(土) 東京・科学技術館サイエンスホール
昼公演:14:30 開演
夜公演:17:00 開演

内田彩 プロフィール

ウチダアヤ:7月23日生まれ、群馬県出身の声優・アーティスト。『ラブライブ!』南ことり役や『ワッチャプリマジ!』弥生ひな役、『ぷにるんず』らぶるん役など数々のアニメでメインキャストを務める。2015年にはμ'sのメンバーとして、『第66回NHK紅白歌合戦』に出場。14年にZERO-A&日本コロムビアから1stアルバム『アップルミント』でソロアーティストデビューを果たす。15年7月に2ndアルバム、18年にはベストアルバムを発表。その後もコンセプトアルバムも含め、数多くの作品をリリース。22年にはワンマンライブと単独シンフォニックコンサートを開催した。23年11月8日に4年ぶりとなるフルアルバム『MUSIC』を発売し、同月12日に東京・山野ホールで『AYA UCHIDA LIVE 2023 Welcome to Uchida Party!』を開催する。内田彩 オフィシャルHP
内田彩 日本コロムビア アーティストページ

「まるで元気」MV

「Endless roll」(Lyric Video)

「Preview」MV

「KANRANSHA」(Lyric Video)

「Canary Yellow」MV

「Destiny」(Lyric Video)

「Pale Blue」MV

「声」(Lyric Video)

「Reverb」MV

OKMusic編集部

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